資金調達に必要なピッチ資料とは?構成も解説!

2023年11月29日

ピッチは、新事業立ち上げにおける資金調達の重要な手段です。ピッチを成功させるには、ピッチに用いるピッチ資料が大きなキーとなります。

そこで今回は、ピッチ資料の作り方について詳しく解説していきます。ピッチはもちろん、一般的なプレゼンテーションの参考としてもお役立てください。

ピッチ資料とは

ピッチとは、新事業の資金調達のために行う、投資家に向けた短いプレゼンテーションのことです。このプレゼンテーションで使用する資料のことを、ピッチ資料と呼びます。

特にスタートアップ企業が行うことが多いピッチは、スライドは数枚、全体で数分程度と、通常のプレゼンテーションよりも短くカジュアルに行われ、投資家からの資金調達を得るための重要な手段となっています。
相手となる投資家は新規ビジネスにおいて前提知識を持っていない場合がほとんどなので、ピッチでは事業内容や強み、今後の成長性など新規ビジネスの基本的な内容を伝えます。
ピッチやピッチ資料の出来栄えによって投資家の反応は代わり、新規ビジネスの実現も左右されることになるため、ピッチおよびピッチ資料の準備は綿密に行うべきでしょう。

このピッチ(Pitch)という言葉は、アメリカのシリコンバレー発祥だと言われています。シリコンバレーはIT産業が盛んな地域です。この地域では、自身(自社)のアイディアを製品化するため、日々多くのピッチが行われ、多様なビジネスが誕生しています。

ピッチ資料の主な目的

資料の作り方や内容は、目的によって異なります。ここでは、ピッチ資料の主な目的をご紹介します。

自社の新規ビジネスに興味を持ち、理解してもらうこと

ピッチおよびピッチ資料の目的は、投資家に自社の新規ビジネスについて興味を持ってもらい、さらにその内容を理解してもらうことです。
ピッチは、投資家を相手に行うプレゼンテーションです。相手に興味を持ってもらわなくては、ピッチは成功とは言えません。
また、これらの結果として、投資家に自社の新規ビジネスへ投資してもらうというのが、ピッチ資料作成の大きな目的でありゴールです。

新規ビジネスの内容をブラッシュアップすること

ピッチ資料の作成では、事業内容や強み、成長性など、自社の新規事業の基本情報をわかりやすくまとめることになります。そのため、資料をまとめる中で新規事業についての見直しができ、事業内容や計画をブラッシュアップできる可能性があります。
ピッチ資料は、新規事業の精度を高めるにも効果的なのです。

ピッチ資料を作成する際の心構え

ピッチ資料は、以下のような点を意識して作成するようにしてください。

目的とターゲットを明確にしておく

ピッチ資料作成にあたっては、まずピッチの目的とターゲットを明確にしておく必要があります。目的やターゲットが定まっていなければ、ピッチ資料の内容は曖昧になりやすく、ターゲットに響かない内容になってしまう可能性もあるからです。
まずは「何をしたいのか」「どんな人に何をしてもらいたいのか」ということを明確にし、具体的なイメージを持つようにしてください。

内容と構成を固めてから資料へ

ピッチ資料を作成する時に、いきなりスライド作りなどの具体的な資料作成から始めるのはおすすめできません。行き当たりばったりで資料作成を始めると、資料がうまくまとまらない恐れがあります。
資料作成に入る時には、最初に資料に入れる内容と構成を固めます。「どんな内容をどんな順番でどれくらいのボリュームで入れるか」大まかな枠を決めてから、具体的な資料作成を始めるようにしましょう。

ストーリーを作成する

数分程度の短いプレゼンであるピッチでは、ストーリー作成も成功のキーとなります。短くてもわかりやすく相手を引き込むストーリーを考え、それに基づくピッチ資料を作成しましょう。
ピッチでは、「なぜ課題を今自分たちが解決しなければならないのか」という点が相手に伝わるようストーリーを作成します。また、共感してもらえるストーリー作りも意識することが大切です。

デザインも意識する

ピッチ資料のデザインは、「シンプルでわかりやすいこと」を重視しましょう。シンプルでわかりやすい資料は相手の理解をサポートし、ピッチへの集中を促します。
特にピッチは時間が短いため、ピッチ資料は簡潔である必要があります。内容を詰め込みすぎたごちゃごちゃしたデザインの資料は理解しにくく、相手を飽きさせる可能性もあるので注意してください。

ピッチ資料の構成

ピッチ資料は、主に以下のような構成で作成されます。

表紙

ピッチ資料に表紙は必須。資料の概要、全体像、企業ロゴ、事業に関連する写真などを入れ、ピッチのイメージを掴めるようにする。ロゴやカラーにもこだわりましょう。

課題

新規事業で解決しようとしている課題を提示する。課題を抱えているペルソナやその深刻さ、解決の必要性について示し、相手に課題に対する問題意識を持ってもらう。

解決策

課題に対する解決策を提示する。なぜその解決方法を取るのかの説明も加えれば、具体性が高まる。プロトタイプや写真、動画を示すのも効果的。

トラクション

具体的なデータから、成長の見込みを示す。売上や成長率、サービスの継続率などから、定量的な数値や予測を導き出す。

市場規模

ビジネスの市場規模や成長の見込みを提示する。TAM、SAM、SOM(※)など複数の市場から説明できると良い。

競合

同市場の競合を提示する。ポジショニングマップを用い、新規ビジネスと各競合のポジションを可視化するとわかりやすい。

自社の強み

競合にはない、自社ならではの強みをアピールする。簡潔に、3項目程度にまとめる。

ビジネスモデル

どんな場合に、誰から、どれくらいの売上が上がるのかというビジネスモデルを説明する。図や数値を用い、サービス・お金・商品・価格などについてわかりやすく示す。

チーム消化

新規ビジネスを運営するチーム体制について説明する。メンバーの実績などから、なぜビジネスをこのチームで実現できる理由を述べる。

資金調達・使用計画

必要な資金の額と用途について説明する。株式の放出割合や資金調達スキーム、資金の投下期間など、資金の流れが明瞭になるような資料にする。

まとめ

魅力的なピッチを行うために、ピッチ資料は重要な役割を果たします。相手の共感を得るピッチ資料を作るには、ポイントを押さえ、相手の立場に立った内容を構成することが大切です。