ファクタリングで債権譲渡登記が必須の理由を詳しく解説
2024年6月25日
この記事では「ファクタリングで債権譲渡登記が行われる理由」をわかりやすく解説します。債権譲渡登記を行うメリットやデメリットについても説明しているので、ファクタリングで「債権譲渡登記」を行う必要性に疑問を感じている人や不安を感じている人は参考にしてみてください。
ファクタリングの利用を検討し調べていく中で「債権譲渡登記」という手続きが必要になると目にした人もいるでしょう。その際に、なぜファクタリングで「債権譲渡登記」が行われるのか理由を知りたいと思った人もいますよね。
ファクタリングで債権譲渡登記が行われる理由は、譲渡する債権の「権利関係を公示するため」です。権利関係の公示により「誰に債権の権利があるか」を法的に主張することができるため、ファクタリング会社は債権回収時のトラブルを回避することが可能になります。
ファクタリングでの債権譲渡登記は債権の権利関係を公示するために行われる
ファクタリングでの「債権譲渡登記」は、債権の「権利関係を公示するため」に行われます。「権利関係の公示」は、売掛先企業への通知と同意を行わない「2社間ファクタリング契約」を行った場合に求められます。
ファクタリング契約では、同じ債権が複数人に譲渡される「二重譲渡」などのリスクが懸念されるため、債権が未回収とならないよう「権利関係の公示」が求められます。権利関係が公示されていれば「二重譲渡」が起きた際、他の第三者が「権利者である」と主張してきた場合においても「法的に対抗」することが可能になるためです。
「権利関係の公示」をし、他の第三者に「対抗」して法的な主張が可能になることを「対抗要件を具備する」といいます。ファクタリングでは通常、売掛先企業への通知や同意によって「対抗要件を具備する」ことができますが、2社間ファクタリングは通知や同意を行わないため、別の方法として「債権譲渡登記」が行われます。
なお、2社間ファクタリングにおいて「債権譲渡登記」は必須ではありません。ファクタリング会社によっては「登記不要」で契約が可能な場合もあるため、債権譲渡登記を行わない契約と比較し「債権譲渡登記」にはどんなメリットやデメリットがあるのか押さえておきましょう。
債権譲渡登記のメリット
債権譲渡登記のメリットは契約時の手数料を低減できる可能性があるところです。債権譲渡登記を行うことで、債権が回収不可能となった場合にファクタリング会社が負う「回収リスク」を低減することが可能になるからです。
【ファクタリング会社が契約時に懸念する回収リスク 一例】
・利用者による「二重譲渡」
・利用者による使い込みや売掛先企業の貸倒れなどによる「未回収」
ファクタリング契約は原則として、利用者が債務の弁済責任を負わない「償還請求権のない契約」です。未回収時の損失はファクタリング会社が負うため、その補填として契約時に「買取り手数料」という手数料が徴収されます。
買取り手数料は、契約時に懸念される「回収リスク」が多いほど高く設定される傾向にあります。「回収リスク」が多い契約は、未回収となる可能性が高いと判断され、手数料による補填の必要性も高くなるためです。
債権譲渡登記は「権利関係の公示」により、債権が他の第三者へ渡り「未回収」となる可能性を低くすることが可能になります。手数料による補填の必要性も低くなることから、「買取り手数料」を低減できる可能性があるため、債権譲渡登記を行わない場合と比較する際の参考にしてみてください。
債権譲渡登記のデメリット
債権譲渡登記のデメリットは資金調達を知られるおそれがあるところです。債権譲渡登記を行うことで「債権譲渡の記録」が公示されてしまうためです。
債権譲渡登記を行うと「債権譲渡取引の記録」が、登記所の「債権譲渡登記事項概要ファイル」に記録され公示されます。公示された「譲渡記録」は、交付申請を行えば誰でも閲覧可能となるため、売掛先企業が閲覧申請を行った場合には債権譲渡によって資金調達が行われたことを知られる可能性があります。
また、金融機関から融資を受ける際にも債権譲渡による資金調達を知られる可能性はあります。融資の審査において「債権譲渡の有無」を調査する金融機関もあり、審査への影響の有無は金融機関によりますが、譲渡記録が知られることで「資金調達に至る経緯」などの説明が必要となる場合もあります。
なお、譲渡記録の閲覧には「証明書交付請求の手続き」が必要です。交付請求の際には事務負担や「交付手数料」などの費用負担があるため、積極的な閲覧がない限りは資金調達を知られる可能性は低いと言えますが、「債権譲渡登記」によってゼロではなくなるという点に留意しましょう。
債権譲渡登記を行う際の手続きの概要
債権譲渡登記を行う際の「手続きの概要」について解説します。債権譲渡登記は、申請対象であることや書類や費用の用意が必要となるため、事前に「手続きの概要」を把握することで、債権譲渡登記を行える対象であるかなどの判断が可能になります。
法務省の「債権譲渡登記制度とは?」によると、債権譲渡登記の対象は「法人」としているため、個人事業主がファクタリングで「債権譲渡登記」を行うことはできません。登記申請の際に添付する「登記事項証明書」は、法人格でないと交付できないことも理由として挙げられます。
また、債権譲渡登記の申請手続きを、弁護士や司法書士などの専門家へ依頼した場合には「報酬料」の費用が必要となります。依頼先や債権の金額によって報酬料金は異なりますが、登録免許税に加え「専門家への報酬料」の費用負担が発生することになります。
なお、債権譲渡登記の手続きでは、提出物と登記申請後の対応について「注意する点」があります。ファクタリングで債権譲渡登記を行った際に、申請が却下されることを防げる可能性があるため、手続きに関する「2つの注意点」について押さえておきましょう。
取下書の添付がない場合には登記申請書類の返却はされない
債権譲渡登記の手続きに関する1つ目の注意点は「取下書の添付がない場合には登記申請書類の返却はされない」ことです。万が一、登記内容に不備があり申請は「却下」と判断された際、一度提出をした登記申請書類の返却はされないシステムとなっているためです。
法務省の「債権譲渡登記制度のご案内」によると、登記申請は「即時処理」が求められていることから、申請書類の誤りを正すような「補正制度」はないとしています。申請した登記内容に「申請却下に値する不備」があった場合には直ちに却下され、同時に提出した登記申請書類も返却されません。
一方で、登記申請書類に「取下書」を添付した場合には、登記内容に「申請却下に値する不備」があったとしても申請却下とはならず「申請の取下げ」が行えます。取下げを行うことで申請書類の返却が受けられ、登録免許税を納付するために貼付した「収入印紙」の再使用も可能になります。
なお、取下書の添付は任意となっているため、用意の手間を考慮して添付を省略することも可能です。しかし、添付することで「再申請」となった際の手続きを容易にできるため、債権譲渡登記を行うとした場合の参考にしてみてください。
債権譲渡登記後には抹消登記手続きが必要
債権譲渡登記の手続きに関する2つ目の注意点は「債権譲渡登記後には抹消登記手が必要」であることです。抹消登記とは、債権譲渡の記録をした「登記内容」を「抹消する手続き」のことを指します。
抹消登記手続きは、登記所に記録した「債権譲渡の記録」と「譲渡後の実態」を一致させるために行います。申請手続きは債権譲渡登記を行った際と同様に、申請書類の提出と登録免許税として1,000円を納付することで抹消登記を行うことができます。
抹消登記を怠り登記所に記録した「債権譲渡の記録」を放置すると、次に別会社とのファクタリング契約を行う際に「二重譲渡」を疑われることになります。トラブルを防ぎ「譲渡後の実態」と一致させるためにも、債権譲渡登記後、ファクタリング契約の終了とともに必ず行うようにします。
なお、ファクタリング会社の中には「抹消登記に応じない会社」や「抹消登記費用として別途費用を請求する会社」も存在します。ファクタリングで債権譲渡登記を行うことを決め、契約内容を確認する際には「抹消登記手続き」についても事前に確認するようにしましょう。
ファクタリングの利用を知られたくない人は債権譲渡登記が不要な会社を選択する
ファクタリングの利用を知られたくない人は、債権譲渡登記が不要な会社を選択しましょう。債権譲渡登記によって、ファクタリング会社は「第三者への対抗要件」が備わり「回収リスクの低減」が可能になりますが、利用者にとってはファクタリングの利用が知られるおそれがあるからです。
ファクタリングを利用する際に「登記不要」としているファクタリング会社を選ぶことで「知られる可能性」を限りなく減らすことが可能になります。しかし、登記不要とする反面、契約時の手数料が高くなる傾向にあるため、手数料への影響がどの程度かを確認した上で選ぶとよいでしょう。
「登記不要」としているファクタリングとして「オンラインファクタリング」が挙げられます。一部のファクタリング会社ではありますが、締結の際に発行される「合意締結証明書」が、第三者へ権利関係を公示できる書類に該当するため、登記を行う必要性がないためです。
なお、債権譲渡登記を不要とすることで「資金調達までの期間」を短縮できる可能性があります。ファクタリング契約は一般的に「債権譲渡登記後に入金」という流れになるため、利用を知られることなく、少しでも資金調達までの期間を短縮したい人は参考にしてみてください。
まとめ
ァクタリングで債権譲渡登記が行われる理由は、譲渡する債権の「権利関係を公示するため」です。譲渡後の債権の権利が「ファクタリング会社にある」ということを、第三者に証明する「対抗要件」を備えるために用いられ、債権の回収不能リスクを回避するために行われます。
ファクタリングで債権譲渡登記を行うことで、利用する企業には「契約時の手数料を低減できる可能性がある」というメリットがあります。しかし、場合によっては「資金調達を知られるおそれがある」というデメリットがあるため、双方を総合的に考慮して行うべきか選択すると良いでしょう。
なお、ファクタリングの利用を知られたくない人は「登記不要」なファクタリング会社を選択するとよいでしょう。債権譲渡登記を不要とすることで「知られる可能性」を限りなく減らすことが可能になりますが、手数料が高くなる傾向にある点に留意して利用を検討しましょう。