ファクタリングの二重譲渡は絶対ダメ!その理由とは

2023年2月9日

ファクタリングは最近日本でも認知されてきた資金調達方法で、まだまだ知らない方も多くいるかと思います。
法整備も十分とは言えず、わずかですが違法業者もいれば悪質な利用者も存在します。
売掛金を買取してもらえるファクタリングですが、売掛金はあくまでも口約束。
「すでに買い取ってもらったけど、他の会社にも買取を依頼したら意外とばれないかも?」
「2か月後までに用意できるなら、嘘の売掛金で資金調達してしまおう!」
売掛金は受取手形のように法律で定められておりませんから、特に問題ないような気がします。
そこで今回は、ファクタリングの二重譲渡や架空債券は違法行為なのか、詳しく説明していきます。

ファクタリングの二重譲渡リスクとは?

二重譲渡とは、債権を1社目に譲渡した後、さらに2社以上のファクタリング会社に譲渡し、不正に現金を受け取ることをいいます。
つまり二重譲渡は違法であるということです。
さらには二重どころではなく、三重や四重といった悪質なケースも見受けられます。
他のファクタリング会社へ譲渡された売掛債権を二重に譲渡された場合、回収は不可能となりますから、ファクタリング会社は二重譲渡を恐れているのです。
売掛金は手形や小切手のように、目に見えるものではありませんので、一度譲渡されたものなのかどうかを判断する術がないのです。
3社間ファクタリングの場合は、売掛先に通知がいきますので、二重譲渡されることはありません。
しかし、ファクタリング会社と申し込み企業との2社間ファクタリングでは、売掛先に債権を譲渡した旨の通知がいきませんので、ファクタリング会社が気づかないことがあるのです。

架空債権で現金を資金調達する会社は違法?

二重譲渡の他にも、ファクタリングを悪用する方法があります。
それが「架空債権の譲渡」です。
架空債券とは、存在しない架空の債権を作り上げることをいいます。
ありもしない売掛債権をファクタリング会社に譲渡しようとするのは詐欺と同様の扱いとなります。
売掛金は、目に見えない債権ですので、架空債権を作り上げる方法として次のようなものがあります。

・決算書、試算表の粉飾
・請求書の偽造・捏造
実際にだまし取る手段として、売掛保有企業と売掛先だと偽り、共謀してファクタリング会社から現金をだまし取ります。
その他にも、実際の売掛先の請求書を捏造し、ファクタリング会社に架空の債権を譲渡する者もいます。
当然のことながら、支払期日が来てもファクタリング会社に入金されることはなく、あっさりと架空債権であったことがバレてしまうのです。
架空債権の譲渡も、二重譲渡と同じく違法行為ですので、詐欺行為として刑事告訴される可能性があります。
他の取引先との関係がなくなってしまうと元も子もないので、詐欺である二重譲渡や架空債券で信用を失わないようにしてください。

まだある!詐欺になりうる悪用行為とは?

詐欺罪となってしまいかねないファクタリングの悪用行為は二重譲渡や架空債券以外にもあります。

譲渡済みの売掛金を流用

2社間ファクタリングの場合は売掛債権を譲渡後、売掛先から入金があります。

本当はファクタリング会社に支払わなければなりませんが、入金された現金をファクタリング会社に支払わずに使ってしまってはどうでしょうか?

入金されたお金はファクタリング会社に帰属するはずですから、業務上横領罪として告訴される可能性があります。

入金された現金を流用するとこは決して許されることではありません。

売掛先の計画倒産

ファクタリング会社を利用した悪質なものの中には、売掛先の計画倒産というものがあります。

売掛債権をファクタリング会社に譲渡し、現金を手にしたあと、意図的に売掛先を倒産させる方法です。

ファクタリング会社はお金を回収できないことになるので詐欺として立件される可能性も否定できません。

事業業者によっては債権譲渡登記が必要

このようなファクタリングを悪用した事例があることから、2社間ファクタリングの審査は3社間ファクタリングと比べると厳しいのです。
ファクタリングを利用する際には、不審な利用者ではないかと疑われないために、できるだけ情報の開示をしたり、慎重な審査に誠実に対応したりということが重要になります。
ではファクタリング会社はこのようなリスクをどのように対処するのでしょうか?
それは債権譲渡登記です。

債権譲渡登記とは

債権譲渡登記とは、債権が譲渡されたことを法務局に申請して登記することです。
売掛債権は目に見えない債権のため、ファクタリング会社は債権譲渡登記をつかってリスクの回避をしています。

第三者対抗要件とは

第三者対抗要件とは、当事者間で効力の生じた権利関係を、第三者に対して主張(対抗)することをいいます。

A社がファクタリングB社とファクタリングC社の両方に100万円の債権を譲渡したとします。(ここではわかりやすく手数料は考慮しません。)
A社は明らかに二重譲渡をしていますよね。

しかし、B社がA社から100万円を実際に受け取った場合、C社は「自分にも100万円を譲ってもらう権利がある!」とは主張できなくなります。

売掛債権を譲渡されたと思っているC社は100万円の大損です。

C社のようなことにならないために、2社間ファクタリングでは債権譲渡登記を、3社間ファクタリングでは、売掛先への通知をおこないます。

実際、ファクタリングB社は次のような措置をおこなうことで第三者対抗要件を満たしているといえます。

売掛先から債権譲渡の承諾書をもらう

売掛先へ内容証明を送る
売掛債権の譲渡を法務局に登記する
個人事業主は法務局へ登録できないため、必然的に売掛先へ通知する3社間ファクタリングを利用することになります。

また、2社間ファクタリングでは、ファクタリング会社が前述のような悪質な事件に巻き込まれない対抗策として債権譲渡登記が必要となることが多いです。

二重譲渡リスクを防止

売掛債権を譲り受けるファクタリング会社が債権譲渡登記をすると、他社にその旨を知らせることができます。

こうしておくことで、二重譲渡されたとしてもファクタリング会社が債権譲渡登記を済ませていれば売掛金の所有権を主張することができます。

ファクタリングの二重譲渡まとめ

ファクタリングで二重譲渡や架空債券は詐欺罪となる可能性が高いです。
審査の際はファクタリング会社を欺く事のないように、誠実な態度で臨みましょう。