リピート通販、定期購入・定期購買、サブスクリプションビジネスの資金調達について
2024年1月5日
D2C、単品リピート通販、定期購入・定期購買、サブスクリプション、これらは厳密には同じではありません。ここでは一緒のものとして、まとめてD2Cと記載いたします。
D2C事業においても先行者利益は大きいです。先に市場を取れた場合、一気に成長してD2C事業者が上場することも近年では多くなってきています。
なのでD2C事業者は資金調達のために、今がチャンスだ!だから、今すぐ投資/融資をしてくれないかという相談を各社に挙げるのですが、もちろんそれほど簡単にはいきません。
出資者が目を光らせる市場の変化
上場までを目標にしたり、M&Aで良い価格で売却したいなど、事業者のゴールはそれぞれでありますが、投資する側にも目的があり、上場前までにデューデリジェンス価格を上げた状態でVCに株の売却するなど戦略がある方々が多いようです。最初からそのような考え、戦略があるからこそ、資金がある投資家は上手いタイミングで買収し、価値が上がった状態で売却、あるいは上場まで進めるのです。
シミュレーションや短期実績から、翌年以降はどうなるのか?市場規模は伸びるのか?競合他社の参入はないのか?大手企業が参画してこないか?など、市場の変化によるリスクも出資者が見逃すことはありません。
D2C業界は情報が早いため、どこの事業者がいくらでのCPAで月間何千件、何万件の新規顧客獲得が生まれているなど、すぐに広まります。ということは、数ヶ月後には同業他社が類似のプロダクトをリリースしてしまうこともあるということです。
他には真似できないプロダクトなのか、他社との優位性があるのか、安全な訴求クリエイティブで勝負した結果なのか、LTVの計算式は大丈夫か、コスト削減はできているか、すべての項目で最適化されているかを出資者は見るのです。
D2C事業者が上場しているという実績から、投資家も目を光らせているのは間違いありませんが、その一方で、売上が伸びていても収益化されていない事業者もあるのです。それは、上記のような様々な懸念材料が少しづつ効いてきているからと考えられます。
出資者側が懸念する広告等のリスク
D2Cビジネスについての資金調達で考えられる方法としては
・IT導入補助金
・ものづくり補助金、助成金
・政策金融国庫
・銀行融資
・投資家の融資
・投資家に第三者割り当て
・VC
などが考えられます。
ただしD2Cビジネスは、広告費が潤沢にないとトップラインまで売上が伸びない仕組みとなっているため先行投資が大きく、安定するまでに長年の月日が掛かることから、融資が受けにくいという実情もあります。
実績があったとしても銀行はリスクがない程度までしか融資してくれないことが多く、今から広告投資すると事業が急成長して収益化するのだ!と説明しても理解してくれることが少ないのです。
理由はいくつか挙げられます。
・消費者庁の各種措置命令(景表法など)、是正勧告などから、効果の高いクリエイティブや表現がLPや記事LPで使えなくなることがある。
・広告に対してはJAROから指摘によって効果の高いクリエイティブや表現が使えなくなることがある。
・商材が健康食品や化粧品の場合、薬機法(旧薬事法)の規制を受ける可能性がある。いきなり営業停止、広告停止、販売、運営ができない状態になるケースも。
・各都道府県の薬務課からの警告、是正勧告、措置命令の可能性もある。
・同じく商材が健康食品や化粧品の場合、健康、美容被害からのプロダクトの製造販売停止、訴訟リスクなどもあり得る。
D2CはWEB広告で販売することが多く、WEBであれば制作したクリエイティブをサーバにアップするだけで誰もが閲覧できる環境を誰でも簡単に実現することができるのです。その分だけ見えないリスクが多く、他業界よりも投資家のリスクヘッジの目が厳しくなる傾向にあります。
資金調達しやすくする方法など様々な形でご支援
資金調達しやすくする方法は少なからずあります。例えば、取引先や取引先候補に資金調達をご相談して、資金提供側のサービスを利用する代わり資金提供してもらうといった交換条件パターンも結構あります。これは両者WINWINになるケースも多く、話もすぐに決まることが多いようです。
事業を細かく見ないと資金提供するのは危険、あるいは配当が少ない(利益が薄い)と思われて断られることもありますが、D2Cモデルの社会貢献、将来性などから、マッチすることもあります。