ファクタリングにおいての売買契約とは⁉

2024年1月22日

近年手軽に資金調達できる方法として人気が出ているのがファクタリングです。
ファクタリングは政府や自治体も推奨する資金調達方法ですが、急速に普及しているため法整備や規制が追い付いていません。なので業者ごとにサービスの仕組みが異なる場合も少なくありません。特に戸惑うのが、ファクタリングの際の契約です。
ファクタリングは売掛金の売買ですから、必ず売買契約を結びます。
しかしながら、売買契約の内容や手続きの流れが分かりにくく、知らず知らずのうちに不利な契約を結んでしまうことも。
さらに、悪質業者を避けるためにも売買契約に知識が欠かせません。
この記事では、ファクタリングの売買契約の仕組みや流れ、注意点について詳しく解説します。

ファクタリングとは?

会社の資金調達は銀行融資が基本です。
銀行融資ならば低金利で調達でき、長期借入によって多額の資金を調達することもできます。
しかしながら、銀行融資は審査が厳しく、業績・財務に問題を抱えている会社は借り入れることができません。
資金調達の道を絶たれないためにも、銀行融資以外の資金調達方法を確保しておくのが賢明です。
そこで、近年人気が高まっているのがファクタリングです。
政府も推奨する資金調達方法であり、今後も普及していくと考えられます。
ファクタリングの売買契約を学ぶためにも、まずはファクタリングの基礎知識について解説していきます。

ファクタリングは売掛金の売買

簡単にいうと、ファクタリングは売掛金を売却することです。
厳密には、ファクタリングにも色々な種類があり、必ずしも売掛金の売却ではありません。
しかしながら、現在日本で最も普及しているファクタリングの形態は「売掛金の売買」であり、単に「ファクタリング」という場合にも売掛金の売買を指すことがほとんどです。
このため、金融庁もファクタリングを以下のように定義しています。

一般に「ファクタリング」とは、事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス(事業者の資金調達の一手段)であり、法的には債権の売買(債権譲渡)契約です。

売掛金は信用取引によって発生する債権であり、ほとんどの会社が多かれ少なかれ所有しています。
売掛金の問題は、支払期日までは代金の支払いを待つ必要があることです。
これが資金繰りの負担になり、最悪の場合には回収を待っている間に資金繰りが破綻し、倒産に至ります。
売上があるにも関わらず、収支のズレによって倒産に至ることを「黒字倒産」ともいいますが、売掛金は黒字倒産の大きなきっかけとなります。
ファクタリングによって売掛金を売却すれば、支払期日を待たずに現金化でき、黒字倒産を避けることも可能です。

ファクタリング=債権譲渡契約=売掛金の売買契約

ファクタリングは売掛金の売却といわれますが、正確には金融庁の定義にもある通り、法的には債権譲渡契約の一種とみなされます。
自社が所有している売掛金を、ファクタリング会社に譲渡(売却)することによって、対価(売却代金)を受け取る契約です。
ファクタリングの法的根拠もここにあります。
債権譲渡は民法第466条で認められた取引であり、債権譲渡契約であるファクタリングも100%合法なのです。
しかしながら、実際にファクタリングを利用する際には、債権譲渡契約というよりも「売掛金の売買契約」といったイメージが近いでしょう。
ファクタリング会社の公式HPでも、「債権譲渡」とは表現せず「売掛金の買い取り」などと表現しているケースがほとんどです。
ファクタリング会社によっては、「ファクタリング」ではなく「売掛金買取サービス」「請求書買取サービス」などと表現していることも珍しくありません。
「ファクタリング=債権譲渡契約」では難しく感じる人は、「ファクタリング=売掛金の売買契約」と考えてください。

売掛金の売買契約の仕組み

ファクタリングの際に結ぶ契約を、ファクタリング契約と呼びます。
しかしながら、「ファクタリング契約」という契約類型が存在するわけではありません。
売掛金を売買するには、手続きによっていくつかの契約を結ぶ必要があります。
売買契約(債権譲渡契約)のほか、ファクタリングに必要ないくつかの契約をまとめ、便宜上「ファクタリング契約」と表現しているのです。
ファクタリング契約を構成するのは、以下の3つの契約です。
売掛金回収委託契約
売買契約
債権譲渡登記代行契約

売掛金回収委託契約

売掛金回収委託契約は、利用会社が売掛金の回収委託を請け負うための契約です。
2社間ファクタリングの売買契約には、売掛先が一切関与しません。
このため、利用会社とファクタリング会社が売買契約を結び、売掛金を譲渡したことも知らず、支払期日になると利用会社に代金を振り込みます。
売買契約によって債権はファクタリング会社に移っているため、利用会社は売掛先から受け取った代金をファクタリング会社に振り込む必要があります。
つまり、売掛先回収の流れが「売掛先→利用会社→ファクタリング会社」となるため、利用会社が回収を代行する形になるのです。
したがって、売掛金回収委託契約を結ぶのは2社間ファクタリングだけです。
3社間ファクタリングでは不要となります。

売買契約

ファクタリング契約の中心となるのは売買契約です。
売掛金の売買に関する取り決めであり、債権譲渡契約とも呼ばれます。
売買契約の内容から悪質業者を見抜くことも可能です。
詳しくは、売買契約のチェックポイントで解説します。

売掛金回収委託契約

債権譲渡登記代行契約は、ファクタリング会社に債権譲渡登記手続きを委託する契約です。
大抵の場合、2社間ファクタリングでは債権譲渡登記を求められます。
というのも、2社間ファクタリングの売買契約には、売掛先を含む第三者が関与しないからです。
二重譲渡などのトラブルを防ぐためにも、登記手続きによって債権譲渡の事実を公示し、法的に裏付ける必要があります。
ただし、No.1のように債権譲渡登記の留保を受け付けるファクタリング会社もあり、その場合には債権譲渡登記代行契約は不要です。
また、3社間ファクタリングも債権譲渡登記は必要ありません。(債権譲渡通知によって債権譲渡登記と同様の効果が得られるため)

売掛金の売買契約のチェックポイント

ファクタリングを利用する際には、売買契約の内容をよく確認することが重要です。
いくつかのチェックポイントを押さえておくことで、不利な条件での売買契約を避けることができ、また悪質業者を避けることにもつながります。

ファクタリングと悪質業者

現在、ファクタリング業界には悪質業者が存在しています。
これは、ファクタリングの普及が急速に進んでいる一方で、法整備が追い付いていないためです。
ファクタリング業者に対する規制はほとんどなく、ファクタリングが悪質業者の隠れ蓑になっています。
この悪質業者に対して、金融庁は「ファクタリング業を装って違法な貸付けを行うヤミ金業者」と断定しています。
実際の事例をみても、法外な手数料設定や違法な取り立てなど、ヤミ金業者そのものです。
このような業者と売買契約を結んでしまうと、一時的に資金を調達できても、いずれ資金繰りが悪化することは間違いありません。
したがって、悪質業者を避けるためにも、売買契約の内容をよく確認する必要があります。

まずは売買契約の表題と前文をチェック

まず確認したいのが、契約書の表題と前文です。

売買契約の表題をチェック

融資ならば「金銭消費貸借契約」、不動産の売買ならば「不動産売買契約書」、株式の譲渡ならば「株式譲渡契約書」など、全ての契約書には必ず表題がついています。
契約書の表題の付け方には、法的なルールはありません。
しかしながら、特に悪意がない以上、取引の内容が端的に分かる表題をつけるのが常識です。
ファクタリングは債権譲渡取引ですから、売買契約の表題には「債権譲渡契約書」などと記載されているのが一般的です。
もし、それ以外の表題になっているならば、ファクタリングとは言えない内容になっている可能性が高いため注意してください。
悪質業者が、ファクタリングを装って違法な貸付けを行う場合、表題が「金銭消費貸借契約書」となっているケースが多いようです。

売買契約の前文をチェック

次に、売買契約の前文もチェックしてください。
前文とは、売買契約に関する基本事項を記載するものです。
一般的には、以下の4つについて記載します。

・売買契約の当事者の氏名(会社名)
・売買契約の簡単な内容
・売買契約の締結日
・契約書の本文にて売買契約を結ぶこと
特にチェックすべきなのは売買契約の内容です。
売掛金の売買契約であれば、この部分に必ず売掛金の売買契約であること(債権譲渡契約であること)が明記されています。
前文のイメージは以下の通りです。

「〇〇株式会社(利用会社)と□□株式会社(ファクタリング会社)は、2023年5月23日付で、以下の通り債権譲渡契約を締結した」

売買契約の本文のチェックポイント

悪質業者を回避するには、表題と前文をチェックするだけでは不十分です。
表題を「債権譲渡契約書」とし、前文でもその旨を明記しているにもかかわらず、実際の契約内容に問題があるケースが少なくありません。
また、売買契約に違法性がなくとも、利用会社にとって不利な契約は避けるべきです。
そこで、売買契約の際には以下の点についてチェックしましょう。

償還請求権の有無

債権譲渡契約には、必ず償還請求権に関する取り決めがあります。
償還請求権とは、売買契約を結んで売掛金が(売掛先の経営難などによって)回収できなくなった場合、ファクタリング会社から利用会社に買い戻しを求める権利のことです。
ファクタリングの売買契約は、「償還請求権なし(ノンリコース)」が原則となります。
もし「償還請求権あり(ウィズリコース)」の条件で契約した場合、それは実質的に貸付けとみなされます(金融庁や裁判所の見解)。
実際に、償還請求権付きのファクタリングは、金融庁がいう「ファクタリング業を装うヤミ金業者」の常套手段です。
悪質業者を避けるためにも、売買契約の「償還請求権なし」は必須条件といえます。

担保・保証の有無

売買契約に伴う担保・保証の考え方は、償還請求権とほぼ同じです。
ファクタリングは無担保・無保証が原則であり、有担保・有保証のファクタリングは全て「実質的に貸付け(ファクタリング業を装うヤミ金業者)」とみなされます。
実際に、悪質業者は、受取手形や小切手などを担保として要求したり、縁故者(代表者の家族など)の連帯保証を求めることがあります。
しかし、ファクタリングは売掛金の売買契約であり、借入れ(金銭消費貸借契約)ではありません。
当然ながら返済義務もなく、返済不能に備えるための担保・保証は一切不要です。
売買契約をチェックする際には、「無担保・無保証であること」を確認してください。

手数料の設定

貸金業には法的な利息制限がありますが、ファクタリングの手数料にはそのような規制がありません。
基本的にはファクタリング会社の裁量で設定できるため、売買契約ごとに手数料率が大幅に変わることもあります。
ファクタリング方式別の手数料相場は以下の通りです。

・2社間ファクタリング:額面金額の10~30%
・3社間ファクタリング:額面金額の1~10%
・オンラインファクタリング:額面金額の10%以下
手数料に規制がない以上、たとえ相場以上の手数料を請求されたとしても、違法とは断定できません。
しかしながら、ファクタリング業界全体では徐々に手数料が下がりつつある中、高すぎる手数料を請求する業者は健全とは言い難いでしょう。
また、売買契約の際に提示された手数料が、公式HPの目安や業者に説明されたものに比べて高すぎる場合にも要注意です。

債権譲渡通知の取り決め

債権譲渡通知は売掛先の関与によって変わり、2社間ファクタリングの売買契約では「債権譲渡通知なし」、3社間ファクタリングの売買契約では「債権譲渡通知あり」となるのが普通です。
2社間ファクタリングを利用する場合、売掛先への信用リスクを避けることに大きな意味があり、「債権譲渡通知あり」では意味がありません。
売買契約には債権譲渡通知の有無も明記されているため、債権譲渡通知をしないことを必ずチェックしましょう。
なお、2社間ファクタリングでも例外的に債権譲渡通知を行う場合があります。
例えば、利用会社の契約違反などによって、ファクタリング会社の未回収リスクが高まる場合です。
そのような例外的なケースも、売買契約には明記されているため、よくチェックしておくことが大切です。

債権譲渡登記の有無

債権譲渡登記の有無も、売買契約のチェックポイントとなります。
債権譲渡登記の有無については、以下のように考えるのが基本です。

・2社間ファクタリング:原則的に必要
・3社間ファクタリング: 不要
・オンラインファクタリング:不要
2社間ファクタリングでは債権譲渡登記を求められることが多く、その際には10万円程度の登記コストが発生します。
また、登記情報は売掛先やその他の取引先でも閲覧できるため、信用悪化リスクにも注意が必要です。
No.1をはじめ、一部のファクタリング会社では債権譲渡登記の留保に対応しています。
売買契約をチェックしてみて、債権譲渡登記を行う旨の記載があれば、ファクタリング会社に相談してみるとよいでしょう。

報告義務

ファクタリングの売買契約には、報告義務が盛り込まれています。
これは、売掛先に関する情報を報告する義務のことです。
ファクタリングは「償還請求権なし」のため、回収不能による貸倒損失はファクタリング会社が全額負担します。
何らかの理由によって回収不能リスクが高まった場合、ファクタリング会社は早急に対処する必要があります。
しかし、特に2社間ファクタリングでは、売掛先とファクタリング会社の間に接点がなく、ファクタリング会社は売掛先の動向を知る術がありません。
そこで、ファクタリング会社は利用会社から報告を受けることにより、売掛先の動向を把握する必要があるのです。
報告義務の範囲はファクタリング会社によって様々ですが、基本的には「売掛先の経営に大きな変化があった場合」に報告する義務があります。
報告義務を怠ったことによりファクタリング会社が損失を被れば、損害賠償や違約金などを請求される可能性があります。
売買契約の際には、報告義務の範囲、報告義務に違反した場合のペナルティなどについてしっかり確認しておきましょう。

損害賠償・違約金

利用会社が売買契約に違反した場合、ファクタリング会社は利用会社に対して損害賠償や違約金を請求します。
上記の報告義務違反だけではなく、売掛金の回収業務に違反があった場合にも、損害賠償や違約金の対象となることが多いです。(指定の期日までに振り込まない、利用会社が使い込むなど)
実際の損害賠償・違約金の設定は、ファクタリング会社によって異なります。
売買契約の際には、損害賠償・違約金についてもチェックし、詳細を確認しておきましょう。
また、法外な損害賠償・違約金が設定されている場合、契約を見送るのが賢明です。

契約の解除について

ファクタリングの売買契約では、契約解除についても記載します。
これは、利用会社の契約違反による損失を回避するためです。
契約違反にも様々ありますが、例えば利用会社の報告義務違反によって売掛金が回収できなくなったり、利用会社の使い込みによって売掛金が回収できなくなったりした場合、ファクタリング会社は損失を被ります。
ファクタリング会社によって対処は異なりますが、ひとつには売買契約を解除することで売掛金の売買そのものを無効とし、買取代金の返還を求めることが考えられます。
一方的に契約を解除されることもありますが、契約解除は悪質行為ではありません。
以下の通り、契約解除は民法で認められている権利です。

(解除権の行使)
第五百四十条 契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする。

つまり、利用会社側に「売買契約の契約解除事由に該当する行為」があれば、ファクタリング会社は解除権を行使し、一方的に売買契約を解除できるのです。
売買契約の解除によって資金の返還を求められた場合、資金繰りが狂う恐れがあります。
そうならないためにも、契約解除についてしっかり確認しておきましょう。

契約期間

最後に、契約期間(売買契約が有効となる期間)について確認してください。
利用会社によってファクタリングの活用方法は異なり、単発で利用する会社もあれば、継続で利用する会社もあります。
突発的な資金不足が発生した場合や、一時的なつなぎ資金の確保を目的とする場合には、単発での利用が一般的です。
一方、ファクタリングを日常的に利用することで、財務や資金繰りの改善を目指す会社も増えてきています。
単発・継続のどちらもあり得るわけですが、稀に利用会社とファクタリング会社の認識に食い違うケースがあります。
単発での利用を希望したにもかかわらず、継続利用の契約になっていれば、後々困ったことになりかねません。
また、悪質業者では、故意に継続利用の契約を結び、長期間にわたって悪条件でのファクタリングを強いる場合もあります。
したがって、契約期間についてしっかりと確認し、認識の齟齬や悪質性がないことをチェックすることが大切です。

売買契約までの流れ

売掛金の売買契約によって資金調達できるファクタリング。
より具体的なイメージをつかむには、売買契約までの流れを知るのが良いでしょう。

ファクタリングの方式は2種類

売買契約までの流れは、ファクタリングの方式によって異なります。
以下のように、ファクタリングの方式には「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2種類があるのです。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの決定的な違いは、売掛先の関与にあります。
この点を踏まえて、方式による違いを簡単にみていきましょう。

2社間ファクタリング

2社間ファクタリングは、ファクタリングの利用会社(以下、利用会社)とファクタリング会社の2社間で売買契約を結ぶ方式です。
一般的に、売掛金の売買契約を結ぶ際には支払人(債務者)である売掛先が関与します。
しかし、2社間ファクタリングは売掛先が一切関与しない形で売買契約を結びます。
これによって期待できるメリットは以下の通りです。
・売買契約の締結を売掛先に知られない(信用リスクを回避できる)
・簡単な手続きで売買契約を結ぶことができる(手軽に利用できる)
・売掛先とのやり取りが不要のため、スピーディに売買契約を結ぶことができる(最短即日で資金調達できる)

これらのメリットは非常に大きく、ファクタリングを利用する会社のほとんどが2社間ファクタリングを選びます。
ただし、手数料が割高になるため、資金繰り悪化に注意が必要です。
最近では、2社間ファクタリングの手続きを全てオンラインで行う「オンラインファクタリング」も徐々に普及しています。

3社間ファクタリング

3社間ファクタリングは、利用会社、ファクタリング会社、売掛先の3社間で売買契約を結ぶ方式です。
売掛先が必ず関与するのが、3社間ファクタリングの特徴といえます。
2社間(第三者が一切関与しない)に比べて、3社間での売買契約は安全性が高く、手数料が安いことがメリットです。
しかしながら、3社間で売買契約を結ぶことにより、以下のデメリットが生じます。
・売掛先とのやり取りも必要となるため、売買契約までに時間がかかる(スピーディな資金調達は不可)
・売買契約に至るまでの手続きが煩雑(手軽に利用できない)
・売買契約を売掛金に必ず知られる(信用悪化リスクがある)
「売掛先との関係が良好」「売掛先もファクタリングを利用している」などの場合を除けば、3社間ファクタリングの利用は現実的ではありません。

売買契約までの流れ

実際にファクタリングを利用する際、どのような流れで売買契約に至るのでしょうか。
方式別に、売買契約までの流れを解説します。

※売買契約までの細かい流れはファクタリング会社によって異なります。ここでは紹介するのは、あくまでも大まかな流れです。

2社間ファクタリングの売買契約までの流れ

2社間ファクタリングの基本的な流れは以下の通りです。

・利用会社が商品を販売することで、売掛先に対して売掛金が発生する。
・利用会社はファクタリング会社に2社間ファクタリングを申し込む。
・売掛契約書や請求書、通帳コピーなどを提出する(ファクタリング会社によって必要書類は異なる)。
・必要書類をもとにファクタリング会社が審査を実施する。ファクタリングでは主に売掛先の信用を審査し、売買契約によってファクタリング会社に生じるリスクを測る。
・審査結果に問題がなければ、利用会社とファクタリング会社の2社間で売買契約を結ぶ。
・売買契約の締結後、買取代金が支払われる。
以上の流れを見ればわかる通り、2社間ファクタリングの売買契約には売掛先が一切関与しません。
また、申し込みから売買契約まで最短数時間~即日で完了するため、スピーディな資金調達が可能です。
なお、2社間ファクタリングの場合、売買契約と同時に売掛金回収委託契約・債権譲渡登記代行契約が必要になる場合があります。

3社間ファクタリングの売買契約までの流れ

次に、3社間ファクタリングの流れをみていきましょう。

・利用会社と売掛先の信用取引により、売掛金が発生する。
・ファクタリング会社に3社間ファクタリングを申し込む。
・売掛契約書や請求書、通帳コピーなどの必要書類を提出する。
・ファクタリング審査を実施し、問題がなければ利用会社とファクタリング会社の間で売買契約を結ぶ。
・売買契約の締結後、売掛先に対して債権譲渡通知を行う。これに伴い、売掛先からの承諾書が必要になることもある。
・債権譲渡通知・承諾の完了後、買取代金が支払われる。
この流れの通り、3社間ファクタリングでは売買契約の締結後、売掛先への債権譲渡通知・承諾の手続きが必要です。
このとき、売掛先の協力が得られなければ3社間での取引が成立せず、3社間ファクタリングが成り立ちません。
3社間ファクタリングは2社間ファクタリングよりも資金調達しにくいといわれるのは、このためです。

契約書を必ず貰う

ファクタリングの売買契約に限らず、ビジネスにおいて契約を結んだ際には、当事者が契約書を共有するものです。
しかし、悪質業者の場合、利用会社に契約書の控えを渡さないことがあります。
なぜ悪質業者が契約書の控えを渡さないかといえば、売買契約に違法な内容が含まれているからです。
「償還請求権有り」「担保・保証付き」「法外な請求」などの違法な内容が含まれており、それを巧みに隠しながら契約を結んでいる可能性もあります。
後日トラブルになった場合、弁護士や警察に契約書を持ち込まれると、業者は摘発を受ける恐れがあります。
そのようなリスクをできるだけ減らすためにも、契約書の控えを渡さないのです。
売買契約の際、契約書の控えを渡してもらえない場合には、その時点で契約を見送ってください。
この危険を避けるために効果的なのが、オンラインファクタリングを利用することです。
オンラインファクタリングはオンラインで契約し、クラウド上に契約書が保存されるため、業者側には「控えを渡す・渡さない」という選択の余地がありません。
契約書がクラウド上に必ず残り、電子契約の提供元が合意締結書を発行するため、極めて安全性・信頼性の高い方法といえます。

まとめ

この記事では、ファクタリングの売買契約について詳しく解説しました。
ファクタリングは売掛金の売買であり、利用の際には売買契約を必ず結びます。
その際、売買契約の内容を確認することによって、悪質業者を避けたり、不利な条件を避けたりすることができます。