資金調達を税理士に依頼。報酬相場どのくらい?

2023年12月20日

資金調達に強い税理士というのは、銀行からの借り入れに始まり、国や各自治体が設けている助成金・融資・補助金についても広く熟知しています。さらに、融資担当者との交渉の方法や、事業計画書・創業計画書の書き方など申請に有利になる方法など資金調達について把握をています。

・資金調達を税理士に依頼するメリットは?
・資金調達の税理士報酬の相場はいくら?
・現在契約中の税理士の報酬が適正か比較したい

このページでは、税理士に資金調達支援を依頼するメリットと、資金調達の報酬相場を依頼内容のケースごとに分けてご説明いたします。

資金調達を税理士に依頼するメリット

融資制度や金融機関からの借入を行うには、「創業計画書」「事業計画書」「決算書」などの税務関係書類等の用意や、担当者との面談が必要になります。

しかし、申し込めば必ず希望通りに融資を受けられるわけではなく、時には融資がおりなかったり、希望よりも低い金額になってしまう可能性もあります。そのようなリスクを防ぐためにも、専門家である税理士の力を借りれば、より確実により早く資金調達を行うことができます。

資金調達を税理士に依頼すると報酬の支払いが必要になりますが、融資の成功率などを踏まえると費用負担以上に以下のようなメリットを享受できます。

それぞれに合った制度の選定・紹介

資金調達には多種多様な制度があります。

特に地方自治体が主催しているような制度であれば、毎年募集内容や要件が変わるため、無数にある制度の中から自分が使えるものを探し出すのは、非常に手間と時間がかかります。

その点、資金調達支援を専門とする税理士であれば、常に最新の情報をチェックしているため、事業者に合った融資制度や補助金・助成金制度を紹介することができます。

面談の手助けをしてくれる

金融機関からの借入れや、新創業融資制度などの融資制度を利用する場合などは、担当者との面談が必要になります。

面談では「どれくらいのお金が必要でその根拠はなにか」「返す目処や計画はどのようなものなのか」といったことを説明する場でもあるため、うまく説明できなければ、融資額が希望通りではなかったり、最悪の場合は一切融資が受けられない、なんてことになりかねません。

しかし税理士の支援があれば、模擬面接などの手助けもしてくれます。融資のための面談というのは、一生のうち、そう何度も経験するものではないでしょう。一方で、税理士は年間何十件〜何百件と資金調達の支援を行っているため、的確なアドバイスをすることができます。

面談の担当者とも顔見知りである場合もあり、そのようなケースでは橋渡しの役割も担ってくれ、より面談がスムーズに進められることもあります。

書類作成の的確なアドバイス

事業計画書や創業計画書、決算書など資金を調達する上で必要な書類を作成する際のアドバイスを受けることができます。

資金調達支援というのは、税理士の独占業務ではないため、他の一般企業や専門家が支援を行っている場合もあります。

その中で、税理士に資金調達支援を依頼するメリットとは提出書類への信用度が高いという点です。

なぜなら、税理士は税務のスペシャリストであり、その専門家が作成またはアドバイスした決算書や財務関係書類であれば、他の専門家のものよりも格段に信用度が高いということになります。

資金調達の方法は?

具体的な資金調達の例を挙げると、「補助金・助成金の活用」「金融機関からの借入」「日本政策金融公庫の融資制度」「ベンチャーキャピタルや投資家からの出資(株の発行)」など、さまざまな方法があります。

補助金・助成金

補助金・助成金は、「経済産業省・厚生労働省・地方自治体・民間企業や団体」などが中心となって、多様な制度を設けています。

どちらとも原則返済不要なお金(給付金)であることが魅力のひとつです。ただし、補助金・助成金は後払いになるため、利用する際には注意が必要となります。

創業時に使える補助金・助成金は中小企業庁が主催のものが多いため、ホームページ等でこまめにチェックしておくとよいでしょう。

借入・融資

創業前後の資金調達といえば、主に銀行や日本政策金融公庫から融資を受けるという方法が一般的です。

「融資」とは、特定の目的に対して資金を貸し出すことをいい、単なる消費のために借りる資金は「借金」といいます。

数多くある融資制度の中で、創業時に最も利用されている制度といえば、日本政策金融公庫の新創業融資制度です。

要件を満たせば、無担保・保証人無しで最大3,000万円の融資が受けられるという特例措置で、大変人気が高い融資制度のひとつです。

一方、このような融資制度を利用せず、家族・友人から借り入れる方法もありますが、贈与税が課されたり相手との関係性が悪化したりするリスクもあるので、あまりおすすめできません。

出資・寄付

出資とは、広い意味でお金を出す(出してもらう)という意味で使われます。ここでいう出資は、会社が株を発行してそれを買ってもらうという方法を指しています。

個人の場合は、出資という概念がないため、寄付を募って資金を調達するという方法があります。

寄付とは、金銭や財産、品物などを公共の事業や団体などへ無償で提供することをいい、近年では、「クラウドファンディング」という、インターネット上で不特定多数の人から資金を集めるという方法が人気を集めています。

資金調達の税理士報酬相場は?

税理士報酬の相場は、業務の依頼内容や、どの制度を利用するかでも違います。

依頼内容は大きく分けて、資金調達に関連する業務全般をできる限りお願いする(丸投げする)、あるいは、事業計画書の作成のみなどスポットで業務を依頼する方法の2パターンです。

【丸投げする場合】着手金:3~5万円、成功報酬:調達額の2~5%
※補助金、助成金の申請は、着手金なしで調達額の15~30%

【スポットで依頼する場合】事業計画書の作成のみ:3~5万円、資金調達や書類作成の相談:1時間1万円~

顧問税理士に依頼する場合

顧問契約が前提またはすでに顧問契約をしている税理士に資金調達を依頼する場合は、着手金無しで、成功報酬として調達額の2〜5%くらいもしくはゼロと、顧問契約が無い場合と比較すると、安く済むことがほとんどです。

また、創業時は資金調達支援がサービス内容に含まれていることも多く、別途料金が発生しないケースもあります。

さらに、金融機関(日本政策金融公庫や銀行)との橋渡し(つながりのある担当者を紹介する)などのサポートもしてくれる場合もあります。

メリットとしては、イチからではなく、普段のやり取りから資金調達の支援ができるため、より「早く」より「正確」なアドバイスを受けることが可能です。

顧問契約の報酬相場については、売上規模や依頼内容によって大きく異なります。「このくらいの料金にしてほしい。」という希望があればその旨を税理士に伝え、その料金で提供できるサービスを提案してもらうという方法もあります。

資金調達に強い税理士とは?

税理士にも専門分野・得意分野があり、特に資金調達に力をいれている税理士事務所もあります。

資金調達が得意な税理士に依頼したときとそうでないときで、融資結果が大きく変わることもあります。資金集めは、創業時や新規事業を開始するときなど特に必要になってくるため、税理士選びは重要です。

資金調達が得意な税理士の特徴としては、実績や経験が豊富なことはもちろんのこと、貸す側であった銀行出身者だったり、経営革新等支援機関の認定を受けていることなどが挙げられます。