ファクタリング利用で複数の債権を買取りしてもらえる?その仕組みについて詳しく解説
2024年11月10日
この記事では、「複数の売掛債権を別々のファクタリング会社へ譲渡できる?」
「他社のファクタリングを利用中だが、新たに契約することはできる?」という疑問について詳しく解説していきます。
1.ファクタリングの複数利用とは?
ファクタリングの複数利用とは、異なる売掛債権をそれぞれ別のファクタリング業者に売却することを指します。
売掛債権Aをファクタリング業者AとBに売却するのは二重譲渡ですが、売掛債権Aをファクタリング業者Aに、売掛債権Bをファクタリング業者Bに売却するのは問題ありません。
ビジネスローンなどを複数社に同時に申し込むと、審査で「かなりお金に困っている人」と判断され、審査でマイナスに働きます。
しかしファクタリングは信用情報機関のような組織がないため、複数利用しても審査にマイナスに働くことがありません。またファクタリングの審査では、本人の信用よりも売掛先の信用力が重視されるため、融資と比べると審査に通りやすい傾向にあります。
2.複数の売掛債権を別々のファクタリング会社へ譲渡するのは?
同じ売掛金を複数社へ売却するのは犯罪ですが、複数ある売掛金を別々の会社に譲渡することは可能です。
1枚の請求書を3社に売却するのは違法ですが、3枚の請求書を1枚ずつ計3社へ売却するのは問題ない、とイメージすると分かりやすいでしょう。
ファクタリングでは、複数の売掛債権を別々のファクタリング会社に買い取ってもらうことができます。
これは、それぞれの売掛債権を別々に契約する「掛け持ち」と呼ばれます。ファクタリングの掛け持ちは、信用情報機関のような組織がないため、審査にマイナスに働くことはありません。
また、ファクタリングの審査では、本人の信用よりも売掛先の信用力が重視されるため、融資と比べると審査に通りやすい傾向にあります。
ファクタリングは、融資と同様に他社のサービスを契約中であっても、新規契約を結ぶことができます。もちろん違法でもなんでもありません。
そもそも、ファクタリングの審査では信用情報照会は行いませんので、お客様が他社のファクタリングを利用中か否かを確認することもないのです。
もちろん、面談のなかで他社のファクタリングの利用経験をお伺いすることもありますが、これが審査に影響することはほとんどありません。
ですので、経営に影響を与えない範囲内の売掛債権売却であれば問題はありませんし、複数社とのファクタリング契約が効果的に働く場合もあるといえます。
3.複数社との契約によるメリットとデメリット
複数社との契約によるメリットのひとつは、手数料や買取可能額といった取引条件を比較しながらファクタリングを利用できることです。ファクタリング会社の中には、継続的な利用によって手数料の減額や買取額が増加されるようなサービスを行なっている場合もありますので、複数社と同時に取引を行いながら、そのうちの1社から好条件の提案があれば、その1社との契約に絞るといった利用方法もできます。
その反面、複数社との契約が問題ないとはいえ、ファクタリング会社からの印象は決して良いとはいえません。他社との契約があるからといって、新規契約を断られるケースはさほどみられませんが、定期的にファクタリングを利用したい場合であれば、1社に絞って契約したほうが後の取引も良好に交わせるでしょう。
4.「二重譲渡」と「複数契約」はまったく異なる行為
ただし注意事項もあります。それが「二重譲渡」です。
「二重譲渡」とは、他者に譲渡した特定の物や権利を、さらに別の者に譲渡する関係をいいます。
たとえば、Aさんが所有する不動産をBさんに譲渡したにもかかわらず、Aさんが同じ不動産をCさんにも譲渡する。これが二重譲渡です。
ファクタリングは、売掛債権の売買契約となりますので、この例にあてはめられます。A社が1,000万円の売掛金をファクタリング会社aに売却したのち、別のファクタリング会社bにも売却する。これが売掛債権の二重譲渡となります。
一方で、複数社との契約というのは、A社の売掛金の総額が1,000万円の場合、500万円をファクタリング会社aに、残りの500万円をファクタリング会社bに売却するという仕組みです。
このように、「二重譲渡」と「複数契約」はまったく異なる行為です。
なお、3社間契約では売掛先に債権譲渡通知をする必要がありますので、二重譲渡が発生することはありません。二重譲渡は、基本的に2社間ファクタリングで起きる行為です。
二重譲渡がバレると、詐欺罪や横領罪などの刑事上の責任を問われる可能性があります。
見積もり時や債権譲渡登記時に二重譲渡が発覚した場合、詐欺未遂罪に該当します。
期日到来時に、両方のファクタリング会社への返済資金を用意できないことがバレる可能性があります。
内部通報や従業員からの問い合わせなどでバレる可能性があります。
ファクタリングによる買い取りは行われず、二度とそのファクタリング会社を利用できなくなる可能性があります。
ファクタリングの掛け持ちを行う際は、正しく活用し、資金調達に活かすようにしましょう。