ファクタリング業界での犯罪とは?

2024年1月8日

ファクタリング一般的に行われている資金調達方法です。なのでファクタリング事態は決して違法な行為ではありません。
しかし、これを悪用して逮捕される事件が見られています。
今回は実際に起こった事件についてまとめてみました。
どういった行為が違法になるのか、また悪徳業者についても触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。

ファクタリングで犯罪になる行為

ファクタリングで売掛金をファクタリング会社に譲渡する上で、存在しないはずの売掛金を現金化しようとする行為や、少しでも多く資金を調達しようと金額を上乗せする行為は犯罪です。

単に現金化しようとしたり上乗せしたりするだけであれば罪に問われることはないでしょう。

しかし架空の請求書や金額を上乗せした請求書をファクタリング会社に買い取らせようとすると、嘘の書面で騙すことになるため詐欺罪の対象となる可能性があります。

また、2社間ファクタリングでは利用者がファクタリング会社に代わって売掛金を回収することになりますが、回収分を使い込むと横領罪として罪に問われます。

ファクタリングは銀行融資が利用しにくい中小企業にとって使いやすい資金調達の方法である反面、犯罪行為でファクタリング会社を騙そうとする事例も後を絶たないのが現状です。

実際、ファクタリングを利用する上で、次のような犯罪に該当する行為を行う利用者が存在します。

請求書の偽造
債権の二重譲渡
決算書の粉飾
売掛金の流用
それぞれどのような行為なのか説明していきます。

請求書の偽造

請求書の偽造により、利用者はファクタリング会社から本来よりも多く買取代金を払ってもらうことができる場合もあれば、そもそも受け取ることができなかったお金を手にすることができます。

しかし後で入金予定のない売掛金を先に現金化することになれば、売掛金回収後にファクタリング会社に渡すことができず、窮地に追い込まれることになるでしょう。

請求書の偽造の方法として、次に2つが挙げられます。

・架空の請求
・金額の水増し
それぞれ説明していきます。

架空の請求

ファクタリングで犯罪になる行為として、存在しない請求書を作成し、架空の債権を発生させファクタリング会社に買い取らせることが挙げられます。

請求書だけでなく、契約書や入出金履歴のわかる口座の写しなども偽造すれば、ファクタリング会社も架空債権であることを見抜くことは困難になってしまいます。

特に悪質な場合には、売掛先と共謀して請求書などを偽造し、現金化した代金を利用者と売掛先で分けるといったケースも見られます。

ファクタリング会社を欺く行為であるため、詐欺罪の対象となり罪に問われる可能性も十分にあると留意しておいてください。

金額の水増し

ファクタリングで犯罪になる行為として、請求書の金額を水増しした状態でファクタリング会社に買い取らせることが挙げられます。

請求書の金額を多く水増しすると、その分、ファクタリング会社が買い取る金額も増えるため、多く買取代金を受け取ることができます。

この通常より多くの売掛金が発生しているように見せかける金額の水増しで買取代金を受け取っても、売掛先から回収できる売掛金が増えるわけではないため、回収代金をファクタリング会社に支払うことが困難になります。

金額を水増しした請求書を作成し、多く買取代金を受け取ることはファクタリング会社を騙すことになるため、詐欺罪で訴えられても文句はいえないといえます。

なお、請求書を発行した時点と、返品や値引きなどで後日請求する金額が異なる場合もあるでしょう。

しかしファクタリング会社が事情を知らなければ入金額と異なることになるため、後々トラブルにつながりかねません。

請求書に記載された金額が後日減額される可能性があるときには、前もってファクタリング会社にその事情を伝えておいたほうがよいでしょう。

悪徳業者も逮捕されている!

2017年1月、日本で初めてファクタリング業者が逮捕された事件がニュースになりました。
内容は「ファクタリングだといって利用者を騙し、多額の貸付を行った」というものでした。
逮捕された悪質業者と8人の経営者は、1年間に1億円以上の利益を得ていたのだとか……。

まず大前提として、ファクタリングは「貸付業」ではありません。
しかし、このケースのように「この取引はファクタリングだ」としているものの実質的には貸金業で、高額な利息を設定して不正な貸付をしている悪質業者は存在します。
いわゆる「闇金」に分類される業者なので、利用しないようにしましょう。

債権の二重譲渡

ファクタリングで犯罪になる行為として、すでに他社に売却した売掛金を他のファクタリング会社にも売る債権の二重譲渡が挙げられます。

1つの売掛債権を複数のファクタリング会社に譲渡する行為は、詐欺罪で処罰されます。

不動産など目に見える資産であれば、誰が所有者か確認できるように登記手続が行われるため、所有権を主張できます。

しかし売掛債権は目に見えない資産であるため、二重に譲渡されてもその事実をファクタリング会社が知ることは難しくなります。

すでに別のファクタリング会社に譲渡された売掛債権であるのにも関わらず、何も知らない新たなファクタリング会社が買い取ってしまう可能性は十分にあるといえるでしょう。

売掛債権も債権譲渡登記を使って、誰がその権利を所有しているのか証明することはできます。

そのため売掛先を交えずに取引する2社間ファクタリングでは、債権譲渡登記を必須とするファクタリング会社も少なくありません。

ただ、債権譲渡登記をすると、その情報を誰でも閲覧できるようになり、売掛先や取引のある銀行などがファクタリングの事実を知るリスクがゼロでなくなります。

登記にかかる費用も実質、利用者が負担することになるため、コストも高くなり十分な資金調達につながりにくくなるでしょう。

仮にファクタリングで売掛債権をファクタリング会社に譲渡したことを知られれば、売掛先が資金繰りの悪化した企業であることを懸念することとなり、その後の関係性や取引に影響が及ばないとも限りません。

また、債権譲渡登記が可能であるのは法人のみのため、個人事業主は登記手続ができずファクタリングで資金調達すること自体できなくなります。

そのためファクタリングで資金調達するときには、諸事情を考慮した上で債権譲渡登記を必須とせず、留保や未登記などで対応できるファクタリング会社を選んだほうが安心です。

決算書の粉飾

ファクタリングで犯罪になる行為として、粉飾した決算書をファクタリング会社に提出し、買い取らせることが挙げられます。

ファクタリングの審査では、売掛先の信用力が重視されるため、利用者が赤字決算でも利用できないわけではありません。

ただ、2社間ファクタリングでは利用者がファクタリング会社に代わって売掛金を回収するため、極度に財務状況が悪化していたり資金繰りが厳しかったりといった状態では、審査に通りにくくなってしまいます。

もしも審査に通った場合でも、そのリスクを手数料に反映させるしかなくなるため、高めの手数料をファクタリング会社に支払うことになりかねかません。

そのため決算書の見た目を気にして、粉飾した決算書を提出する行為もゼロではないといえます。

しかし粉飾した決算書を提出し、ファクタリング会社を騙す行為は詐欺罪となる可能性があるため、行わないようにしてください。

売掛金の流用

ファクタリングで犯罪になる行為として、回収した売掛金の使い込みや流用が挙げられます。

2社間ファクタリングでは、ファクタリング会社に代わって利用者が売掛金を回収します。

しかし売掛金を回収したとき、利用者の資金繰りも良好でなければ、すでにファクタリング会社に所有が移っている代金とわかっていても使い込んだり流用したりといったことが起きてしまいます。

回収した売掛金を別の支払いに流用してしまうと、当然、約束の期日にファクタリング会社に渡すことはできなくなります。

その結果、金利の高いビジネスローンや違法なヤミ金融業者でお金を借り、ファクタリング会社に支払う売掛金に充てることになれば、資金繰りはますます悪化することとなり事業継続も難しくなってしまうでしょう。

ファクタリングで売掛債権を売って買取代金を受け取った段階で、後日売掛先から入金される売掛金はファクタリング会社のものであることを理解しておくことが必要です。

譲渡された売掛金を使い込んでしまう行為は横領罪に該当することとなるため、ファクタリング会社から訴えられる可能性もあることを認識しておき、絶対に他の支払いに流用したり使い込んだりしないようにしてください。

ファクタリング利用者が逮捕されることがある?

これから紹介するのは、ファクタリングの利用者側が罪に問われた事件です。

架空の請求書を利用してファクタリング詐欺

2020年7月、アパレル業の女性が詐欺罪の疑いで逮捕されました。
その手口は、架空の請求書を使ってファクタリングを利用したというものでした。
複数作成された請求書の合計金額は900万円にものぼり、約300万円の現金を送金させたそうです。

このように「架空債権」を用いたファクタリングは詐欺罪に該当します。
架空の請求はもちろん、内容を書き換えるなどの行為も必ず発覚します。
「なるべく多く資金調達したい」という場合でも、これらの不正行為は行わないようにしましょう。

二重譲渡で不正に資金を調達

二重譲渡とは、たとえば500万円の売掛債権をファクタリング業者Aに売り、同じ債権(500万円)をファクタリング業者Bに売る……というものです。
こちらも、詐欺行為に当たります。

近年だと、東京で製造業を営む男性がこの二重譲渡を行い、刑事・民事の両方で訴訟を起こされたという事案が発生しています。
この利用者は「犯罪であるということは知っていた」とのことですが、スタッフの給与も支払えず、最初に契約したファクタリング業者に支払うお金は一切残っていなかったといいます。

取引先とグルに?「計画倒産」

売掛先の倒産を知っていながら、これを伏せてファクタリング業者に申し込みを行い、不正に資金を調達した事例も確認されています。
ファクタリング業者はしっかりとした審査を行っているため、「信用できない」と判断される売掛先と取引している利用者とは契約を結ばない、もしくは高い手数料を設定するなどの対策をしています。
しかし、それでも防げないケースも存在します。
そしてこの場合、ファクタリング業者は回収しきれなかった売掛金を負担することになります。
これを逆手にとり、利用者と取引先で「計画的に倒産させて支払いから逃れる」という計画を企てた事案も発生しているのです。

ファクタリングは正しく活用しましょう!

ファクタリングには、「審査が早い」「キャッシュフローの改善に役立つ」「資金の使いみちは自由」といったメリットがあります。
しかし、正しく利用しないと利用者が「詐欺罪」に問われることもあるのです。

また一方で、業者側が悪質だった場合、闇金の返済に苦しむ結果になることもあります。
不明瞭な説明をする業者には注意しましょう。

まとめ

いかがでしょうか。
今回は、「ファクタリング事件簿」として実際に起こった事件をピックアップしてみました。
「知らなかった」では済まないことも多々あるため、ファクタリングを利用するときは安全性の高い業者を選ぶようにしましょう。