ファクタリングの市場規模は?今後の動向や成長について解説
2023年9月13日
ファクタリングという資金調達方法が、ようやく日本でも知れ渡ってきました。
しかし、海外と比較すると利用者は多いとは言えず、未だに闇金のようなイメージをもっている人も多いはず。
そこで今回は、現在のファクタリングの市場規模から、今後のファクタリング業界の動向について詳しく解説します。
今後のファクタリングの市場規模、国内外の違いを知りたい、そもそもファクタリングがよくわからない人に向けて説明をするので、これからファクタリング利用を検討している人は参考にしてください。
そもそもファクタリングとは
ファクタリング市場規模について解説してきましたが、そもそもファクタリングの仕組みがわからない人も多いのではないでしょうか。
ファクタリングには2社間と3社間の2種類が存在するので、それぞれの違いについて解説していきます。
2社間ファクタリングとは
ファクタリング会社と利用者だけで行われるファクタリングのことです。
契約時は売掛先との取引はせずに、信用調査を行うのが2社間ファクタリングの特徴です。
2社間ファクタリング取引の流れは以下の通りです。
①売掛金が発生
②利用者がファクタリング会社に売掛金を譲
③ファクタリング会社が売掛金を買い取る
④ファクタリング会社から売掛金の額が振り込まれる
⑤売掛先から売掛金が振り込まれる
⑥受け取った売掛金をファクタリング会社に返済
2社間ファクタリングは利用者とファクタリング会社だけで取引が成立するため、 売掛先には知られずに資金調達が可能となります。
また2社間のみで行われることから、 入金までのスピードが早く 、急遽「資金が必要になった」という場合にも便利な資金調達方法です。
ただし、売掛先との直接的な取引がないので売掛先債権の回収できないリスクがあるため、手数料が高めに設定されています。
3社間ファクタリングとは
利用者とファクタリング会社と売掛先の3社間で行われるファクタリングです。
3社間ファクタリング取引の流れは以下の通りです。
①売掛金が発生
②ファクタリング会社に買取の依頼
③売掛先にファクタリング契約の承諾を得る
④ファクタリング会社に売掛金を譲渡
⑤ファクタリング会社から売掛金の額が振り込まれる
⑥ファクタリング会社が売掛先に通知する
⑦売掛先から売掛金をファクタリング会社に支払う
2社間の場合は「利用者」と「ファクタリング会社」のみでしたが、取引で「売掛先」も関わることで売掛先債権の回収リスクが軽減されます。
そのため 2社間ファクタリングよりも手数料が安く設定されています。
手数料は安く済みますが、売掛先と取引を行うので入金までのスピードが遅くなってしまいます。
売掛先の承諾が必要ですが、 手数料を抑えたい人は3社間ファクタリングの方がおすすめです。
ファクタリングの市場規模と動向
日本でのファクタリングは海外ほど馴染みがありませんでした。
近年になって日本でも「ファクタリング」という言葉が浸透し、利用する人が多くなりました。
しかし、それでも日本よりも海外の市場規模が大きく、資金調達の主流となりつつあります。
日本と海外のファクタリング市場規模の推移の違いを見ていきます。
日本国内のファクタリング市場規模の推移
それでは先に、日本国内のファクタリング市場規模の推移を説明していきます。
他国に比べると日本での知名度が低いファクタリングですが、徐々に増えています。
しかし2013年は77,255万ドルまで上昇しているものの、翌年の2014年には51,072万ドルまで減少。
減少理由として「ファクタリング=悪質な資金調達」というイメージが定着したことを挙げることができます。
実際のところ悪質なファクタリング業者は存在しています。
支払いが遅れると脅したり、高額な手数料を取るなど闇金のような行為が行われることがあります。
このような悪質な業者が増えたのは2011年以降と言われており、統計データを見る限り2013年がピークとなっております。
完全にファクタリングの悪いイメージを払拭できてないものの、 2018年以降は日本でも増加傾向にあると言えます。
海外のファクタリング市場規模の推移
次は海外のファクタリング市場規模の推移を見ていきます。
海外は日本よりもファクタリングは大きく拡大しており、定着している状況にあります。
海外の取扱高を見てみると、日本よりもファクタリングが発展していることがわかりました。
特にイギリスやフランス、またイタリアやドイツではファクタリング需要は高く、今後も拡大していくと考えられます。
しかし一方でアメリカでは、ヨーロッパに比べると需要率はそこまで高くありません。
アメリカの市場規模は平均約1000億ドルですが、大幅に増加することなく一定の取扱高をキープしている状態です。
アメリカではすでに資金調達としてファクタリングが浸透しているため、減少することなく1000億ドルをキープできているのかもしれません。
海外の方が日本よりも早く発展していることから、アメリカではすでに成熟期に突入していると予想されます。
ファクタリングの市場規模が徐々に拡大している背景
日本でもファクタリング市場規模が少しずつではあるものの、拡大していることがわかりました。
しかし、なぜ今になってファクタリングの市場規模が拡大しているのでしょうか?
考えられる理由は下記の通りになります。
ファクタリングに関する規制緩和や法改正が行われた
ファクタリングが日本で浸透した理由として、 規制緩和と法改正の影響が大きいです。
1998年10月に債権譲渡特例法が施行されたことにより債権譲渡登記制度が成立。
さらに2005年には、登記による対抗要件制度が創設されたことにより、ファクタリングの市場規模拡大につながったとされています。
また2020年には民法が改正され、債権譲渡特約がついた売掛債権であってもファクタリングが可能となり、今後も拡大していくと考えられます。
手形取引のメリットがなくなった
国内でファクタリングの市場規模が拡大している理由として「手形取引」が衰退したことが挙げられます。
<手形取引とは>
額面上の金額を規定期日まで支払うことを約束した証書のことを指します。
これまでは日本では手形取引が一般的に行われていましたが、手形印紙の購入やコストなどを考えると便利とは言えません。
その上、わざわざ手形取引をしなくても、インターネット上で取引先を信用できるかどうか確認ができるようになっています。
ファクタリング市場の今後は?2021年から2026年で市場は約6%のCAGRで成長
現在のファクタリング市場規模や国内と海外の違いを説明しました。
今後のファクタリング市場ですが、2021年から2026年の間に約6%のCAGRで成長するのではないかと言われています。
具体的には以下の理由を元に、市場規模が今後も拡大していくと考察できます。
規制緩和・法改正による取引の円滑化
前途でも話した通り、 規制緩和と法改正による取引の円滑化のおかげで市場拡大を見込むことができます。
1998年に債権譲渡特例法が施行、2005年には債権譲渡登記制度が改正、そして2020年には債権譲渡特約の無効が定められました。
これらの規制緩和を行った結果、 ほとんどの売掛債権がファクタリングに利用できるようになりました。
経済産業省もファクタリングを推進している
ファクタリングは経済産業省が推進しているサービスです。
大手企業も、手形支払いからグループ会社でファクタリングに以降しました。
また「将来債権」の譲渡が2020年の法改正によって明確に定められ、ファクタリングの幅が広がりました。
2020年以前のファクタリングは「確定債権」のみ認められていましたが、 将来発生する債権を譲渡することが可能。
IT化による市場規模の拡大
近年、いろいろなサービスでIT化が進んでいます。
もちろんファクタリングといったサービスなども IT化により手軽かつ、安心に利用できるようになりました。
AIで審査が行われたり、契約もオンライン完結ができるような仕組みが増えており、ファクタリング会社に来社する必要もありません。
一昔前までは東京や大阪などを拠点にしているファクタリング会社が多かったため、遠方の企業からすると利便性の悪いサービスでした。
しかし、IT化が進んだことによりオンライン完結が可能となり、 遠方の企業でも利用できるような環境となりました。
ファクタリングの市場規模 まとめ
ファクタリング市場規模について紹介しました。
国内のファクタリング市場規模は、海外に比べると発展しているとは言えない状況です。
その原因として「ファクタリング=悪質な業者」といった印象が強く、闇金のような危ない資金調達方法として見られているためです。
それでも法改正や経済産業省の推進、またIT化が進んでいることから日本でもファクタリングが浸透しつつあります。
今後も国内外と共に、ファクタリング需要が高まると予想されています。
日本でも安心して利用できる資金調達方法として、市場規模が拡大していくと考えることができます。