2社間ファクタリングの契約は手間がかかるの?契約までの流れを解説
2024年4月14日
資金調達方法のひとつとしてファクタリングを検討したことがある方もいらっしゃるでしょうか。この記事では、ファクタリングの契約の流れについて2者間ファクタリング、3者間ファクタリングそれぞれの契約形態ごとにご説明します。
2社間ファクタリングとは
2社間ファクタリングとは、どんなものなのでしょうか。
納入企業とファクターの2社間で契約・取引を行うこと
2社間ファクタリングとは、ファクタリング事業者と利用者のみで行う、2社間契約のことです。
3社間ファクタリングのように、売掛先へ承諾を得る必要がありません。事業者が売掛先の信用調査を行い、問題がないと判断したら契約が締結されます。売掛金は、売掛先から利用者に渡り、そのまま事業者に支払われます。
「債権譲渡登記制度」の成立に伴い始まった
債権譲渡登記制度とは債権譲渡されたことを公示するために登記する制度で、民法の改正に伴い設立されたものです。
制度設立前は、売掛先の合意を得なければ、債権譲渡の法的根拠を得られませんでした。そのため、売掛先の合意を得る「3社間ファクタリング」が、唯一売掛金を譲渡する手段だったのです。
しかし、債権譲渡登記制度により、登記するだけで債権譲渡の法的根拠、すなわち第三者の対抗要件、を得られるようになりました。万が一、利用者が2つのファクタリング事業者に同じ売掛債権を二重売却する事態が生じた場合、第三者の対抗要件があれば、事業者は回収不能になる危険から逃れられます。
なお、2社間ファクタリングは民法第555条「売買契約」が法的根拠になっており、債権譲渡の対価として金銭を支払うものです。
2社間ファクタリングは売掛先に通知することなく売掛金を現金化できるため、利用者も徐々に広がっています。
2社間ファクタリングの仕組み
2社間ファクタリングは、ファクタリングの事業者と利用者の2社間で、売掛金を譲渡します。売掛先は、ファクタリングには直接関与しません。
ファクタリング成立までの具体的な手順は、以下の通りです。
1.利用者が売掛先に商品・サービスを提供し、代金を請求する
2.利用者と事業者間で債権譲渡契約と集金業務委託契約を締結する
3.事業者が債権譲渡の登記をする
4.事業者が利用者に売掛債権の代金を支払う
5.売掛先が利用者に売掛金を支払う
6.利用者が事業者に支払われた売掛金を渡す
このように2社間ファクタリングでは、売掛先⇒利用者⇒事業者という順に、売掛金が移動します。利用者から事業者に売掛金が移動する点が、大きなポイントです。
2社間ファクタリングのメリット
2社間ファクタリングには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
売掛先に取引を知られない
2社間ファクタリングは、利用者と事業者間の契約なため、売掛先に取引を知られません。そのため、売掛先との関係をこじらすことなく、売掛債権を譲渡できます。3社間ファクタリングに比べ、現金化しやすいのが特徴です。
3社間ファクタリングは、売掛先の承諾が必要で、かつ売掛先の方が力関係が上の場合、こうはいきません。この場合、むやみにファクタリングを行うと、資金繰りが悪いのではないかという疑念につながり、取引停止になる可能性があります。
現金化までのスピードが早い
2社間ファクタリングは、事業者と利用者の合意のみで進むため、最短即日~2日ほどで現金化できます。3社間ファクタリングのように、売掛先へファクタリングする旨を伝え、承諾書(同意書)を回収する必要もありません。スピード感があるため、とにかく現金を調達したいという方におすすめです。
2社間ファクタリングのデメリット
2社間ファクタリングは、3社間ファクタリングより手数料が高いです。手数料の平均相場は、2社間ファクタリングで10%~40%、3社間ファクタリングで1%~5%ほどになっています。2社間ファクタリングの方が高い手数料になるのは、2社間と3社間で売掛金を回収できる確率が異なるためです。
3社間ファクタリングでは、売掛先から直接、ファクタリング事業者へ売掛金が入金されます。そのため回収不能リスクが少なく、手数料も抑えられるのです。2社間ファクタリングでは、売掛先から利用者にいったん売掛金が渡るため、持ち逃げや使い込みなどで、回収不能リスクがあります。
2者間ファクタリングのご契約までの流れ
2社間ファクタリングのご契約までの主な流れは以下の通りです。
・売掛債権買取について、ファクタリング事業者に相談(審査・お見積り依頼)
・審査に必要な情報への回答 および 資料提出
・審査
・(審査を通過したら)手数料率のお見積り提示
・契約・申込み
2者間ファクタリングの特徴は、売掛先企業にファクタリング利用の事実を知られることなく、売掛債権を譲渡することができることです。
ファクタリングの利用を決めたら、ファクタリング事業者に売掛債権の買い取りを相談して(審査・お見積り依頼)、審査に必要な書類提出や質問への回答を行います。以前は、ファクタリング事業者と面談のうえ利用の申し込みをすることが多かったですが、最近ではオンラインで完結する仕組みを提供するファクタリング事業者も増えています。
審査は早ければ即日~1週間程度で、ファクタリングの可否と手数料が提示されます。審査内容に納得したら、契約書類の記入をして契約という運びです。契約を締結したら、手数料を差し引いた売掛債権額がファクタリング利用者の銀行口座へ入金されます。
すべての2者間ファクタリングで行うわけではありませんが、債権譲渡登記を行うこともあります。債権譲渡登記とは、債権が譲渡されたことを登記することです。債権譲渡登記を行わないと、複数のファクタリング事業者と契約を結ばれてしまい、売掛債権が回収できなくなってしまうリスクを防ぐために、一部のファクタリング事業者では債権譲渡登記が行われます。債権譲渡登記が行われた場合には、誰からも債権の登記状況が確認できます。今後の取引への悪影響を懸念して、取引先へファクタリングの利用を知られたくない場合もあるかと思うので、利用前に債権譲渡登記の有無は確認しておくようにしましょう。
また、ファクタリングは貸金業ではないので、金利の上限のような手数料の規制がなく、数十%という高い手数料を請求する業者も存在します。申し込みをする前には、なるべく多くのファクタリング事業者を比較し、サービスのご利用条件やホームページ上での情報開示が多く信頼できる運営会社を選んだほうが良いでしょう。
なお、2者間ファクタリングで必要になる書類は、主に以下の通りです。
・決算書一式(勘定科目内訳明細書、税務申告書を含む)
・事業で利用している銀行口座の入出金明細
・直近の残高試算表
・請求書・見積書・契約書など取引の内容がわかるもの など
必要になる資料は、各ファクタリング事業者によって異なります。申し込みをする前に、希望するファクタリング事業者に必ず確認をしましょう。早期に資金調達をしたいのであれば、資料を揃えてから相談したほうが良いです。