資金調達とは?具体的な方法、さらにはメリット・デメリットまで解説します!

2023年10月26日

会社の運転資金を得るためには「資金調達」が必要ですが、どのような方法・手法があるかわからないという方も多いのではないでしょうか。この記事では「デットファイナンス」「エクイティファイナンス」「アセットファイナンス」などの資金調達方法についてメリット、デメリットとあわせて分かりやすく解説します。

はじめに資金調達とは?

資金調達とは、会社を経営していくための運転資金を調達することです。資金の使い道・目的は開業、設備投資、新規事業の立ち上げ、企業の買収など様々な用途があります。

資金調達の方法はおもに「デットファイナンス」「エクイティファイナンス」「アセットファイナンス」の3つに分かれています。それぞれメリット・デメリットが違うので、目的やタイミングに応じた方法を選ぶとよいでしょう。

また上記3つ以外にも「クラウドファンディング」による資金調達や、各省庁の補助金・助成金制度を利用する方法もあります。様々な選択肢のなかから自社に合った資金調達方法を選びましょう。

資金調達方法主に3種類

3つの資金調達方法の分類について、それぞれの特徴をまとめます。

デットファイナンス
(Debt Finance):会社の負債(デット)を増やすことで資金調達する方法。おもに銀行からの融資や社債発行など。返済義務がある。

エクイティファイナンス
(Equity Finance):会社の株主資本(エクイティ)を増やすことで資金調達する方法。おもに株式発行。返済義務はない。

アセットファイナンス
(Asset Finance):会社の資産(アセット)を売却して現金化することで資金調達する方法。

それぞれの方法ごとに、調達できるまでの早さ、返済義務の有無などが異なります。

たとえばデットファイナンスのなかでも、銀行から融資を受ける場合には審査に数週間かかりますが、ビジネスローンなら比較的短い期間で利用できるうえ審査もやさしくなるのが特徴です。

また発行した株式を買ってもらうエクイティファイナンスは返済義務がないものの、経営の自由度が下がったり、一株あたりの価値が下がったりするリスクがあります。

このように資金調達とは、目的やタイミング、メリット・デメリットを比較したうえでどの方法を選ぶかを考えていく必要があるのです。それぞれの方法の詳細な説明については後述いたします。

ちなみに経済産業省が中小企業の資金調達についてまとめている資料によれば、9割以上の企業は「金融機関からの借入れ」によって資金調達しています。

資金調達の目的・タイミング

資金調達をする理由をひとことで言えば会社の「運転資金」を集めるためです。ただ運転資金と言っても、実際には開業資金だったり設備投資資金だったり、様々な目的があります。おもに以下のようなタイミングで資金調達を検討する企業が多いでしょう。

・開業するとき
・既存事業を拡大するとき
・新規事業を立ち上げる
・設備投資するとき
・企業の買収、M&Aなどをするとき
・売掛金(後払いで受け取ることが決まっている代金)を早く運転資金に回したいとき
このように様々なタイミングで資金調達を検討する機会がありますが、大事なのは「事業があるから資金が必要となる」という事業ベースの考え方をすることです。

資金調達そのものを目的化してしまうと、ついつい「いくら調達できるか」という視点になってしまうことがあります。

しかし融資や借入の場合には返済義務もあるので「どのような事業で、どのくらいの資金が必要なのか」という点を明確にして、資金調達プランについて慎重に考えなくてはいけません。

また「調達できる金額によって事業内容を考える」という姿勢だと、出資や融資を得るのは難しくなってしまう可能性が高いです。投資家目線で考えると、事業ビジョンがしっかり定まっていない企業に投資してもリターンが得られない可能性が高いため、メリットがありません。

デットファイナンス(負債を増やす)とは?

デットファイナンス(Debt Finance)は「負債を増やす」という資金調達方法です。

おもな手法は以下のとおり。

・金融機関の融資
・自治体の融資
・ビジネスローンの利用
・社債の発行

【メリット】

・資金調達候補先が豊富
・利息による節税効果が期待できる
・レバレッジ効果が期待できる

【デメリット】

・利息を含む返済義務が発生する
・自己資本比率が下がるため、信用力が低下する可能性がある

エクイティファイナンス(資本を増やす)とは?

エクイティファイナンス(Equity Finance)とは、おもに株式発行・交付によって出資してもらうことで資金調達する方法です。金融機関などの第三者をとおさないため、直接金融の一種という分類になります。

おもな具体的手法は以下のとおりです。

・VC(ベンチャーキャピタル)からの出資
C・VC(コーポレートベンチャーキャピタル)、事業会社からの出資
・個人投資家からの出資
・公募増資

【メリット】

・調達した資金の返済義務が発生しない
・財務基盤が安定する
・VCや個人投資家から経営についてのアドバイスをもらえることもある

【デメリット】

・会社の経営権を握られる可能性がある
・配当金を支払う義務が発生する

アセットファイナンス(資産の現金化)とは?

アセットファイナンス(Asset Finance)とは、自社の資産(アセット)を売却する、または資産を担保にして資金調達する方法のこと。

具体的には土地などの不動産を売却したり、売掛金(すでに発生した取引でこれから回収する売上代金)を先に現金化したりする方法が代表的です。おもに下記のような手法がアセットファイナンスに含まれます。

・ファクタリング
・手形割引
・固定資産の売却
・リースバック
・M&A・事業譲渡

【メリット】

・利息や配当金の支払いが不要
・比較的スムーズに資金調達しやすい
・保有資産を貸借対照表から切り離すことが可能になる

【デメリット】

・資産や事業が必要
・長期的な利益が減少する可能性がある

その他の資金調達方法もご紹介

ここまで紹介した「デットファイナンス」「エクイティファイナンス」「アセットファイナンス」とそれぞれの具体的手法以外にも、様々な資金調達方法があります。

ここでは「自己資金」「クラウドファンディング」「補助金・助成金」という代表的な例を見ていきましょう。

方法1.自己資金を利用する

「資金調達」の1つとして紹介すると違和感があるかもしれませんが、「自己資金」を用意しておくのは大切です。自己資金とは読んで字のごとく「自己が所有する資金」のことを意味します。

じつは金融機関で融資を受けるときにも自己資金の金額に応じて上限が決まっていたり、自己資金がゼロだと融資を受けにくかったりすることがあるので注意が必要です。

この場合に自己資金として認められるのは「預金通帳で確認できるお金」や「資産を売却して得た資金」など。

逆に自己資金として認められないのは「預金通帳には入れず手元で保管しているお金」や「人から借りたお金」などがあります。

当たり前ですが自己資金には返済義務もなく使途も自由なので、デメリットはありません。もし事業を起こそうと考えている場合は、コツコツと自己資金をためていき、入念に準備を進めるのがおすすめです。

方法2.クラウドファンディングを利用する

近年新しい資金調達方法として「クラウドファンディング」が定着してきました。インターネット上で不特定多数の出資者を募り、目標額以上になるまで少額ずつ資金調達する方法です。

支援という形で出資してもらい、出資者には返礼品(リターン品)を送るという仕組みになっています。

特定のプロダクトが返礼品となっている場合は「購入型クラウドファンディング」、ボランティアや社会貢献の一環として行う場合は「寄付型クラウドファンディング」というように、いくつか種類があります。

返礼品として株式を取り扱う「株式型クラウドファンディング」や、個人的な融資を募る「融資型(貸付型)」なども可能です。

おもなメリットとしては「プロモーション効果」が挙げられます。プロダクトなどの開発段階から支援者の興味を引くことが可能で、なおかつ支援者の反応を見ながら試作を重ねていくことが可能です。

また従来は資金調達が難しかったプロダクトやサービスでも、興味を持った支援者が多く集まれば資金を集めることが可能になります。

一方でデメリットとして挙げられるのは、クラウドファンディングが頓挫してしまった場合にもデータが残り続けてしまう可能性があること、また長期的な資金調達となることなどです。

方法3.補助金・助成金を利用する

資金調達方法のひとつとして、政府や地方自治体が用意している補助金・助成金を利用することも可能です。制度融資などとは異なり、原則的に返済義務がないことが最大のメリットと言えます。

補助金・助成金を利用するためには申請だけでなく、支援目的に合っていること、募集要項に沿っているかどうかの審査をクリアすること、などの条件を満たすことが求められます。

補助金・助成金には様々な種類がありますが、中小企業庁が用意している「IT導入補助金」「事業承継・引継ぎ助成金」や、厚生労働省が用意している「働き方改革推進支援助成金」「人材確保等支援助成金」などが代表的です。

そのほか各地域の自治体が独自に補助金・助成金を用意して、創業や資金繰りの支援を目的とした取り組みをおこなっています。

募集時期や条件はそれぞれの補助金・助成金によって異なるため、情報をチェックしなくてはいけない点に注意しましょう。

事業形態や業績によって利用すべき資金調達方法は異なる

ここまで様々な資金調達方法を紹介してきましたが、どの資金調達方法を選ぶべきなのかは事業形態や業績によっても変わってきます。いくつかのパターン別におすすめの資金調達方法を解説するのでぜひ参考にしてみてください。

起業するタイミングでの資金調達

起業直後のタイミングでは、VC(ベンチャーキャピタル)や個人投資家からの出資を受けるのは難しいかもしれません。

おすすめは「自己資金」「政府系金融機関の融資」「補助金・助成金」「クラウドファンディング」などです。

まず自己資金についてですが、東京商工会議所の「創業・スタートアップ実態調査」によれば実際にもっとも多い開業費の調達方法が「自己資金」でした。融資や補助金・助成金を併用するとしても、自己資金をある程度貯めておくことが大切です。

日本政策金融公庫の「新創業融資制度」であれば、融資金額の1割程度の自己資金は用意しておくとよいでしょう。

東京都中小企業振興公社の「創業助成金」のように、創業予定または創業後数年以内を対象とした補助金・助成金が用意されていることもあります。融資と違って返済不要なので積極的にチェックしてみましょう。

すでに明確なプロダクトやプロジェクトが用意できている場合は、「クラウドファンディング」を利用するのも1つの手です。

中小企業の資金調達

非上場会社などの中小企業であれば、「日本政策金融公庫の融資」「ビジネスローン」「VC・投資家からの出資」などが利用しやすいでしょう。

日本政策金融公庫は「経済・産業の発展」「国民生活の安定」をおもな目的としているため、低金利かつ返済期間が長いのが特徴です。あまりリスクを取れない中小企業にとって利用しやすい融資制度になっています。

もし融資の審査に落ちてしまう場合は、ビジネスローンも選択肢に入るでしょう。金利は高く設定されていますが、審査がやさしくすぐに資金調達できる方法なので、調達したい金額が少額であればおすすめです。

上場やM&Aを本格的に目指しているのであれば、VC(ベンチャーキャピタル)や投資家に出資してもらうのもよいでしょう。資金調達をしつつ、経営についてのアドバイスを貰えるなど、事業を進めていくうえでもメリットがあります。

経営難のタイミングでの資金調達

経営難のタイミングで運転資金を得たいとき、民間企業から融資を受けるのは難しいでしょう。とくに赤字補てんのための資金調達だとみなされた場合は融資が受けられない可能性が高いです。

そのため基本的には「アセットファイナンス」「補助金・助成金」「政府系金融機関からの融資」などがおすすめです。

会社が保有する資産を売却する「アセットファイナンス」であれば、業績不振であっても資金を得られます。とくにファクタリングであれば売掛金をすぐに現金化できるので、早急な対応が可能です。

また政府や自治体の「補助金・助成金」を利用するのもひとつの手段となります。たとえば「IT導入補助金」は、導入するサービスによって生産性向上が見込めることがおもな条件となっている補助金です。赤字であれば採択しない、という方針ではないため補助金を利用できる可能性はあります。

「政府系金融機関からの融資」では、たとえば日本政策金融公庫の「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」が代表的な例です。社会的または経済的な外的要因によって一時的に売上減少している事業を対象としているので、当てはまる場合はチェックしておきましょう。

M&A(買収)を目的とした資金調達

M&A(買収)を目的として資金調達するときには、多額の資金が必要となります。そのため「公募増資」「金融機関からの融資」など、上限額の大きい資金調達方法を選ぶとよいでしょう。

「公募増資」では上場企業であれば世間一般から広く株主を募ることができるので、多額の資金調達に向いています。ただし非上場の中小企業にとっては手続きに労力がかかるため、実施されることはまれです。

「金融機関からの融資」では、日本政策金融公庫の「事業承継・集約・活性化支援資金」があります。こちらは事業の譲渡、株式の譲渡、合併などを目的とした融資です。自社に適用可能かどうかはチェックする必要がありますが、M&Aのための資金調達という目的に沿った制度となっています。

またLBO(レバレッジド・バイアウト)を活用して融資を受けるという手段もあります。LBOとは、譲受企業が譲渡企業の資産や将来的なキャッシュフローを担保として資金調達する買収方法のこと。自己資金が少なくてもM&Aに必要な資金を用意できます。

ちなみにLBOに似ている言葉に「MBO」や「EBO」がありますが、MBOは経営陣みずから株主から自社株式を買い取る方法のこと、EBOは同じように自社株式を従業員が買い取る方法のことです。どちらも株式を買うための資金調達は別途行う必要があります。