ファクタリングと電子記録債権の共通点や相違点について解説
2023年10月11日
債権を用いた資金調達は最近になって徐々に普及し始めています。
その中で電子記録債権(でんさい)とファクタリングは、いずれも売掛債権の譲渡に役立つサービスです。しかし共通点が多く、どのように使い分けるべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、電子記録債権とファクタリングの違いや共通点について紹介します。どのような企業におすすめかも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
電子記録債権とファクタリングの違い
電子記録債権は電子データを使って記録した電子債権であり、ファクタリングは資金調達の一手段です。それらを踏まえ、電子記録債権とファクタリングの違いについて詳しく解説します。
取引先と契約締結をする手間
電子記録債権は、1,300以上ある金融機関のうち共通の口座があれば、スムーズに契約を締結できます。共通のシステムを利用するため、取引先が増えても新たに口座を作る必要がありません。
一方ファクタリングは、取引のたびに新しい契約を締結します。事業者ごとに契約方法が異なるため、多くの業者と取引するには不向きです。さらに業者ごとに、取引内容を記録・管理する手間もかかります。 取引先と契約締結をする手間を抑えたいときは、電子記録債権がおすすめです。
貸し倒れによる支払いリスク
債務者が支払不能となった場合、電子記録債権の譲渡では元の債権者に支払い義務が生じます。この場合、債権者が保証人になるためです。ファクタリングでは、債権者ではなく、事業者が債務不履行に対する責任を負う形態が増えています。その場合は安全に売掛債権を現金化できます。電子記録債権を譲渡する際は、貸し倒れによる支払いリスクに注意しましょう。
とファクタリングと電子記録債権の共通点
電子記録債権とファクタリングは共通点が多いため、混乱を招きやすいです。代表的な共通点として「売掛債権を譲渡し、早期資金化が可能である点」と「システムで売掛債権の譲渡を処理できる点」があります。いずれも売掛債権の譲渡を、自動で簡潔に行えるのが特徴です。
電子記録債権とファクタリング、どちらが最適か
電子記録債権やファクタリングは、どのような企業に向いているのでしょうか。
ファクタリング:審査通過率を重視する企業
ファクタリングは、売掛先の信用度が基準になるため、銀行融資よりもハードルが低いです。特に3社間ファクタリングは、売掛先から資金を回収できるため、ファクタリング利用会社の信用度は問題になりません。経営状態が悪く負債を抱えている企業でも、審査に通る可能性があります。
以上のことから、簡単に資金調達したい企業には、ファクタリングがおすすめです。
電子記録債権:会計処理の変更に対応できる企業
電子記録債権は、会計システムの変更が必要なため、会計処理を根本から変更できる企業におすすめです。導入後は会計が煩雑化するため、慣れるまである程度の時間が必要になるでしょう。たとえば、今まで普通に使用してきた勘定科目を、電子記録債権や電子記録債務に変えなくては行けません。
ただし会計ソフトを導入すれば対応は可能です。会計処理に強い企業なら、メリットの方が上回るでしょう。
導入当初はベテラン社員であっても些細なミスが起きるので、長期的な視野をもって業務に臨みましょう。
違いを理解して自社に必要なサービスを導入しよう
電子記録債権は、契約締結が簡単なものの、会計が複雑で、貸し倒れによる支払いリスクがあります。一方ファクタリングは、契約締結に手間がかかる反面、審査が緩く、貸し倒れによる支払いリスクがありません。いずれもメリット・デメリットがありますが、システム上で売掛債権を譲渡し、早期資金化できる点では共通しています。
それぞれの違いを理解して、自社に必要なサービスを導入しましょう。