ファクタリングと他の資金調達との比較
2024年7月6日
本記事では、ファクタリングでの資金調達を検討している中小企業の経営者の方が知っておくべき知識をわかりやすく解説します。
ファクタリングは売掛金をファクタリング会社に対して売却し、その対価として現金の支払いを得る契約です。
資金調達方法の違いを見ていきましょう。
融資との違い
まずは融資との違いを見ていきます。
融資の場合、支払いは利用者が契約している金融機関へ毎月決まった支払日に、一定の額を払います。
ファクタリングの場合は、取引先から入金され次第、ファクタリング会社へ入金します。3社間での取引の場合は、ファクタリング会社が取引先から直接入金を受ける形になります。
金利・手数料
金利や手数料ですが、融資の場合は金利として1%から18%まで、ファクタリングは金利ではなく買い取りに際しての手数料として、3%から20%程度の支払いが発生します。
支払いができない場合の対応
支払いができない場合の対応も異なります。
融資の場合は、金融機関もしくは金融機関に委託を受けた保証会社の支払いが行われるまで催促、回収を行います。
ファクタリングは売掛先への取り立てが必要になります。2社間の場合は事業者自らが回収を行いますが、3社間取引の場合はファクタリング会社が回収を行います。
取引情報の扱い
最後に取引情報の扱いです。
融資では信用情報として履歴が登録されます。加えて担保ローンを借り入れた場合は登記が必要となります。
ファクタリングでは信用情報に履歴が残りません。2社間取引の場合は取引先に知られることもありません。3社間の場合は取引先への通知と承諾が必要になります。2社間・3社間ともに登記も必要になってくる場合があります。
資金調達方式
では具体的な資金調達方式を上げて、その違いを簡単に説明していきましょう。
銀行融資はあくまで「融資」です。融資では審査の方法がファクタリングとは違うほか、融資後には金利が発生します。分割払いができる点も大きな違いです。
手形割引は、ファクタリングと同じく売掛金入金期日前に現金が受け取れますが、手形割引の場合は現金化した後に返金義務が生じます。
手形貸付は、約束手形による短期的な資金融資です。事業者ローンに比べて融資を受けやすく、審査書類の提出も省けます。こちらも融資なので、ファクタリングとは違います。
そのほか、ビジネスローンや不動産担保貸付、証書貸付、でんさい、ABLといった資金調達手段もファクタリングと同じく、資金調達手段として広く事業者に利用されていますが、ファクタリングとはそれぞれことなる取引内容、資金調達手段となっています。
ファクタリングとABL
ファクタリングとABLの違いは、ABLが売掛金を担保にした「融資」である点です。
売掛金に限らず、保有する商品在庫、原材料といった流動性のある資産を担保に融資を受けることができます。不動産などの担保を持たない事業主が利用できる、資金調達方法のひとつとして知られています。
担保の掛目は8割以下です。審査の際は、担保となる資産の価値、加えて利用者の返済能力もチェックされます。
ファクタリングとの違いは、ABLが担保ありの融資であり、会社の信用力が大きく問われる部分もポイントです。
極端な話ですが、ファクタリングの場合は事業主=依頼者の信用はあまり問題にはならず、あくまで売掛金があることと売掛先の信用力が重要視されます。
融資であることと、審査のポイントが異なるという2点でABLはファクタリングとはまったくの別物ということになります。
ファクタリングとでんさいの違い
ファクタリングとでんさいの違いは、でんさいが電子記録債権という債権の一つで、これを担保にした「融資」であるという点です。
でんさいは、自社が取引先に対してサービスや商品を提供したのち、取引先はその支払いをでんさいで行います。すると自社は債権を保有でき、これを担保にできるわけです。
でんさいを担保にした融資の場合、申し込みは金融機関に対して行い、審査を受けます。審査が通ると、銀行が譲渡記録を行い、手形割引が実行され申し込んだ会社の口座に入金されます。返済は取引先の支払期日に、振出人からでんさいの額面が融資元に入金されることで完了します。
もしでんさいの振出人が倒産などして不渡りとなったときは、割引人である事業主がでんさいを買い戻さなくてはなりません。
通常の融資よりも審査が甘いことと、利便性の高さから、資金調達の方法として広く利用されています。
ちなみに融資なので、こちらもファクタリングとは別ものですが、事業主、銀行、取引先と3社間で、かつ銀行がでんさいの入金を受けて取引が完了する点がファクタリングの3社間取引の関係に似ています。
ファクタリングと手形割引の違い
支払期日前に約束手形を現金化できるのがこの手形割引です。
手形を担保にして受ける「融資」である点が、ファクタリングとは異なります。
金融機関は担保の手形が期日通りに支払われるかどうかと、不渡りが起きる可能性がないかなどを審査して融資の決定をします。また手形が一時不渡りになったときに、その回収の申し込みを行った事業主が行わなければならないため、事業主の信用能力(支払い能力)も審査項目の一つとなります。
通常の融資と違うのは手形を担保としている点です。金利はつかず、手形”割引”分の手形割引率を差し引いて入金されます。この点はファクタリングにおけるファクタリング会社に支払う手数料と似ているかもしれません。
ファクタリングと一括信頼信託の違い
債務引き受け決済サービスと呼ばれる一括支払い信託は、銀行と、事業主、取引先の3社間で締結される契約で、売掛先と連携して債権の管理・運用を行います。債権者となる事業主は、いつでも債権を現金化することができるようになります。
間に入るのが銀行かファクタリング会社かの違いで、仕組みとしてはファクタリングとほぼ同じです。
債権者は現金を受け取り際に、金利と手数料を支払う必要があります。金利は変動するため、金利が高いときに大きな額面を現金がすると、得られる金額が少なくなり、支払うお金が高くなってしまいます。
この一括支払い信託では、計画的に利用することで、債権の運用と管理がスムーズにできる点がメリットと言えるでしょう。
最後に、本記事のおさらいです。
ファクタリングは企業の資金調達手段としてどうなのか
良い面も悪い面もあるため、ベストな資金調達方法かどうかは利用する企業の状況によって異なります。
本記事の内容が、貴社のファクタリングでの資金調達の参考になれば幸いです。