ファクタリング業に古物商許可は不要?その仕組みについて詳しく解説!
2024年12月4日
ファクタリング会社が一般的な売掛債権の買取を行う場合は、古物商許可は不要です。
これは、ファクタリングの買取対象が物ではなく債権であるためです。
一方、在庫商品を現金化する「在庫商品ファクタリング」を行う場合は、古物商許可が必要になります。在庫ファクタリングは中古品買い取りと同じ建て付けとなるため、古物商許可を取得する必要があります。古物商許可は、その地域の公安委員会(警察)が発行します。
ファクタリング会社を開業する際に必要な許認可は、貸金業法や古物商許可などはありません。
これは、ファクタリングが貸金業ではなく売掛債権の譲渡契約であるためです。
また、ファクタリングには規制できる法律が存在しないため、許認可は不要となっています。
ただし、貸金業に登録しておくと優良業者であることを証明できるため、利用者に安心感を与えることができます。
この記事では、古物商許可とは?在庫ファクタリングとはどのようなサービスなのか?
について詳しく解説していきます。
在庫ファクタリングとは
「在庫ファクタリング」は、保有する在庫をファクタリング会社に売却し、現金化するサービスです。
販売する予定で保管した商品や、すでに売れなくなった商品も対象とすることができます。
手元の資金を増やす目的だけでなく、売れ残り販売予定のない商品を処分する目的でも活用できることが特徴です。
そこで、在庫ファクタリングについて次の3つを説明していきます。
1.仕組み
2.手続の流れ
3.通常のファクタリングとの違い
仕組み
在庫ファクタリングは、在庫として抱えている商品をファクタリング会社に売ることで、買取代金を受け取ることができる仕組みです。
ブランド品や書籍、ゲームなどをリサイクルショップに売ってお金に換えることと同じ仕組みであり、古物の売却と同じ手法です。
通常のファクタリングは売掛債権を現金化するのに対し、在庫ファクタリングでは在庫商品があれば資金調達に活用できます。
在庫商品は今後も販売できる商品でなくても、売れ残り不良在庫化している商品でも対象です。
現金化する対象が商品であるため、在庫ファクタリングを利用できるのは「小売業」や「卸売業」といえます。
手続の流れ
在庫ファクタリングは、在庫として抱えている商品を現金化するサービスであるため、利用者とファクタリング会社のみで手続は完結します。
リサイクルショップで中古品を売るときと同じ、次の4つの流れで手続を進めます。
1.在庫ファクタリングの利用を申し込む
2.ファクタリング会社が売却対象の商品を査定し、買取価格の見積もりが提示される
3.ファクタリング会社に在庫を売却する
4.ファクタリング会社から買取代金を受け取る
通常のファクタリングとの違い
在庫ファクタリングと通常のファクタリングの違いは、売却の対象となる「資産」といえます。
まず、在庫ファクタリングは在庫として管理している「商品」ですが、通常のファクタリングは「売掛債権」です。
そのため在庫ファクタリングの審査は、売却する商品の査定を行い、買い取る価値の有無や金額を判断します。
しかし通常のファクタリングでは、期日に売掛先から確実に入金されるか、信用力を重視した審査が行われます。
そのため財務状況が悪化している事業者でも、信用力の高い売掛先の債権を保有していれば、資金調達に活用できます。
在庫ファクタリングは、ファクタリング会社から見たとき、買い取る価値がある商品と判断されなければ利用できません。
在庫ファクタリングのメリット
在庫ファクタリングは、通常のファクタリングと異なり、売掛債権ではなく在庫として保管・管理している商品を現金化の対象とします。
一般的なファクタリングよりも知名度が低いサービスといえますが、利用することには次の5つのメリットがあると考えられます。
1.資金調達できる
2.融資審査に通らなくても利用できる
3.商品価値低下や劣化を防ぐことができる
4.不動在庫を整理できる
5.管理コストを削減できる
在庫ファクタリングのデメリット
在庫ファクタリングは、資金を調達すること以外にも、不動在庫の処分や管理コストの削減などいろいろなメリットがあります。
しかし次の3つのデメリットには留意した上で利用を検討することが必要です。
1.現金化まで時間がかかる
2.調達金額が低め
3.対応業者が少ない
在庫ファクタリングがおすすめのケース
在庫ファクタリングは、通常のファクタリングとは異なる特徴のあるサービスです。
そのため、在庫ファクタリングがおすすめなのは、次の3つに該当するケースといえます。
1.資金を調達したい
2.在庫管理コストを軽減したい
3.過剰在庫や不動在庫をなくしたい
資金を調達したい
在庫ファクタリングは、借入れ以外の方法で資金を調達したいときにおすすめです。
資金繰りが厳しい中、銀行から融資を受けて資金を調達したくても、審査に通らず借入れできない場合もあるでしょう。
小売業などが通常のファクタリングを利用したくても、売掛債権を保有しておらず、資金調達につながらないこともあります。
このような場合でも、在庫ファクタリングで在庫品を現金化すれば、手元の資産を使って資金調達できます。
在庫管理コストを軽減したい
在庫ファクタリングは、保有する商品などの在庫管理コストを削減したいときにおすすめです。
多く商品を在庫として抱えていれば、管理にかかる費用を準備しなければなりません。
仮に在庫商品が食品の場合、冷蔵庫や冷凍庫で管理することになるため、電気代が多くかかります。
衣料品などはカビなどが発生しないように、除湿を適切に行うための空調設備費などもかかることになるでしょう。
在庫ファクタリングで在庫品を処分できれば、商品の管理費を削減できます。
過剰在庫や不動在庫をなくしたい
在庫ファクタリングは、過剰在庫や不動在庫をなくしたいときにおすすめです。
商品を在庫として抱えた状態のままでは、商品価値が低下したり劣化したりするため、ますます売れなくなってしまいます。
また、新たな商品を入荷するためにも、増えすぎた在庫を処分して管理スペースを確保しなければなりません。
このような場合、在庫ファクタリングを活用すれば、過剰に抱えた在庫や売れずに管理したままの商品を処分できます。
商品の現金化だけでなく、管理スペースを確保できるため、次の在庫品をストックしやすくなるでしょう。
在庫ファクタリングの注意点
在庫ファクタリングは、都道府県の公安委員会で古物商許可を取得している業者しか扱うことができません。
そのため古物商許可を取得していない業者が在庫ファクタリングをサービスとして提供している場合、違法業者であるため契約しないでください。
そのため在庫ファクタリングを利用するときには、商品を売却する予定のファクタリング会社の公式サイト内に、古物営業許可証または番号が掲示されているか確認しましょう。
まとめ
在庫ファクタリングは、通常のファクタリングと異なり、在庫として保管している商品を現金化するサービスです。
たとえば個人を相手とする小売業などが資金調達に利用しやすいサービスであるといえるでしょう。
また、不良在庫化している商品を多く抱えている場合の在庫処分にも活用できますが、換金率が悪く希望額を調達できない可能性もあります。
掛取引で売掛債権を保有している事業者などは、通常のファクタリングも同時に検討することで、必要な資金を調達することにつながるでしょう。