領収書ファクタリングって何?その危険性について徹底解説!
2023年2月28日
「〇〇ファクタリング」と呼ばれるサービスがいくつもありますが、その中の1つに「領収書ファクタリング」があります。
領収書ファクタリングとは、領収書をファクタリング会社に譲渡(売却)し、手数料を差し引いた金額を資金化するサービスのことで、経費ファクタリングと呼ばれることもあります。
会社員などの「個人」を対象にしています。
たとえば、出張で宿泊費を立て替えて支払った場合、発行された領収書をファクタリング会社に売却することで、会社から立替経費精算されるのを待たなくても、資金化することができます。
ただし、領収書ファクタリングは違法性が高く、悪質な業者による危険性の高いサービスであることが多いため、できれば利用を避けたほうが良いでしょう。
そうしなければ、法外な手数料を取られたり、悪質な取り立てをされたりして、被害を受ける可能性があるのです。
そこでこの記事では、領収書ファクタリングの基礎知識だけでなく、なぜ危険性が高いのかについても詳しく解説します。
領収書ファクタリングとは
まずは領収書ファクタリングがどのようなサービスなのか、以下の内容を解説します。
領収書ファクタリングとは、領収書を売却して資金化するサービス
領収書ファクタリングとは、領収書、または経費精算書をファクタリング会社に譲渡し、手数料を差し引いた金額を資金化するサービスで、会社員などの「個人」を対象としています。
会社員の場合、必要な経費は立て替えて支払い、後で会社に精算してもらうケースがよくあります。
たとえば、「出張時の宿泊費」や「出張時の交通費」などです。
こうした立替経費は「領収書」をもとにして会社で精算してもらいますが、多くの場合、翌月の給料日など立て替えた日の数週間後に精算されるため、それまで立替経費は手元に戻ってきません。
立替経費の金額が大きければ大きいほど、手元のお金は一時的に減った状態になるため、人によっては苦しい財政状況になる可能性もあります。
そこで領収書ファクタリングを利用すると、領収書や経費精算書をファクタリング会社に売却して資金化でき、翌月の給料日を待たなくてもすぐに立替経費分の現金(手数料を引かれた金額)を手に入れることができます。
ただし、領収書ファクタリングは以下の理由から危険性の高いサービスであるといわれています。
・違法な「給与ファクタリング」と仕組みが似ている
・悪質な取り立てが行われる
・手数料が高額
・貸金業登録を受けていない業者が多い
闇金と同様に利用者はトラブルに巻き込まれる可能性が高く、非常に危険であるため、利用は避けるようにしましょう。
領収書ファクタリングの仕組み
領収書ファクタリングの具体的な仕組みは以下のとおりです。
①経費の領収書をファクタリング会社に売却
②領収書の額面から手数料を差し引いた金額が利用者に振り込まれる
③会社に対して立替経費申請を行う
④後日、会社から経費精算が行われる
⑤会社から経費精算されたお金を、手数料とともにファクタリング会社へ支払う
会社から精算される経費はすべてサービスの買取対象となっており、交通費や携帯電話料金、飲食代などの交際費、宿泊費などが当てはまります。
領収書がない場合も、利用者が経費精算書を作成することで資金化に応じる業者もいます。
請求書ファクタリングと領収書ファクタリングの違い
領収書ファクタリングと名称が似ているために混同しがちなファクタリングサービスとして、「請求書ファクタリング」があります。
請求書ファクタリングとは、利用者がファクタリング会社に請求書(売掛債権)を買い取ってもらうことで、納品時点で資金調達を行えるファクタリングサービスです。
※2者間ファクタリング:ファクタリング会社と売掛先が直接やり取りをすることはなく、ファクタリング会社と利用者の2者間だけでファクタリングの取引が行われる。
この2つの大きな違いは、「買取対象」と「違法性の有無」です。
領収書ファクタリングは「立替経費の領収書」を買取対象としている一方、請求書ファクタリングでは「請求書」を買取対象としています。
また、領収書ファクタリングは違法性がある一方で、請求書ファクタリングに違法性はありません。
「領収書ファクタリング」とは名ばかりで、実質的には後日精算される立替経費を担保にした貸付に近い仕組みです。
そもそもファクタリングとは、「事業者間の取引で生じた代金を請求する権利」である「売掛債権」を、ファクタリング会社が利用者から買い取り、利用者が資金調達するというものです。
領収書ファクタリングの場合、ファクタリング会社が買い取るのは会社員(個人)が保有する「立替経費の領収書(立替金の請求権)」であり、売掛債権ではありません。
そのため、「領収書ファクタリング」は会社員に対する給与ファクタリングと似た仕組みであるため、「貸金業(貸金業登録が必要)」に分類される可能性が高いにも関わらず、貸金業登録をしていない業者が多いため、違法性が高いと言われているのです。
それに対して請求書ファクタリングの場合、ファクタリング会社が買い取るのは事業者が保有する「請求書(売掛債権)」です。
請求書は、納品やサービス提供の対価となる代金を請求するための書類であり、つまるところ「売掛債権」ですので、法的にもしっかりと認められており、違法性はありません。
領収書ファクタリングの危険性が高い3つの理由
先にもお伝えしたとおり、領収書ファクタリングはトラブルに巻き込まれる可能性があり、危険性の高いサービスです。
それでは領収書ファクタリングは危険性が高いといえる理由は何なのでしょうか。
貸金業登録を受けていない
「賃金業登録を受けていない」からです。
そもそも通常のファクタリングが「買取契約」であるのに対して、領収書ファクタリングは「融資契約」にあたります。
領収書ファクタリングは、
・手数料という名の「利息」が発生する
・分割払いが可能
という特徴を持っているため、その実態は「融資契約」であり、「貸金業」に該当するのです。
「貸金業」を営む場合、本来は法律上、国や地方公共団体の「賃金業登録」を受ける義務があります。
しかし、領収書ファクタリング会社は貸金業登録を行わずに営業している業者が多いため、違法性の高いサービスであるといえます。
違法性の高いサービスを提供する業者は多くの場合、利用者から高額なお金を請求することを目的としていることが多いため、利用は避けたほうが良いでしょう。
手数料が高額である
領収書ファクタリングは危険性が高いといわれる理由は「手数料が高額」であるからです。
領収書ファクタリングの手数料は20%~50%となっており、通常ファクタリングの手数料の相場「1%~18%」をはるかに超える高額な手数料を請求されてしまうのです。
たとえば、領収書ファクタリングを利用し「5万円の領収書」を業者に売却する場合、手数料が20%であれば、実際の手取り金額は4万円になります。
さらに、手数料が50%の場合は、手取り金額が2万5千円になってしまい、手取りは領収書の金額の半分になってしまいます。
このように、領収書ファクタリングを行う業者は高額な手数料を差し引く傾向があるため、手取り金額が大幅に削り取られてしまう可能性があり、利用は危険です。
領収書ファクタリングは高額な手数料によって、受け取った現金以上の過剰な支払いが要求されるリスクがあるため、危険性が高いといえるのです。
悪質な取り立てが行われるケースが多い
「悪質な取り立てが行われるケースが多い」からです。
領収書ファクタリングを利用し、期日までに全額を返済できない場合、以下のような取り立てを受けるケースが多い傾向にあります。
【ケース1】職場へ電話で「領収書ファクタリング」を利用したことを言いふらされる
悪質な領収書ファクタリングの業者は、利用者の職場へ電話をかけ、利用者が領収書ファクタリングを使っていることを伝えたうえで、「返済するようにお伝え下さい」などと言われることがあります。
その結果、利用者が職場に居づらくなってしまうといったケースもあるようです。
【ケース2】業者から執拗に催促の電話がかかってくる
業者から催促の電話が執拗にかかってきます。
返済するまでに朝から晩まで、毎日100回以上電話がかかってくることもあり、仕事や生活に悪影響を及ぼします。
【ケース3】恫喝まがいの取り立てをされる
以下のように、恫喝まがいの対応で取り立てを受けることが多い傾向にあります。
・ほかの業者から借りてでも支払え
・今から直接取りに行く
・家族や職場にバラすぞ
【ケース4】家族に電話をかけられ「領収書ファクタリング」の利用を言いふらされる
利用者の家族へ電話をかけて、利用の事実を言いふらしたり、中には「家族が支払わないのだから、代わりに支払え」と要求してくることもあります。
こうした電話が業者からかかってくると、家族に迷惑がかかるだけでなく、家族関係が悪化する可能性もあります。
このように、領収書ファクタリングは悪質な取り立てが行われることも多くあるため、利用は危険であるといえるのです。
領収書ファクタリングの流れ
領収書ファクタリングは以下の6ステップで利用することになります。
①申し込み
多くの業者は自社のサービスサイトにWeb申し込みフォームを用意しており、以下情報を入力し、申し込みを行うようになっています。
・氏名
・生年月日
・住所
・電話番号
・勤務先名
・勤務先の住所及び電話番号
・勤続年数
・手取り月収
・緊急連絡先の名前
・緊急連絡先の電話番号
・領収書買取における希望金額
Web申し込みを受付後、担当者から電話がかかり、上記内容に関して簡単な聴き取りが行われます。
領収書ファクタリングを行っている業者は悪徳業者である可能性が高い傾向にあります。
上記のような個人情報を伝えてしまうことで、勤務先や家族に取り立ての電話がかかってくるなどの被害が発生したり、個人情報を悪用されたりする可能性があるため、領収書ファクタリングの申し込みはしないようにしましょう。
②必要書類の提出
ファクタリング会社側がサービスを「利用可能」と判断すると、必要書類の提示を求められます。
必要となる書類は以下のとおりです。
・領収書、もしくは経費精算書
・健康保険証
・顔写真付き身分証明書
・給料振込先の通帳の写し
上記の必要書類を写真・PDFなどで、業者に送信をします。
「①申し込み」でもお伝えしたとおり、領収書ファクタリングを行っている業者は悪徳業者である可能性が高いため、上記のような個人情報の開示はしないようにしましょう。
③審査結果を待つ
書類の提出が終わると、その後「審査」が行われます。
ただし、審査といっても金融機関のような信用情報の照会等はなく、ここでは申込者の収入等を考慮し、買取金額・手数料の金額を検討しているだけであると言われています。
一般的に審査は数十分ほどで終了します。
また審査の段階で、業者によっては勤務先への電話による在籍確認が行われる場合もあるようです。
この段階で勤務先に領収書ファクタリングの利用を知られてしまう可能性もあり、会社の立替経費を勝手に資金化しようとしているという点で、信用を失うリスクがあります。
④契約締結
業者側の基準をクリアして審査に通ったあと、買取金額と手数料の金額を電話で通知されます。
そして申込者がこれに同意すると契約締結となります。
契約はWeb上で電子契約書を取り交わす場合のほか、口頭で済ませてしまう業者も存在しています。
いくら家計の経済状況が苦しいからとはいえ、領収書ファクタリングを締結してしまうと、後には引き返せなくなってしまうため、利用しようと話を進めてしまった場合でも、できればここで利用を踏みとどまりたいところです。
⑤振り込み
契約完了後、指定の口座に提示された買取金額(手数料を引かれた金額)が振り込まれます。
最短で即日振込みをする業者もあるようです。
⑥経費精算で返済
利用者の会社から経費精算されたら、業者に返済を行います。
領収書ファクタリングの返済日は、給料日または経費の精算日あたりに指定されるケースが多い傾向にあります。
給料日や経費が精算された際、元金と手数料を返済することになります。
返済が少しでも遅れると、1日に何度も取り立ての電話がかかってきたり、勤務先や家族に対して家族ファクタリングの利用を通知されたり、家族に対して取り立てが行われたりするなど悪質な取り立てをされる可能性が高いため、領収書ファクタリングの利用はおすすめしません。
もしもすでに領収書ファクタリングを依頼してトラブルに巻き込まれている場合は、弁護士に相談しましょう。
給与ファクタリングを行っている業者は、違法な取引を行っていることはわかっているため、弁護士から返済拒否の旨を伝えられると諦めて取り立てを止める可能性が高くなります。
領収書ファクタリングのまとめ
先にもお伝えしましたが、ここで改めて強調したいのは、「領収書ファクタリングは利用しないほうがいい」ということです。
なぜなら領収書ファクタリングは、以下のような理由で危険性が高いからです。
• 貸金業登録を行っていない、違法業者が多い
• 悪質な取り立てを行う
• 手数料が高額である
また、より多くのお金を利用者から請求することを目的に事業を行っているような悪質な業者が多く、最悪の場合、悪質な取り立てによって職場や家族に迷惑をかけたり、人間関係が壊れてしまう可能性もあります。
そうしたトラブルを避けるためにも、領収書ファクタリングの利用は避けるべきでしょう。