ファクタリングは非課税取引?その仕組みとは?
2025年1月5日
この記事では、ファクタリングに消費税はかからないのか、非課税取引の中身について徹底解説していきます。
ファクタリングを利用して資金を調達しても、その取引に消費税はかかりません。
そのため売掛金をファクタリング会社に譲渡しても、消費税が上乗せされて請求されることはないといえます。
しかし、ファクタリングの見積書や請求書に、「消費税」という項目があったとしたら、それは何に対して課税されるのか説明を求めることが必要です。
ファクタリングを利用しても消費税はかからない
ファクタリングを利用して資金を調達しても、その取引に消費税はかかりません。
ファクタリングは、事業者が所有する売掛金などの売掛債権をファクタリング会社に売却し、その代金を期日よりも前に受け取ることが可能である資金調達の方法です。
売掛債権をファクタリング会社に譲渡する際、売買数料は発生します。
ただし売買手数料に消費税が課税されることはありません。
売掛金を消費税法施行令と照合すると、広儀では有価証券としての扱いとなるため、ファクタリングで譲渡しても消費税の課税対象にはならないといえます。
税金がかかる取引
消費税が課税されるのは、次の3つを満たす取引です。
・日本国内での取引であること
・事業として行う取引であること
・対価を得ることを目的とする取引であること
対価を得ず無料で取得するものや、贈与や寄付など対価が発生しない取引に対して消費税はかかりません。
さらに、賃貸住宅を契約する際に支払う敷金・保証金など、将来返還される性質のものも課税対象外です。
かかる敷金・礼金・保証金など、将来的に返戻されるものにも消費税はかかりませんし、貸付金の利子、手数料、保証料、保険料なども非課税の扱いとなっています。
ファクタリングを利用したときにも手数料を支払いますが、その場合も消費税はかからない非課税の扱いとなるため、ファクタリング会社から請求されることはありません。
ファクタリングを利用しても消費税がかからない理由
ファクタリングを利用したときに消費税はかからないため、余計な出費を増やすことがなく安心して契約でできます。
消費税がかからない理由は、国税庁のホームページなどに記載されている内容から確認できますが、具体的には次の3つがその根拠です。
1.売掛債権譲渡は非課税取引に該当する
2.消費税の課税対象になじまない取引である
3.金銭債権の譲受対価である手数料は非課税である
それぞれの理由と根拠について解説していきます。
1.売掛債権譲渡は非課税取引に該当する
ファクタリングを利用しても消費税はかかりませんが、その理由として取引自体が非課税取引に該当することが挙げられます。
ファクタリングが非課税取引に該当する根拠については、国税庁のホームページ「非課税となる取引」に次のように記載されています。
消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う取引を課税の対象としています。
しかし、これらの取引であっても消費に負担を求める税としての性格から課税の対象としてなじまないものや社会政策的配慮から、課税しない非課税取引が定められています。
上記の記載に加え、「非課税取引」の種類として17の取引を挙げており、ファクタリングによる売掛債権譲渡はこの中の2つ目である「有価証券等の譲渡」に該当します。
2つ目の「有価証券等の譲渡」については以下のとおり記載があります。
国債や株券などの有価証券、登録国債、合名会社などの社員の持分、抵当証券、金銭債権などの譲渡
ただし、株式・出資・預託の形態によるゴルフ会員権などの譲渡は非課税取引には当たりません。
以上の記載から、売掛債権も「金銭債権などの譲渡」に含まれると考えられ、消費税はかからないとい判断できます。
2.消費税の課税対象になじまない取引である
消費税はすべての取引に課税されるわけではなく、中には課税対象としてなじまないとされる取引もあり、ファクタリングもこの取引に該当します。
ファクタリングで売掛金を現金化したときには、ファクタリング会社に対し「手数料」を支払います。
手数料にも消費税はかかりませんが、その根拠として同じく国税庁の公式ホームぺージの「預金や貸付金の利子など」に記載があります。
「預金や貸付金の利子など」の概要についての記載は以下のとおりです。
消費税は、財貨やサービスの流れを通して消費に負担を求める税です。
したがって、消費税の課税の対象になじまない資金の流れに関する取引などは非課税とされています。
この概要に加え、何を対価とした金融取引が非課税になるのか、20の項目を挙げています。
その20のうち、「手形の割引料」にファクタリングで発生する手数料は含まれるといえるでしょう。
また、ファクタリングと類似した取引に「手形割引」がありますが、手形割引では「手形」を銀行や手形割引業者に譲渡し、現金化します。
手形を買い取る銀行や手形割引業者は、手形額面金額から「割引料」を差し引き、残りを手形所持者に支払いますが、「割引料」にも消費税はかかりません。
そのためファクタリングで負担することとなる「手数料」も、手形の割引料と同様に消費税はかからないと考えられます。
3.金銭債権の譲受対価である手数料は非課税である
ファクタリングで消費税がかからない理由として、金銭債権の譲受対価である手数料は、非課税であることが挙げられます。
これについては、国税庁のホームページ「金銭債権の買取り等に対する課税関係」に、
売掛金や貸付金などの金銭債権を譲渡する取引や、その際に発生する手数料についての取り扱いに関する照会内容などの記載があります。
照会内容に対する回答は次の2つです。
契約上、金銭債権の譲受けなら金銭債権の譲受対価として非課税となる
金銭債権の譲受けの際に債権者から徴収する割引料・保証料・手数料は、名目にかかわらず金銭債権の譲受対価として非課税となる
この回答からも、ファクタリングは「取引」そのものと発生する「手数料」のどちらも消費税がかからないといえるでしょう。
ファクタリングで消費税を請求された場合の対処法
もしもファクタリングを利用する上で、取引そのものや売買手数料に消費税が課税されている見積書や請求書を受け取った場合、相手は悪徳業者である可能性を疑いましょう。
ファクタリングがまだ十分に周知されていないことを利用し、相手は何も知らないだろうと、税金を上乗せした見積もりを提案してくる悪質業者も存在します。
ファクタリングを利用して資金調達する多くの事業者は、銀行融資の審査を待っていられないほど切羽詰まった状況にあることが少なくありません。
急いでお金が必要という状況の足元を見て、本来であれば払う必要のない消費税を加え提示してくるのは悪徳業者です。
また、消費税だけでなく本来存在しない費用まで請求される恐れがあります。
正規のファクタリングを利用した場合でも、売買手数料は銀行から融資を受けるときの利子よりは割高です。
悪徳業者との契約で、本来払う必要のない多額の費用を請求されれば、十分な資金調達につながらないだけでなく資金繰りはますます悪化します。
提示された見積もりや請求書の中に「消費税」という項目が記載されているときには、すぐに取引を停止し契約しないでください。
資金調達を目的としてファクタリングを利用する以上は、無駄な費用は支払わなくてよい形で取引を行えることが重要です。
まとめ
ファクタリングを利用しても消費税は課税されることはありません。
その理由と根拠は、国税庁の公式ホームページに記載されている内容からも確認できるため、もしも不安を感じるときには事前に確認しておくと安心です。
ただ、2社間ファクタリングなどで債権譲渡登記を求められたときには、登記申請手続を依頼する司法書士に支払う報酬には消費税がかかります。
司法書士に対して支払う報酬以外で消費税が追加されているときには、相手は悪徳業者と判断し契約を中止しましょう。
正しい消費税の知識を身につけておくことで、ファクタリングで資金調達するときだけでなく、様々な場面で余計な費用を負担することはなくなります。
信頼できる正規の業者と契約することが重要となるため、悪徳業者に騙されないためにも正しい知識を身につけておくようにしてください。