売掛先が個人事業主でもファクタリングは利用できるのか?その疑問について徹底解説!
2024年12月9日
この記事では、「売掛先が個人でもファクタリングが利用できるのか?」という疑問にお答えします。
ファクタリングを利用する際、一般的には、法人に対する売掛金を売却します。
しかし「取引先のほとんどが個人なので、個人に対する売掛金しか売却できない……」といったケースもあるはずです。
資金繰りにお困りで「法人以外に対する売掛金も売却したい」とお考えの事業者様は、ぜひ参考にしてください。
個人事業主と個人の違い
本題に入る前に、“個人事業主”と“個人”の違いについて、把握しておきましょう。
結論、個人事業主と個人には、大きな違いはありません。
個人事業主とは、法人を設立せず、個人で税務署に開業届を出して事業を行っている人を指します。
一方で個人とは、個人事業主も含めた、組織に属していない人々のこと全体を呼称するものです。
つまり、開業届を出している点は違えど、基本的に個人と個人事業主は同じ意味を指しているわけです。
実際、開業届を出さずとも事業を営むことは可能であるため、実態を考えても個人事業主と個人の間に、大きな差はないといえます。
なお、近年は個人事業主と同じような意味合いで、“フリーランス”という言葉も使われています。
特定の企業や団体に所属せず働くという点で、フリーランスと個人事業主が類似しているのは確かです。
ですが、フリーランスには、個人や個人事業主のみならず、自分一人が属する法人を設立している、つまり実態としては経営者として活動している方も含まれます。
フリーランスの方が全員、個人事業主でもあるわけではないのです。
売掛先が個人の場合でもファクタリングは利用可能?
売掛先が個人の場合のファクタリングの利用可否については、売掛先の事業実績や知名度が大きく関連してきます。
【売掛先が個人でもファクタリングが利用できるケース】
・売掛先に十分な事業実績がある
・利用者と売掛先の間に継続的な取引があると認められる
・売掛先の知名度が高い
事業実績の有無、継続的な取引の有無などの条件がクリアできれば、売掛先が個人でもファクタリングを利用できる可能性はあります。
また、売掛先が有名な人物であれば、法人の場合と同程度の信用を得られる見込みもあります。
【売掛先が個人でファクタリングが利用できないケース】
・売掛先の事業主としての信用度が低い
・売掛先の事業実績が不十分である
・新規の売掛先で、過去に取引実績がない
前提として、法人に対する売掛金と比較すると、個人に対する売掛金を売却する場合は、ファクタリングを利用できる可能性は低いと言わざるを得ません。
なぜなら、個人は社会的信用を得るのが法人と比べて難しく、ファクタリングの審査に通るのが非常に困難であるからです。
また、仮に申し込みまではできたとしても「事業実績が十分でない」「取引実績がない」などの要素があれば、審査で落とされるおそれがあります。
売掛先が個人の場合にファクタリングの利用が難しい理由
なぜ売掛先が個人だと、ファクタリングの利用が困難になるのでしょうか。
1.存在確認が困難であるため
2.法人と比べて信用度が低いため
理由➀存在確認が困難であるため
売掛先が個人の場合に、ファクタリングの利用が困難になる主たる理由の一つとして、事業主としての個人の存在確認が困難であることが挙げられます。
法人の場合、資本金の額や代表者の氏名などの重要な情報は、登記簿謄本を調査すれば把握でき、事業の実態を容易に確かめることが可能です。
また、国税庁から割りあてられた法人番号を、法人番号公表サイトで検索することでも、法人登記がなされた年月日、本店所在地などを容易に確認できます。
これらの情報は、ファクタリング業者が売掛先の実態を直接調査する際にも非常に役立ちます。
対して、個人で事業を営む方には登記簿謄本も法人番号も存在しないため、その氏名や所在地、活動の実態などを、第三者が確認することが非常に困難です。
ファクタリング業者が買い取った売掛金の売掛先が、実態のない架空の個人であることも十分に起こりえます。
こうした事情から、ファクタリング業者も個人の売掛金を買い取るのは避けたいと考え、売掛先が個人の場合は利用を拒否することがあるわけです。
理由②法人と比べて信用度が低いため
もう一つの理由が、先にも挙げた、“法人と比べて個人は信用度が低い”という点です。
信用度の差が表れる要素として、まず挙げられるのが資金力です。
新しく法人を設立するには、法定費用に加えて一定の額の資本金が必要となります。
法的には1円でもあれば法人の設立は可能ですが、一般的には「法人設立から3か月利益が出なくとも事業を継続できる」金額を用意しておくことが望ましいとされています。
つまり法人を設立できた時点で、ある程度の資金力があることの証明となるわけです。
対して、個人が事業を始める際には、法定費用も発生しなければ、目安となる資本金の額も定められていません。
そのため、まったく資金が手元にない方でも、事業主としての肩書きだけは得ることができます。
加えて、法人と個人では事業規模にも差があり、これも信用度の差につながります。
法人として手広く事業を手がけていれば、ほかの企業とのつながりも増え、自然と信用度も高まっていくものです。
基本的に小規模な取引の多い個人では、上記のように信用度を高めるのは難しいでしょう。
また、個人で事業を営む場合と異なり、法人を運営するためには、会社法をはじめとする法律を遵守しなければなりません。
結果として、厳格な管理のもと法人が運営されるので、法人の売掛先は必然的に社会的信用度も増していきます。
このように、法人と個人の信用度には大きな差があります。
売掛先が個人だと、ファクタリングの利用を拒否されてしまうのには、信用度の低い事業主との取引を避けたい、という意図があるのです。
ファクタリングの審査の観点
そもそもファクタリング業者は、審査の際に何を重視するのでしょうか?
観点①売掛金 の回収可能性
ファクタリングの審査においてもっとも重視されるのが、売掛金を回収できる可能性の高さです。
一般的なファクタリング契約には、ファクタリング業者が売掛金を回収できなかった際に、その分の金額を利用者に請求する“償還請求権”がありません。
そのため、買い取った売掛金が回収できなかった場合、ファクタリング業者が大きな損害を被ることになります。
そうした事態を避けるためにも、ファクタリング業者は、売掛金の回収可能性を入念に確認するのです。
回収可能性の指標の一例としては、売掛金の支払期日までの長さが挙げられ、支払期日までが長いと、「売掛金を回収できなくなる可能性も高い」とみなされます。
そのため、多くのファクタリング業者は、支払期日までの期間が長い売掛金を買い取らない傾向にあります。
観点②売掛金 の信用力
回収可能性とともに重視されるのが、売掛金の信用力です。
上場企業や有名大手企業などは、経営状況が突然悪化する可能性が非常に低いため、そうした企業に対する売掛金は、信用力が高いと判断されます。
反対に、小規模で資本金も少額なベンチャー企業や、経営状況が傾いている企業の売掛金は、信用力が低いとみなされます。
信用力の低さはそのまま回収可能性の低さにつながるため、該当する売掛金をファクタリング業者に買い取ってもらえる可能性は、非常に低いでしょう。
観点③利用者の事業実績に対する 利用額の妥当性
売り上げや過去の取引の額といった、利用者の実績に対する売掛金の額の妥当性も、ファクタリング業者の重視するポイントです。
特に、売掛金の額があまりにも高いと、慎重に審査が行われる傾向にあります。
売掛金の額が、利用者の年間売り上げや、過去の取引の額と照らし合わせて高すぎる場合、提出された資料が偽造されているおそれがあるからです。
また「売掛先からの入金があったときに、きちんと全額支払ってくれるのか?」という懸念も存在します。
そのため、実際の取引から発生した売掛金だとしても、額が高いという理由から審査が遅れたり、買い取りを断られたりする場合もあります。
ファクタリングを利用する際は、自社の売り上げ状況や取引状況も鑑みたうえで、上記のリスクを疑われない程度の額の売掛金を売却するのが最善です。
観点④差し押さえリスクの有無
ファクタリングの審査では、差し押さえリスクの有無もチェックされます。
売掛先に、税金の滞納や、借入金の返済延滞があった場合、本来はファクタリング業者が回収するはずだった代金も、差し押さえられてしまうかもしれないのです。
ですから、ファクタリングの審査では、売掛先の、税金の滞納や借入金の滞納の有無が徹底的に調査されます。
まとめ
今回は、「売掛先が個人でもファクタリングを利用できるのか?」という疑問にお答えしました。
売掛先が個人の場合、法人に対する売掛金を売却する場合と比較すると、ファクタリングを利用できる可能性は低いと言わざるを得ません。
しかし、売掛先の事業実績や取引実績などが十分であれば、ファクタリング業者の信用を得ることができます。
ファクタリングを利用する際は、上記に該当する個人の売掛金を買い取ってもらいましょう。