借入以外の方法で資金調達のは存在するのか?

2024年2月14日

急遽運転資金が必要になったが、できれば借入をしたくないと思う方は一定数いるだろう。借入をしなくても資金調達する方法はいくつかあります。そこで本稿では、借入以外の資金調達法についてメリット・デメリットとともに紹介していく。

資金を調達する4つの方法

一般的な資金調達方法としては、主に以下の4つの方法が有名だ。

・金融機関や自治体などからの借入(融資)
・ベンチャーキャピタルや投資家などからの出資、クラウドファンディング
・公的補助金の活用
・売掛金や資産の現金化
最もメジャーな資金調達方法は、金融機関などからの借入(融資)だ。借入は、一度に多額の資金を調達でき、基本的に貸した側が経営に干渉してくることは少ないというメリットがある。しかし金融機関などの審査を通過する必要があり、担保や保証人が必要となることが多い傾向だ。なによりも返済しなければならない点が一番のデメリットである。
一方で出資やクラウドファンディング、補助金・助成金、資産の現金化によって調達した資金は返す必要がなく企業は経営に集中できる。以降では、返済の必要がない資金調達方法について詳しく解説していく。

公的補助金を活用する

国や地方自治体の補助金は、開業や新規事業など特定の目的に必要な資金を援助するものだ。資金調達の目的と合致する補助金があれば、ぜひ活用を考えたい。ただし対象となる事業について全額が補助されるとは限らない。補助額に上限が設定されていることもあるので、募集要項をよく読もう。公的補助金の交付を受けるには、審査に通過することが必要だ。

しかし採択(補助金・助成金交付の対象となること)されたからといっても、すぐに交付されるわけではない。先に対象となる事業を実行し、事後に再び審査を受けて補助金が交付される流れになるため、先に補助金の対象事業に必要な資金を確保しておく必要がある。また募集期間が設定されているものもあるため、公的補助金の活用を考えている場合は情報収集が欠かせない。

出資を受ける

まずは出資を受ける場合を見ていこう。

第三者割当増資

株式会社は、資本金を増やすために新たに株式を発行し、投資家などに買ってもらう(増資)。株式を買う立場から見ると「出資」になる。新規で株主を発行して増資する方法は、出資を募る対象によって以下の3つのタイプに分かれる。

・株主割当増資:既存株主が対象
・公募増資:一般投資家が対象
・第三者割当増資:特定の第三者が対象
このうち資金調達の方法としてよく用いられるのが第三者割当増資だ。「特定の第三者」は、取引のある企業や金融機関、ベンチャーキャピタルであることが多い。なお第三者割当増資の方法を使ってベンチャーキャピタルから出資を受けたい場合は、審査に通る必要がある。増資によって資金調達をした場合、株主である出資者が経営に干渉する可能性があるので注意が必要だ。

ベンチャーキャピタルは、投資先の企業価値を上げてIPO(株式公開)をさせ、その際に保有する株式を売却して利益を得るというビジネスモデルである。経営に干渉するのは、企業価値を上げるためだ。ただし企業価値を上げるための干渉が、企業にとって良い方向となることもあるので一概にマイナス面ともいえない。

クラウドファンディングを募る

近年、増加しているのがクラウドファンディングという手法だ。資金調達の目的とそのために必要な金額を公表し、賛同してくれる出資者を募る。特定のプロジェクトに対して出資を募るため、クラウドファンディングを募る側は、出資者に対してプロジェクトの経過を報告しなければならない。また出資者に対するお礼の品などのリターンを用意するのが一般的だ。
一定の期間を設けて出資を募るため、資金が集まるまでに時間がかかることがある。また目標金額に達しなければ、プロジェクト自体が成立しないため、知名度が高くない企業にはハードルが高い。

資産を現金化する

所有する不動産や設備などを売却して現金化する方法だ。特に車両や機械など中古の売買が盛んに行われている資産は、現金化するまでに時間もかからない。また不動産については、単なる売却ではなく「リースバック」という手法も行われている。リースバックとは、リース業者へ売却して資金調達する際に賃貸契約を付け、売却後も家賃を払いながら不動産を利用する方法のだ。

不動産や設備などの資産のほかに売掛金や約束手形も現金化できる。どちらも支払われる期日よりも前に業者に売却し、本来の支払額から手数料を引いた金額を受け取る仕組みだ。資産を現金化するうえで注意したい点は、手数料が発生して現金が目減りしてしまうこと。また売却する業者によっては不当に買いたたく者もいるため、注意したい。

運転資金調達はメリット・デメリットを理解する

借入以外にも運転資金を調達する方法はある。それぞれの方法についてメリットとデメリットを十分に理解したうえで方法を選ぼう。また資金調達の際は、運転資金について具体的にどれぐらい何に必要なのかを明らかにしておくことも重要である。