ファクタリングにおける債権とは?その意味や取り扱いについて解説

2023年5月22日

ファクタリングは資金調達方法の中でも近年注目されてきた比較的新しい手法といえますが、債権を現金化することで手元の現金を増やすことができます。

債権にもいろいろ種類がありますが、ファクタリングで使われるのは受取手形や売掛金などの売掛債権です。
そこで、ファクタリングにおける債権とはなにか、その意味や取り扱いについて解説していきます。

ファクタリングにおける「債権」とは

「ファクタリング」とは、個人事業主や中小企業などの間で広がりつつある資金調達の方法であり、保有する債権をファクタリング会社に売却することにより現金化するサービスです。

では、ファクタリングにおける「債権」とは何か、次の2つから理解を深めていきましょう。

1.未回収の売上代金を請求できる「権利」
2.取り扱われるのは「確定債権」のみ
それぞれ説明していきます。

未回収の売上代金を請求できる「権利」

ファクタリング会社に譲渡するのは「売掛債権」ですが、これは未回収の売上代金である売掛金を請求できる「権利」のことです。

取り扱われるのは「確定債権」のみ

ファクタリングでファクタリング会社が買い取るのは、将来入金されることが確定している「確定債権」のみです。

「確定債権」とは、売掛先から支払ってもらえることが決まっている売上代金を請求できる権利であり、支払い期日や金額など同意を得ている債権といえます。

ファクタリングで売掛債権が現金化される仕組み

ファクタリングで現金化されるのは売掛債権ですが、どのような仕組みにより資金を調達できるのか説明します。

まず、事業者間取引で商品またはサービスが納品・提供されると、売掛債権が「確定」することになります。

その売掛債権をファクタリング会社に譲渡する場合には、買取金額の見積もりを出してもらいましょう。

提示された金額で納得できれば、利用者とファクタリング会社で「契約」を結びますが、このとき、「手数料」分を差し引いた残りが利用者に支払われます。

その後、利用者は売掛先から売掛金を回収しますが、すでに債権はファクタリング会社に移っているため、回収分をそのままファクタリング会社に支払う流れです。

ファクタリングによる取り扱いが変わった「譲渡禁止特約」と「将来債権」

ファクタリングでは「確定債権」のみの扱いと説明しましたが、次の2つの取り扱いが変わりつつあります。

1.「譲渡禁止特約」の取り扱い
2.「将来債権」の取り扱い
それぞれどのような取り扱いか説明していきます。

「譲渡禁止特約」の取り扱い

従来の民法では、取引契約の中に、債権の譲渡を禁止する「譲渡禁止特約」が付されている場合の債権譲渡は「無効」とされていました。

しかし民法が改正されたことにより、譲渡禁止特約が付されている場合の債権譲渡でも「有効」とされます。

「将来債権」の取り扱い

民法の改正により、将来発生する「将来債権」を譲渡することが可能であることが明文化されました。

従来も判例により将来債権の譲渡は認められていたものの、確定債権のみが取り扱われていたといえます。

ファクタリング会社が債権を買い取る時点では未確定だったとしても、将来その債権を所有できるようになったため、将来債権の買い取りを積極的に行う業者も増える可能性があります。

注意したい「給料ファクタリング」で用いられる「賃金債権」

一般的に「ファクタリング」と呼ばれているのは事業者向けのサービスですが、注意したいのは事業者ではない個人を対象とした「給料ファクタリング」です。

「給料ファクタリング」で用いられるのは「賃金債権」であり、サービス自体は一般的なファクタリングと似ているものの、まったく異なるサービスとなっています。

注意が必要な「給料ファクタリング」を知るために、次の3つについて理解を深めておきましょう。

1.「賃金債権」とは
2.給料ファクタリングは「貸金業登録」が必要
3.事業者向けのファクタリングとは別物
それぞれ詳しく説明していきます。

「賃金債権」とは

労働者が働いたことによる「賃金」は、原則、勤務先から直接労働者に支払われます。

このとき、労働者が賃金を受け取る権利を「賃金債権」といいます。

給料ファクタリングは「貸金業登録」が必要

金融庁は給料ファクタリングを「貸金業」と公表しているため、サービスとして給料ファクタリングを提供するときには「貸金業登録」が必要です。

登録せずに給料ファクタリングを提供しているケースや、上限金利を無視した金利を設定している場合は、悪徳な「違法業者」なので注意しましょう。

事業者向けのファクタリングとは別物

給料ファクタリングは事業者向けファクタリングとは別物です。

事業者向けのファクタリングはあくまでも売掛債権の売買による現金化であり、貸金業ではありません。

給料ファクタリングの場合、貸金業登録もせずに違法な金利設定で金銭を貸し付けようとする「ヤミ金融業者」が行うケースもあり、悪質な取り立てに悩まされることもあるようです。

事業者の利用するファクタリングとは大きく異なるサービスのあるため、同視しないようにしてください。

まとめ

ファクタリングにおける債権とは売掛債権のことであり、商品やサービスを販売後に、その代金を請求する権利のことです。

一派的なファクタリングは貸金業ではなく、事業者が安心して資金調達に活用できるサービスのため、事業者以外の個人向けの給料ファクタリングとは別物と理解しておいてください。