ファクタリングのリスクと注意点を解説
2023年2月7日
ファクタリングは、企業の資金調達手段として便利な方法であり、取引先の売掛金未回収の危険性を回避できるメリットもあります。
一方で、進め方を間違えると取引先の信頼を失ったり、高すぎる手数料によって受取金額が減少したり、詐欺まがいの悪徳業者を利用して不利益を被ってしまったりする恐れもあります。
この記事ではファクタリングを行う際のリスクと注意点について解説します。
ファクタリングによるリスク
ファクタリングは融資とは異なり、担保や保証人が必要ありません。なぜなら売掛金という回収見込みの極めて高い優良な債権が対象となるからです。融資の場合は借主の倒産などによるデフォルトのリスクなども考慮して、金融機関も審査に慎重にならざるを得ませんが、前提としてファクタリングにはその心配がありません。そのため、審査は短時間で完了し、入金も非常にスムーズに行われるようになるわけです。さらに、債権をファクタリング業者に売却することで、万が一取引先が債務不履行の事態に陥ったとしても、焦げ付きの被害を免れることができるといった点なども見逃せないメリットの一つです。
しかし、これらのメリットは実はデメリットの裏返しでもあるのです。無担保・保証人なしでデフォルトによる焦げ付きのリスクも回避しながら短時間での入金が可能になるファクタリングには、次のような3つのリスクがあることも知っておかなくてはなりません。
取引先に知られる可能性
債権をファクタリング業者に売却していることが取引先にばれると、長年の信頼関係にヒビが入る恐れもあります。裏で何をこそこそ動いているのだと怒りを買い、今後の取引が見直されるといったリスクも十分に考えられます。この事態を回避するためには、ファクタリング業者との2者間ファクタリングで極秘裏に進めるといった方法が必要な場合もあります。
手数料が高い
ファクタリング業者の実質的な儲けとなるのがこの手数料です。手数料には、基本手数料や事務経費、登記などの諸費用が含まれており、融資の相場などとは異なって一般的な基準金額は業者によって異なります。そのため、手数料が適正金額かどうか必ず事前にチェックすることが必要です。さらに、ファクタリングは本来受け取る債権金額より手数料分が目減りしていますので、利用回数が増えるにつれて収入総額は確実に減少することになります。多用すると資金繰りがかえって悪化することにもなりかねませんので注意が必要です。
悪徳業者にご注意!
ファクタリング業者を装って、詐欺まがいの行為を行う悪徳な闇業者にも注意が必要です。ファクタリング手数料には法令の規制がないということを悪用して法外な手数料を取ったり、債権の売買を装って不法な金銭消費貸借契約を結ばせたりする手口で、資金繰りに困っている企業をだますケースもありますので、業者選びには慎重を期さなくてはなりません。
ファクタリングの注意点
ファクタリングを行う際は、上記のようなリスクがあることを十分に理解したうえで利用するようにします。次に一般的な注意点について説明します。
まず、買取り型のファクタリングを行う際の注意点としては、取引先との契約書に「債権譲渡禁止の記載」がないかどうかを確認することが必要になります。
契約書に債権の譲渡を禁止する項目があった場合は、ファクタリング自体を行うことができません。次に、買取り手数料が適切かどうかも確認します。
資金調達を目的としているにもかかわらず、入金サイクルの短縮だけに注意が向いて受取資金自体が大きく減少してしまうようでは本末転倒であるといえるでしょう。
一般的にファクタリングの手数料の相場は2社間が10〜20%、3社間では1〜10%程度とされています。悪徳業者のチェックも含めて、依頼したい業者の手数料が適切な範囲内かどうか再度確認してみることが大切です。さらに、すでに支払いの期日を過ぎて不良債権となってしまっているものについてはファクタリングの対象になりませんので、これを除かなくてはならないという点にも注意することが必要です。
次に、保証型のファクタリングを依頼する際の注意点です。保証型は、デフォルトといった万が一の事故が発生した時点で受け取ることができる仕組みです。そのため、現金化がどうしても遅くなってしまいます。保証型の中には、支払いに遅延が生じた段階で補償金を受け取ることのできるサービスもありますので、早期の現金化を希望する場合には検討材料となるでしょう。
まとめ:ファクタリングのリスクを理解して効果的に活用しよう
入金サイクルの短縮や取引先が万が一倒産した際などのリスク回避にファクタリングは有効な手段です。その一方で、運用方法を間違えると、本来手にすることができたはずの資産を減少させたり、取引先との信頼関係を損なったり、あるいは詐欺まがいの悪徳業者につかまってしまったりするリスクがあることにも十分注意しなくてはなりません。また、買取り型、保証型それぞれの基本的な注意事項を押さえておくことも必要です。