ファクタリングで通知が送られる理由とは?

2023年12月28日

ファクタリングを使って資金を調達するときに、「内容証明」が必要になるケースがあります。
内容証明は契約や法的義務の履行を求めたり契約を解除したりなど、法律にかかわることで用いられることが多いです。なぜファクタリングで必要になるのか疑問を感じる方もいることでしょう。
そこで、ファクタリングで内容証明が送られる理由について解説していきます。

内容証明とは

「内容証明」とは、文書の中身(内容)を証明してもらう書留郵便のサービスで、次のことを証拠として残すことができます。

「いつ・誰が・誰に対し、どのような内容の文書を送り、いつ相手に到達したか」

郵便局で手続することで利用できますが、送付年月日・送付内容・送付した事実の証明をするための郵便ではあるものの、送付相手に文書の内容を強制して従わせることはできません。

ただ、法的手段に訴える前段階として、問題が解決しないのなら法的措置を選ぶ強い意思を表明することはできます。

通常の郵便なら、

「届いていない」
「受け取っていない」

と知らないふりをされる可能性がありますが、内容証明で送付しておくことにより、実際に裁判になったときにも相手に意思を表示した証拠書類として提出できます。

2社間ファクタリングで内容証明が送られる理由

「2社間ファクタリング」の場合、売掛先に対する通知や承諾を得る手続は必要ないため、本来なら内容証明を利用することはありません。

ただし次のケースでは、売掛先に対し内容証明郵便を利用した「通知」が行われることがあります。

・売掛債権を二重譲渡していたから
・売掛金をファクタリング会社に支払わなかったから
それぞれ説明していきます。

売掛債権を二重譲渡していたから

すでに別のファクタリング会社に譲渡済の売掛債権を持ち込み売却する「二重譲渡」があったときも、権利主張のために内容証明による通知が行われます。

二重に別々のファクタリング会社に売掛債権が譲渡されたとしても、売掛金を回収できるのは1社のみです。

売掛金を回収できないファクタリング会社を存在させることになるため、売掛先に対し権利を主張する目的で、債権譲渡通知書を内容証明付郵便により送付されます。

なお、二重譲渡も「詐欺」に該当する行為として、こちらも「刑事告訴」される可能性が高いため絶対に行わないようにしてください。

売掛金をファクタリング会社に支払わなかったから

2社間ファクタリングでは、売掛金の回収は「利用者」が行います。

そのため利用者は売掛先から売掛金を回収後、速やかにファクタリング会社に支払うという流れが必要です。

しかし利用者が回収した売掛金を使い込んだり持ち逃げしたりした場合、ファクタリング会社から売掛先に対し、債権譲渡があった旨を内容証明郵便で通知されることになるでしょう。

なお、ファクタリングで譲渡された売掛金を使い込む行為は「横領」に該当するため、「刑事告訴」や「損害賠償請求」の対象となることは十分理解しておいてください。

3社間ファクタリングで内容証明が送られる理由

強制能力はないものの、「証拠書類」としては活用できる内容証明ですが、ファクタリングで必要になるのはどのような場面でしょう。

まず、ファクタリングには、次の2つの契約があります。

・利用者とファクタリング会社で契約を結ぶ「2社間ファクタリング」
・利用者・ファクタリング会社・売掛先で契約を結ぶ「3社間ファクタリング」
このうち、「3社間ファクタリング」で内容証明が必要になるのは、売掛先に対しファクタリングを利用することを通知するときです。

3社間ファクタリングでは、利用者がファクタリング会社に売掛債権を譲渡するにあたり、先に売掛先に通知し承諾を得ることが必要になります。

このとき、売掛先に「債権譲渡通知」を内容証明付郵便で発送します。

また、3社間ファクタリングでは売掛先からファクタリング会社に直接売掛金の支払いが行われるため、送金で必要な手続の確認にも活用されます。

ファクタリング会社から内容証明が送られる理由

ファクタリング会社から内容証明が送られる理由は、買い取った売掛金が回収できず、「貸し倒れ」にならないようにするためです。

3社間ファクタリングでは売掛先に対する通知が前提のため、内容証明を利用することになります。

2社間ファクタリングでは売掛先にはファクタリング利用の事実は伝えないため、内容証明を使うのは「売掛金不払い」や「二重譲渡」があったときのみです。

しかしファクタリング会社によっては、2社間ファクタリングによる契約を結ぶ上で、売掛先に対する通知を行わない代わりに「債権譲渡登記」を求めてくる場合もあります。

債権譲渡登記とは、法人の金銭債権譲渡に対し、債務者以外の第三者に対して「対抗要件」を備えるための制度です。

本来、債権譲渡について第三者に対抗するには、確定日付ある証書を債務者に通知するか、債務者から承諾を得ることが必要です。

3社間ファクタリングで、売掛先に対し通知を行うことや承諾を得ることは、第三者に対する対抗要件に備えるためといえるでしょう。

しかし2社間ファクタリングではこの流れがありませんが、債権譲渡登記を行えば確定日付のある通知があったとみなされるため、第三者に対する対抗要件に備えることが可能となります。

そのためファクタリング会社によっては、売掛金が未回収となるリスクを防ぐために債権譲渡登記を必須とする場合もあるようですが、登記にかかる費用は利用者が負担しなければなりません。

登録免許税や司法書士に対する報酬など負担することになれば、ファクタリングを使った資金調達が十分なものにならない可能性もあるため、「未登記」や留保などで対応してくれるファクタリング会社と契約することをおススメします。

売掛先が内容証明を受け取った後の影響

売掛先に内容証明により送付された債権譲渡通知を受け取った場合、その影響として考えられるのは「資金繰りが危ない会社」と懸念されるリスクが発生することといえます。

一般的に内容証明付郵便は、相手に訴えたい内容を送るときや法的な書類を送付するときなどに利用されます。

ただでさえ内容証明であることに驚きを隠せない売掛先が、その内容を確認することでトラブルに巻き込まれたくないと考える可能性も否定できません。

仮に資金繰りが悪化している会社と「懸念」されるようになれば、その後の取引量や取引額が減少されたり契約を打ち切られたりといった状況に陥る可能性も考えられます。

そのため3社間ファクタリングを利用するときには、売掛先とのその後の関係が悪化しないか十分に見極めて決めることが必要です。

2社間ファクタリングを利用するときにも、売掛金の未払いなど起こさず、回収後は速やかにファクタリング会社に支払うようにしてください。

身に覚えのない内容証明が届く理由と対処法

内容証明の届け先となるのは売掛先ですが、仮に自社に知らないファクタリング会社から内容証明付郵便が送られてきたとしたら、その理由として次のことが考えられます。

・取引先によるファクタリング利用
・単なる誤送
・悪質業者の詐欺
それぞれ説明していきます。

取引先によるファクタリング利用

ファクタリング会社から内容証明付郵便が届く理由として、取引先がファクタリングを利用したことが挙げられます。

単なる誤送

本来は別の会社に送るはずだった内容証明付郵便が、誤送により届いたという可能性もあるといえるでしょう。

この場合、発送した会社に誤送ではないか問い合わせてみましょう。

悪質業者の詐欺

内容証明付郵便が届いた理由は、取引先のファクタリング利用や誤送でもない場合、ア失業者の詐欺の疑いもあります。

身に覚えのない債務を支払う必要はなく、詐欺行為の危険もあるため細心の注意が必要です。

請求書を偽装してファクタリングを利用し、現金化したという可能性もあるため、まずは送付したファクタリング会社に問い合わせを行い、トラブルが大きくなる前に専門家などに相談しましょう。

悪徳業者と優良業者の見極め方

ファクタリングは保有する売掛金を現金化するサービスであり、ファクタリング会社によっては最短即日に資金を調達できることが魅力です。

すぐに現金を用意しなければならないという場面や、銀行融資の審査に通らないという場合でも、資金調達の手段として活用できます。

ただ、契約相手となるファクタリング会社は十分に見極めが必要であり、悪徳業者に騙されないように注意しなければなりません。

仮に悪徳業者と契約してしまうと、高額で法外な手数料を請求されることとなり、資金繰りを改善させるどころか悪化させることになります。

表向きはファクタリング会社を装い、金銭を貸し付けようとするヤミ金融業者も横行しているため、次の項目を確認した上でファクタリング会社を選ぶようにしましょう。

・過去の実績が豊富
・手数料が安い
・現金化までのスピードがはやい
・必要書類の量が少ない
・売掛債権の買取可能額が広く下限がない
・オンライン対応も可能
上記に該当するファクタリング会社なら、優良で安心できる業者と判断できます。

まとめ

ファクタリングで内容証明付郵便が必要になるのは、主に3社間ファクタリングで契約するときです。

しかし2社間ファクタリングを利用した場合でも、売掛先から回収した売掛金をファクタリング会社に支払わなかったときや、すでに売却済の債権を二重譲渡したときは内容証明付の郵便で売掛先に通知されます。

売掛先にファクタリング利用を知られると、経営状況や財務状態が悪化している会社ではないかと懸念されるようになり、その後の取引に影響する場合もあります。

もし売掛先に対する内容証明による発送を避けたいなら、3社間ではなく2社間ファクタリングを利用することと、回収した売掛金は速やかにファクタリング会社に支払うことを徹底してください。

売掛金の使い込みも二重譲渡も刑事告訴の対象となりえるため、絶対に行わないようにしましょう。