ファクタリングに規制はあるのか?

2024年2月2日

ファクタリングに関する法律と規制

ファクタリング業と貸金業は全くの別物。
では、法律や規制にはどのような違いがあるのでしょうか?
特に近年、違法なファクタリングで摘発される業者が増えています。
このため、ファクタリングの活用を躊躇してしまう経営者も少なくありません。
また、ファクタリング業者に支払う手数料について、「手数料の上限規制はないの?」といった疑問を抱く人も多いようです。
ファクタリングの合法性と規制はどうなっているのでしょうか?

ファクタリングの合法性

結論から言えば、ファクタリングは完全に合法的な取引です。
摘発される場合、それは全て違法業者であり、「ファクタリング業を営むファクタリング会社」ではなく「ファクタリング業を装った違法な貸付けを行っている闇金業者」です。
ファクタリングを装うにせよ、実態として貸付けを行っている以上、貸金業者としての規制を受ける必要があります。
その規制を守らないからこそ、違法業者と認定されて摘発されているのです。
ファクタリングは貸金ではなく、あくまでも債権譲渡取引です。
ファクタリングに関する法律や規制についても、債権譲渡取引に関する法律・規制が適用されます。
債権譲渡取引の合法性は、民法466条に明記されています。
この法律からわかるのは、以下の2点です。
「売掛金の譲渡は法律で認められており、基本的に規制されないこと」
「売掛先が売掛金の譲渡を制限している場合でも、法的な規制を受けないこと」
このように、ファクタリングは100%合法的な取引です。

ファクタリングには規制がない

ただし後述の通り、貸金業とみなされた場合には、ファクタリング会社として営業していても色々な規制を受けます。
もっとも、ほとんどのファクタリング会社は規制の対象外です。
規制を受けてしまうと、ファクタリング業者としての営業が困難になるため、規制対象とならないように注意深く営業しています。
純粋な債権譲渡取引のみを行っていれば、ファクタリング会社は基本的に規制を受けません。
ファクタリング会社を立ち上げる際にも、登録や免許は一切不要です。
手数料の上限を定める規制もなければ、手続きの流れ・仕組みを均一化する規制もありません。
これにより、ファクタリング会社は自由度の高い営業ができ、「柔軟な審査」「スピーディな資金調達」といったファクタリング特有のメリットも生まれます。
ただし、あまりにも規制が緩いために、悪質業者が紛れ込みやすいことも事実です。
政府は、今後もファクタリングの普及を促進していくでしょう。
その中で、ファクタリングに関する法律や規制が整備され、明確化・規制強化の流れになっていくことは十分に考えられます。
あくまでも、「現時点は特に規制なし」と考えてください。

ファクタリング会社が規制を受けるケース

ここまでの基礎知識によって、ファクタリングの基本的な仕組み、合法性、規制などが分かりました。
現在、ファクタリングに関する法律・規制が整備されておらず、ファクタリング会社が規制を受けることもありません。
No.1をはじめ、ファクタリング会社として営業している業者の大多数は、規制の対象外です。
しかし、これはあくまでも、金融庁が定義するファクタリングに当てはまる場合に限られます。
ファクタリング会社として営業していても、営業の実態や契約の条件などによっては貸金業とみなされ、様々な規制を受けることがあるのです。

3つの規制

貸金業とみなされたファクタリング業者は、以下の3つの規制を受けます。
それぞれ簡単に見ていきましょう。

規制1:利息に関する規制

利息に関する規制は重要です。
具体的には、利息制限法と出資法の二つの規制があります。
それぞれの規制内容は以下の通りです。
「利息制限法:上限金利(貸付額に応じて年利15~20%)を超える部分を無効とする規制」
「出資法:上限金利を超える貸付けを行った業者を刑事罰の対象とする規制」
ファクタリングを利用する際には、ファクタリング会社に手数料を支払います。
貸金業とみなされた場合、利息に関する規制を受けるため上限金利が適用されます。
手数料(年利換算)が上限金利を超えてしまうと、規制違反のため取締りの対象です。

規制2:総量規制

総量規制については、知っている人も多いでしょう。
個人の借り過ぎ、あるいは業者側の貸し過ぎによる生活の破綻を防ぐために、借入可能額を「年収の3分の1以下」に規制のが総量規制です。
基本的に、総量規制はファクタリングに縁のない規制といえます。
総量規制は、あくまでも個人に対する貸付けを規制するものであって、事業者に対する貸付けを規制するものではないからです。
例えば、年収300万円の個人であれば、総量規制によって貸付上限額が100万円に規制されます。
これに対し、中小企業や個人事業主といった事業者は、総量規制の対象外です。
ただし、貸金業者とみなされたファクタリング業者のうち、個人に対するファクタリング(後述する給与ファクタリング)を行っている業者は、総量規制を守って営業しなければなりません。

規制3:営業に関する規制

貸金業者が受ける規制のひとつに、貸金業登録があります。
これは貸金業法に含まれる規制であり、貸金業の適正化、特にヤミ金融の規制強化を目的とする規制です。
純資産額が5000万円以上であること、試験に合格した貸金業務取扱責任者を配置すること、公益に反しないことなど、登録条件から規制の厳しさがわかります。
実際に、この規制によって悪質業者は営業が困難になりました。
ファクタリング会社として営業している業者も、貸金業者とみなされた場合には貸金業登録が必要となり、登録していなければ規制違反(無登録営業)となります。

規制を受ける代表的なケース

ファクタリング会社が規制を受ける代表的なケースは、以下の4つです。

ウィズリコース(償還請求権あり)の場合

債権譲渡契約でポイントとなるのが、償還請求権の取り決めです。
償還請求権とは、債権の買い戻しを求める権利のことです。
償還請求権ありの契約を「ウィズリコース」、償還請求権なしの契約を「ノンリコース」といいます。
例えば、ファクタリング後に売掛先が倒産し、売却した売掛金が回収できなくなった場合、償還請求権の有無によって以下の違いが生じます。
「ウィズリコース:ファクタリング会社は利用会社に売掛金の買い戻しを請求できる(利用会社は買い戻しに応じる義務を負う)」
「ノンリコース:ファクタリング会社は利用会社に売掛金の買い戻しを請求できない(利用会社は何ら責任を負わず、貸し倒れ損失はファクタリング会社が全額負担する)」
重要なのは、「ファクタリング契約は原則的にノンリコース」ということです。
もし、ファクタリングを謳いながら、ウィズリコースでの契約になっている場合、その業者は貸金業者とみなされる可能性があります。
これについても、金融庁の注意喚起に明記されています。
ウィズリコースのファクタリング会社は、貸金業者としての規制を受ける可能性が高いです。

担保・保証付きの場合

契約の形式や償還請求権の問題と類似しますが、担保・保証付きのファクタリングも規制の対象です。
銀行融資などでは、担保・保証付きの融資が一般的であり、中小企業にとってもなじみ深いと思います。
中小企業の業績は不安定であり、財務が脆弱であることから、銀行としては不動産担保や信用保証協会の保証を付けることによって、保全を図るのです。
ここで注意したいのは、あくまでもファクタリングは債権譲渡取引であって、融資ではないということです。
融資でない以上、ファクタリングには返済義務もなく、返済が可能か不可能か、返済不能になった場合にどうするかという考え方そのものが存在しません。
ファクタリングに当たって、担保や保証人を求めること自体おかしいのです。
したがって、担保・保証付きのファクタリングは、貸金とみなされる可能性が高いです。
その場合、ファクタリング業者は貸金業者としての規制を受けます。

契約の形式に問題がある場合

ファクタリングを利用する際には、利用会社とファクタリング会社の間でファクタリング契約を結びます。
ファクタリングは債権譲渡取引ですから、当然ながら契約の形式は「債権譲渡契約」でなければなりません。
この定めがなければ、表面的にはファクタリング契約を謳っていても、実質的には債権譲渡ではない可能性が出てきます。
特に多いのが金銭消費貸借契約(売掛金を担保としてお金を貸し付ける契約)で、金融庁も以下のように注意を喚起しています。
契約書に債権譲渡契約であることを定めず、実質的に貸付けであるとみなされた場合、その業者は「ファクタリング業者」ではなく「貸金業者」とみなされ、様々な規制を受けることとなります。

給与ファクタリングの場合

上記のほかに注意したいのが、給与ファクタリングです。
給与ファクタリングは、会社の売掛金を買い取るものではなく、個人の給与債権(会社から給与を受け取る権利)を買い取るものです。
その名の通りファクタリングとして提供されていますが、実際にはヤミ金融とほとんど変わらない仕組みを持っています。
例えば、額面30万円の給与債権を20万円で買い取り、給与支給日に30万円を回収する、といったのが給与ファクタリングの典型的な例です。
このような取引は貸金業に当たるとみなされ、色々な規制を受けます。
コロナ禍以降、お金に困っている個人を対象とする給与ファクタリングが急増し、社会的に大きな問題になりました。
給与ファクタリング業者のほとんどは、貸金業者として規制を受けるにも関わらず、その規制を守っていません。
金融庁や警視庁が、給与ファクタリングを厳しく取り締まった結果、現在では給与ファクタリング業者のほとんどが営業を停止しています。

規制を受ける業者は違法業者の可能性大

ここまでの解説から、ファクタリングに関する規制をまとめると、以下の2点がポイントです。

「ファクタリングは債権譲渡取引であり、融資ではないため、貸金業に関する規制を受けない。ファクタリングに関する法的整備が不十分な現在、ファクタリング会社が規制を受けることもない。」
「ファクタリング会社として営業していても、契約内容その他によって貸金業とみなされた場合には、貸金業に関する規制(営業に関する規制、利息に関する規制、総量規制など)を受ける。」
ファクタリング会社であれば、基本的には規制を受けることはないのですが、例外的に規制を受ける場合もあります。
ここで注意したいのが、貸金業とみなされて規制を受ける場合、規制対象のファクタリング業者は違法業者の可能性が極めて高いということです。
その理由は単純です。
規制対象の業者も、ファクタリング業者として営業している以上、ファクタリング業や貸金業に関する法律や規制を一通り知っているでしょう。
ならば、なぜ貸金業者としてではなく、あえてファクタリング業者として営業しているのでしょうか?
それは、貸金業に対する規制が厳しいからです。
特に、貸金業登録のハードルは非常に高く、簡単に開業できるものではありません。
その点、ファクタリング業として開業するならば、登録は不要で簡単に開業できます。
もし貸金業登録を受けることができ、合法的な営業を心掛けるならば、その業者はファクタリング業者ではなく貸金業法として営業するはずです。
このように考えると、以下のような論理が成り立ちます。

「事業内容が実質的に貸金業である」
「しかし貸金業者ではなく、ファクタリング業者として営業している」
「貸金業登録や、その他の規制を避けるためにファクタリング業者を装っている可能性が高い」
「貸金業者とみなされた場合、無登録営業(貸金業法違反)などの様々な規制違反に該当する可能性が高い」
実際、貸金業者とみなされた業者のほとんどは、無登録営業・違法金利などで摘発されています。

まとめ

この記事では、ファクタリングに関する規制について詳しく解説しました。
ファクタリングには規制がありませんが、業者によっては規制を受ける可能性があり、なおかつ規制対象の業者は違法業者がほとんどです。
規制対象の違法業者を避けるためにも、以下の点に注意しましょう。
「契約の形式が債権譲渡契約ではない」
「償還請求権ありの契約になっている」
「担保・保証を求められた」
「給与ファクタリングを提供している」
もちろん、これらは最低限のポイントであり、注意すべき点や利用のコツは様々です。