ファクタリングの取り立てはどうなの?法規制が適用されないケースを解説

2024年7月23日

ファクタリングは融資とは異なり貸金業の法規制が適用されず、貸金業の登録も不要なのでファクタリング事業に参入するハードルは比較的低いといえるでしょう。

近年は多くの会社がファクタリングサービスを提供しています。

しかし、法規制の適用外であることを理由に、高額な手数料を請求したり、厳しい取り立てを行ったりする業者も存在します。

本記事では、ファクタリングと貸金業の違いやファクタリングの法規制について解説します。

悪質な業者を回避し、優良な業者を選ぶために、ぜひ参考にしてください。

ファクタリングは貸金業ではない

ファクタリングは貸金業とは全く別の金融サービスです。

そのためファクタリング業者は貸金業の登録を受ける必要もなく、適切な範囲内で業務を行うのであれば違法ではありません。

このことを理解するためにこの章では次の項目を見ていきましょう。

◎ファクタリングと貸金業の違い
◎貸金業登録なしのファクタリング業者が貸付けを行うのは違法

ファクタリングと貸金業の違い

前述のとおり、ファクタリングと貸金業は異なるサービスです。

ファクタリングは企業が保有する売掛金をファクタリング会社へ売却し、支払期日よりも前に資金化(現金化)する方法です。

金銭の貸付けには当たらないため、貸金業の登録も必要ありません。

貸金業とは

貸金業とは利用者にお金を貸して利息をつけて返してもらうサービスのことで、つまり金銭の貸付け、融資を指します。

正確には貸金業法で次のように定義されています。

”「貸金業」とは、金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介(手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によってする金銭の交付又は当該方法によってする金銭の授受の媒介を含む。以下これらを総称して単に「貸付け」という。)で業として行うものをいう。”
(貸金業法第一章第二条)

この定義に当てはまり、貸金業を営む業者として代表的なものが次のとおりです。

・消費者金融
・事業者金融
・クレジットカード会社
・リース会社
・抵当証券業、など

※銀行や信用金庫などは貸金業ではありません。

銀行と区別するためこれらの貸金業者のことをノンバンクとも呼びます。

貸金業を営むためには財務局または各都道府県行政庁の登録を受ける必要があり、登録後も3年ごとに更新しなければいけません。

そして貸金業法には借入総額・利息の上限や返済金の取り立て方法などが細かく定められており、貸金業者はこれを遵守することが義務付けられています。

■貸金業ポイント

◎貸金業とは利用者にお金を貸して利息をつけて返してもらうサービス
◎貸金業を営むためには貸金業登録が必要

貸金業登録なしのファクタリング業者が貸付けを行うのは違法

ファクタリングは貸金業ではなく、ファクタリング自体に違法性がないことはお分かりいただけたでしょうか。

一方でファクタリングが貸金業法違反だとよく誤解を受けやすいのも事実です。

それは下記のような注意喚起が金融庁や消費者庁を始めあちこちで呼びかけられているためでしょう。

「ファクタリング業者のサービス内容が貸金業法に触れている」
「偽ファクタリング業者は貸金業法違反」
「給与ファクタリングは貸金業法違反」

繰り返しますが、ファクタリング業者が行うのは貸付けではなく売掛金の売買のため、貸金業の登録は不要です。

しかしサービスの内容が真正なファクタリングではなく、実質貸付けのようなことを行うとそれは貸金業法違反になります。

問題なのは貸金業の登録を受けていない業者が貸付けを行うことにあるのです。

そのような業者と契約してしまうとトラブルに巻き込まれやすいので注意しなければなりません。

詳しくは次の章で解説しますね。

ただ、ファクタリング業者の中には貸金業の登録を受けているところも少数ですが存在します。

登録を受けているなら当然貸金業を行っても問題はありません。

給与ファクタリングを利用したり、償還請求権ありの資金提供を受けたりすると貸金に該当し貸金業法が適用されるため、貸金業の登録を受けているファクタリング会社で利用すれば違法ではありません。

ファクタリングと貸金に該当するサービスの違いや貸金業法について理解を深め、トラブルのリスクを最小限に抑えましょう。

ファクタリングに適用されない3つの法規制

ファクタリングは、金融サービスの一種ですが、前述のとおり貸金業とは異なるため、以下で解説する貸金業に関する法規制は適用されません。

ここでは、ファクタリングに適用されない法規制について詳しく説明します。

貸金業法による規制

貸金業法とは、消費者金融やクレジットカード会社などの貸金業者が貸付業務を行う際に遵守すべき法律・規制のことです。

貸金業法の主な目的は、債務者の権利保護です。

多重債務者の増加が深刻な社会問題となったことを受け、2006年に貸金業法の抜本的な見直しが行われました。

改正された貸金業法では、不当な取り立てや差し押さえの禁止、適切な貸付けの実施、上限金利の設定などが定められています。

見直し以降、段階的に規定が施行され、2010年には全ての規定が施行されました。

貸付業務を行うには、貸金業の登録が必須です。

一方で、ファクタリングは貸金業とは異なるため、貸金業法による規制の対象外となっています。

ただし、ファクタリングと称して実際には貸付けを行う業者も存在するため、注意が必要です。

利息制限法による規制

利息制限法は、貸金業者や金融機関が資金を貸し付ける際の金利に関して遵守すべき規制です。

利息制限法では、貸付金利の制限や貸付金利の明示などの規制が設けられています。

貸付金利の上限は、以下のとおりです。

・元本10万円未満:年利20%
・元本10万円以上100万円未満:年利18%
・元本100万円以上:年利15%

利息制限法で上限金利が定められていることにより、お金を借りる人が高額な利息の支払いにより返済が苦しくなることを防止できます。

一方、ファクタリングには利息・金利という概念がなく、ファクタリングの手数料は利息制限法による規制の対象外となっています。

ファクタリング会社は、契約方法や売掛先の与信、売掛金額などを踏まえて、自由に手数料を設定できます。

出資法による規制

出資法(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)は、出資金の受入れ、預り金、金利などを規制する法律です。

出資法では、経済的弱者の保護や、経済秩序の維持などを目的に上限金利が定められています。

上限金利を上回る利率での貸付けには、罰則が科されます。

特に、貸金業者には特則が設けられており、年利20%を超える金利での貸付けは、懲役または罰金のいずれか、あるいは両方の処罰の対象となります(高金利の処罰第五条)。

ファクタリングには、出資法で定められた上限金利は適用されません。

ただし、貸金業登録のない会社がファクタリングを謳って実際には貸付けに該当するとされた場合は、出資法の規制を受けることになります。

ファクタリングの取り立てにも法規制は適用されない?

2者間ファクタリングを利用した場合には、売掛先から代金を回収した後にファクタリング会社へ送金しなければいけません。

回収した代金を支払期日までに送金しなかった場合には、ファクタリング会社から取り立てを受けることになります。

悪質なファクタリング会社と契約してしまうと、厳しい取り立てが行われる可能性があるため注意しましょう。

ファクタリングは貸金業ではないため、利用者は貸金業に関する法規制による保護の対象外となります。

支払期日の延長は基本的に認められないため、売掛金が振り込まれ次第、速やかにファクタリング会社に支払う必要があります。

まとめ

ファクタリングは貸金業ではないため、ファクタリング会社は貸金業の登録を受ける必要がありません。

貸金業者に適用される貸金業法や利息制限法、出資法の法規制も受けないため、なかには高額な手数料や厳しい取り立てをする業者も存在します。

また、貸金業の登録を受けない業者が、ファクタリングを装って実質貸付けを行っているケースもあるため注意が必要です。

安心安全にファクタリングを利用するためには優良なファクタリング会社を選定が重要です。

複数社見積りをとり手数料を比較したり、実績豊富なファクタリング会社を選びましょう。