ファクタリングでオフバランス化を図ろう!メリットや注意点を紹介
2023年2月28日
ファクタリングは主に資金調達をを目的として利用することが一般的ですが、実はオフバランス化による様々なメリットもあります。
しかしオフバランス化といわれても、具体的にどのようなメリットがあるのか、ファクタリングでなぜ可能になるのか仕組みがよくわからない方もいることでしょう。
そこで、ファクタリングによるオフバランス化の要件や、それによるメリットについて解説します。
オフバランスの意味
「オフバランス」とは、資産を貸借対照表から切り離すことを意味します。
オフバランスの「バランス」は、貸借対照表を意味する「バランスシート(BS)」のことです。
貸借対照表(バランスシート)は、財務諸表の1つであり、資産・負債・純資産(資本)の状態を示します。
そのためオフバランス化は貸借対照表の資産を会計上問題のない方法で記載させない取引であり、重要となるのはどのように総資産を活用し利益に結びつけているか、その効率性です。
それを知るために用いられるのが「総資産利益率(ROA)で」、次の計算式で算出していきます。
総資産利益率(ROA)=当期純利益率÷総資産
総資産利益率(ROA)を向上させることは「企業価値」を向上させることであり、オフバランスの目的の1つです。
ファクタリングを活用することで、保有する売掛金が現金に代わり、事業に使用する現金を増やし利益を効率的に伸ばすことができるでしょう。
ファクタリングによるオフバランス化の要件・方法
ファクタリングによりオフバランス化することができる要件や方法を知るために、その仕組みを理解していきましょう。
オフバランス化につながる仕組みを理解するには、ファクタリングによる資金調達と融資を受けて調達する方法を比較するとわかりやすいといえます。
それぞれの方法で資金調達したときの貸借対照表の変化を知るため、次の2つを説明します。
ファクタリングで資金調達したときの貸借対照表
たとえば次の貸借対照表の会社が、売掛金100万円を10%の手数料でファクタリングにより現金化したとします。
借方 — 現金500万円
貸方 — 借入金100万円
↓
借方 — 売掛金100万円
貸方 — 資本金500万円(内利益100万円)
↓
借方合計 — 600万円
貸方合計 — 600万円
売掛先から支払いのある期日まで待てば売掛債権額面の100万円が入金され利益となりますが、ファクタリング利用により手数料を支払えば10万円差し引いた90万円が利益となるため、以下の貸借対照表に変化します。
借方 — 現金590万円
貸方 — 借入金 100万円
↓
借方 — 資本金490万円(内利益90万円)
↓
借方合計 — 590万円
貸方合計 — 590万円
利益は90万円となり、総資産合計は590万円となるため、総資産利益率(ROA)は以下のとおりとなります。
総資産利益率(ROA)15.25%=利益90万円/総資産額590万円×100(%)
融資を受けて資金調達したときの貸借対照表
銀行から融資を受けて100万円資金を調達したときには、ファクタリングと異なり借方と貸方のどちらも以下のとおり100万円分増えます。
借方合計 — 現金600万円
貸方合計 — 借入金200万円
↓
借方合計 — 売掛金100万円
貸方合計 — 資本金500万円(内利益100万円)
↓
借方合計 — 700万円
貸方合計 — 700万円
借入れによる資金調達では、利益は100万円のまま変化がなく総資産額は100万円プラスした700万円に増えましたが、総資産利益率(ROA)は以下のとおりとなります。
総資産利益率(ROA)14.28%=利益100万円/総資産額700万円×100(%)
以上のことから、ファクタリングと銀行融資のどちらも同じ100万円を資金調達した場合でも、ファクタリングのほうが総資産利益率(ROA)を上昇させることが確認できます。
ファクタリングでオフバランス化するメリット
ファクタリングでオフバランス化するメリットは、主に次の2つです。
融資による資金調達しやすくなる
ファクタリングによるオフバランス化で、銀行の企業格付けが向上すれば、銀行から融資を受けたい場面にもプラスに働くことが考えられます。
オフバランス化で貸借対照表がスリム化され、総資産利益率(ROA)や自己資本比率も改善できれば、決算書を見た銀行も信用力の高い会社という印象を抱くからです。
また、銀行から融資を受けて資金を調達する以外にも、たとえば株式発行による出資を受けるときの投資家からの評価も上がります。
出資による方法が可能となれば、多額の資金を調達できるだけでなく返済負担に追われることもなくなるため、より経営がスムーズになることでしょう。
オフバランス化は安定した会社であることをアピールし、評価を高めるために有効であり、その結果、銀行から融資を受けやすくなったり投資してもらえたりなど様々なメリットを生むといえます。
企業格付けを向上できる
ファクタリングで資産をオフバランス化すると、貸借対照表を「スリム化」し経営状態を良好に見せることができます。
それにより銀行の「企業格付け」が向上することが予想されますが、その理由として次の3つが挙げられます。
ROAを改善できる
ファクタリングによるオフバランス化では「総資産利益率(ROA)」を改善できることもメリットです。
総資産利益率(ROA)を向上させるには資産を少なくすることが必要ですが、ファクタリングなら売掛金を現金化し借入金返済に充てることもできるため、それにより総資産利益率(ROA)を改善させることが可能です。
総資産利益率(ROA)による財務分析の指標を向上させることで、効率的な経営ができていることをアピールできます。
健全経営の状態を保てる
ファクタリングで本来計上されるはずだった資産がオフバランス化されれば、貸借対照表をすっきりとスリム化でき、経営状態を良好に見せることができます。
売掛金は時期が来れば現金化されますが、回収できるまでの一定期間、貸借対照表上の資産を大きくします。
そこで、貸借対照表から切り離すためにオフバランス化すれば、資産額を抑えることができ、「健全経営」の状態を保つことができます。
自己資本比率を改善できる
ファクタリングによりオフバランス化することで、「自己資本比率」も改善できます。
自己資本比率とは純資産と資産との割合のことですが、自己資本の資本調達に対する割合を示す数値です。
純資産は自らが稼いだ返済義務のないお金であり、言い換えれば「資本金」です。
自己資本比率が高いということは、誰に返す必要もない自己資本による経営ができていることを意味し、安定した会社であることを証明できます。
仮に自己資本比率が低ければ、銀行からの借入れなど他人資本による影響が高く、経営が不安定と判断されてしまうでしょう。
ファクタリングで保有する売掛金を現金化することは、売掛債権という資産を現金へ換えただけのため、総資本には影響を与えることはありません。
増えた現金で借入金を返済すれば、資産と負債のどちらも減少させることができ、自己資本比率を高めることが可能となります。
ファクタリングでオフバランス化するデメリット
ファクタリングによるオフバランス化には様々なメリットがありますが、デメリットといえるのは「手数料」が発生することです。
ファクタリング会社に支払う手数料は、3社間ファクタリングは1~9%が相場ですが、2社間ファクタリングなら10~20%が相場となります。
中小企業の多くは、売掛先にファクタリング利用を伝えることを避けたいと考えるため、多くが2社間ファクタリングを選択しています。
しかし、仮に500万円の売掛金を20%の手数料でファクタリングにより現金化すれば、400万円まで減少してしまいます。
売掛先からの入金期日まで待てば500万円入金されるはずだったのに、一気に400万円まで減ってしまうことになるため、繰り返し利用すれば資金繰りは悪化してしまうでしょう。
数か月先でなければ現金化されない売掛金が、早ければ即日手元に入ることは大きなメリットですが、手数料が高めであることはデメリットといえます。
そのためできるだけ手数料を安く抑えることができるファクタリング会社を選ぶようにし、期間を決めずダラダラと長期に利用することは避けることが大切です。
ファクタリングでオフバランス化するときの注意点
ファクタリングによるオフバランス化を実行するなら、先にも述べたとおりファクタリング会社選びが重要です。
どのファクタリング会社の手数料が安いかは、複数社に相見積もりを取ってみなければわからないといえます。
審査基準や設定する手数料はファクタリング会社ごとに異なり、即日現金化が可能という場合もあれば3営業日以内というケースもあるなど、様々です。
また、ファクタリング業界は法整備が十分整っておらず、悪徳業者が横行しやすい環境であるため、信頼できる業者か公式サイトなどの実績などで確認することも必要となります。
仮に悪徳業者と契約してしまうと、法外な手数料を請求され、オフバランス化や資金調達の意味がなくなってしまいます。
しっかりとどのファクタリング会社が良心的な対応か見極め、安心して契約できる業者を選び、悪徳業者に騙されないように注意してください。
ファクタリングでオフバランス化を図ろう!のまとめ
ファクタリングは単なる資金の調達方法ではなく、オフバランス化による経営の改善に活用することもできます。
資産を貸借対照表(バランスシート)から切り離すことがオフバランス化であり、それにより健全な経営ができているか示す財務指標を改善させることが可能です。
その結果、銀行から融資を受けやすくなったり投資してもらいやすくなったりなど、資金調達のメリットを生みます。
ただし、ファクタリングを利用するときには手数料がかかり、銀行から融資を受ける時よりも高めのコストが発生します。
特にオフバランス化目的でファクタリングを利用するときには、改善見込みの効果と手数料負担を考慮し、どのように活用するかしっかりと検討しましょう。
また、ファクタリングによる手数料はどのファクタリング会社と契約するかによって大きく変わるため、信頼できる業者選びが重要なポイントとなると留意しておいてください