ファクタリングの返済方法は?返済を滞らせないためのポイントも解説

2023年11月10日

ファクタリングを利用すれば入金サイクルを短縮できることから、いざという時に活用している方も多いのではないでしょうか。便利な手法とはいえ、ファクタリング会社へ返済ができず適切な対応を怠った場合は、民事訴訟に発展しかねないため注意が必要です。

そこでこの記事では、ファクタリングの返済方法や返済が滞る主な事例、返済の延長・分割の可否、延滞しないための対策や役立つサービスについてご紹介します。
ファクタリングについて正しい知識を身に付け、返済が滞らないようにしましょう。

ファクタリングの返済方法について

売掛債権買取型のファクタリングには、「3社間」と「2社間」の契約方式があります。
2社間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社の2者で契約するやり方です。売掛先から入金されたらファクタリング会社へ支払う仕組みになっており、一括での返済が原則となります。

対して3社間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社、売掛先の3社で契約する方式です。この方式では、売掛先が利用者に代わってファクタリング会社に支払う仕組みになっています。

以下、この2つの方式の特徴についてもう少し詳しく見ていきましょう。

3社間ファクタリング

利用者・ファクタリング会社・売掛先の3社間での取引となるため、売掛先から承諾を得る必要があります。売掛金は売掛先からファクタリング会社へ直接支払われます。この契約方式は3社間での合意が必要となるため、資金調達まで時間がかかる点はデメリットといえるでしょう。

一方、手数料は2社間と比較して低い傾向にあります。2社間の多くは中小規模のファクタリング会社が提供していますが、3社間は大手であることがほとんどです。資金調達に時間がかかるものの、手数料が安く、大手企業が提供していることから、初めてファクタリングを利用する方は3社間が安心でしょう。

2社間ファクタリング

利用者とファクタリング会社のみでの契約のため、売掛先に債権譲渡の事実を知られません。売掛先との関係に影響を及ぼすことなく売掛債権を譲渡できます。このシンプルな仕組みにより、現金化までのスピードが早く、最短即日~2日ほどで現金化が可能です。

できるだけ早く資金調達をしたい方や、ファクタリングの利用を売掛先に知られたくない方にも役立つ契約方式といえるでしょう。3社間と比較して審査がやさしいものの、売掛金を回収できないリスクがあることから手数料が高めに設定されているため、注意しましょう。

ファクタリングの返済を延長・分割にできないのか?

経営状況から、一括払いが負担に感じる方もいるかもしれません。一括の支払いが難しい場合、ファクタリングの返済は延長・分割にできるのでしょうか。

分割払いも基本的に不可

分割払いは「貸金」とみなされ、貸金業者登録している業者しか扱えないため、返済の分割払いも基本的に不可能です。ファクタリング会社は貸金業者ではないことから、分割払いで生じる利息を受け取ることができないという理由で一括での支払いに限られます。なかには分割払いに対応している会社も存在しますが、悪質業者の可能性が高いため注意しなければなりません。原則として、分割払いはできないと認識しておきましょう。

返済の延長はケースバイケース

原則として、返済の先送りはできません。ファクタリング会社も返済金を回収できなければ経営の存続が危ぶまれるためです。規模の大きい会社の場合、最大1ヶ月程度であれば返済の延長を承諾してくれるケースもあります。また、売掛先からの入金が遅れているものの、回収の目途が立っている場合には、延長に対応してくれるケースもあるようです。

しかし、仮に返済の延長ができたとしても、長期間の先送りは認められません。悪質な業者の場合、返済の延長を理由に多額の遅延利息を請求するケースもあるため、安易に延長に応じる業者には注意しましょう。

ファクタリングの返済が停滞しないための対策

ファクタリングは原則として返済の延長や分割払いができず、支払期日に一括で支払わなければなりません。ここでは、返済が滞らないようにするための対策を6つご紹介します。

キャッシュフローの改善

資金繰りに少しでも余裕がある場合は、キャッシュフローの改善を試みましょう。

キャッシュフローを改善する方法は以下のとおりです

◆売上債権を減らす
売上を維持しつつ、売掛金や受取手形を減らすようにしましょう。

◆在庫を減らす
商品や製品、材料、仕掛品、貯蔵品、半製品などの余剰在庫を減らしましょう。

◆利益を出す
売上を増やす、原価を下げて粗利益を増やす、販売管理費を削減することで確実に利益を計上できるようにしましょう。計上した利益は確実に資金となって企業にリターンできるような対策を講じることが重要です。

◆買入債務と売上債権バランスを考える
仕入先への支払いを早めることでコストダウンや有利な条件での仕入れができないか交渉しましょう。

◆自己資本を増やす
増資する、配当を抑制するなどして利益の社外流出を抑えましょう。

◆遊休固定資産を処分する
過剰な遊休固定資産は固定資産を購入するための借入金だけが生じるため、早期に売却しましょう。

ファクタリング会社の見直し

現在契約している会社の手数料の負担が大きいと感じている場合は、手数料の安い会社に乗り換えることも検討しましょう。2社間の手数料の相場は売掛金の10.0%~30.0%と言われています。

手数料は基本的に、ファクタリング会社の収益源となる「ファクタリング会社の利益」と、売掛金の未回収や持ち逃げなど「会社が負担するリスク相当の対価」によって決まります。ファクタリング会社のなかには、手数料を安く見せかけるために用途不明の事務経費を別途請求しているケースもあるため、注意してください。

なお、売掛債権をファクタリング会社に譲渡する際は「債権譲渡登記」が契約条件とされる場合があります。必須ではありませんが、登記によって「二重譲渡」のリスクを予防できることから、リスク軽減による手数料の低減や審査の緩和などの効果が得られる場合があります。「債権譲渡登記」を行う場合は、司法書士の報酬5万円~10万円程度、登録免許税7,500円がかかることを覚えておきましょう。司法書士の紹介や手続きに関しては、基本的にはファクタリング会社が行います。

ファクタリング利用期間の設定

銀行融資と異なり手数料が大きな負担となるファクタリングは、長期間継続的に利用してしまうと資金繰りが悪化していく一方です。あくまでも、つなぎ資金や一時的な資金調達に適した契約のため、利用期間をしっかり設定することが大切です。

また、常時ファクタリングを利用しなければ資金繰りができない状態に陥らないように注意しましょう。まずは手元の資金を把握し、数か月先の資金状況を予測して将来の資金計画を立てたうえでファクタリングを利用することを推奨します。

3社間ファクタリングで契約

前述のとおり、3社間ファクタリングは売掛先の承諾が必須のため、「二重譲渡」や「売掛金の持ち逃げ」のリスクが低いことから手数料が低い傾向にあります。3社間の手数料の相場は売掛金の1.0%~10.0%です。ファクタリング契約時に3社間の契約にしておけば、売掛先がファクタリング会社に売掛金を支払うため、利用者は支払いの必要がなくなります。売掛先に承諾を得るのはハードルが高く感じるものの、返済を滞納しないためにも3社間の選択も視野に入れておくと良いでしょう。

準消費貸借契約への切り替え

貸金業登録を行っているファクタリング会社であれば、会社の合意を得て「準消費貸借契約」に切り替えるという方法があります。しかし、この契約の切り替えによって、法的に借金を背負うことになります。ファクタリング会社から手数料とは別に利息を請求されるため、返済の目途が立たない場合の最終手段と考えてください。

弁護士への相談

適切なファクタリングを行っている健全なファクタリング会社であれば、支払いに関する問題は自力での対応が原則です。しかし、暴利相当の手数料を請求されている、行き過ぎた取り立て行為を受けているなど、悪徳業者であることが疑われる場合は弁護士や公的機関に相談する必要があります。

弁護士に相談することで、悪質な取り立て行為の抑制や債権譲渡通知を売掛先へ発送させない交渉、手数料の減額、過払い金返還の交渉などが期待できます。弁護士を選ぶ際は、ファクタリング事案を積極的に公開している事務所を選ぶと安心でしょう。

まとめ

ここまで、ファクタリングの特徴や返済方法について詳しく解説してきました。
ファクタリングは返済の延長や分割払いはできず、一括払いが原則です。返済が停滞しないためにも、キャッシュフローの改善を図り、資金計画を立てたうえでファクタリングを利用しましょう。