起業にいくら必要? 設立費から設立後に必要な費用まで紹介!
2024年9月1日
いざ起業を志したとき、一番の不安要素になるのが「お金」のことだと思います。いくら事業のビジョンがしっかりしていても、必要な費用が準備できなければ、起業することはできません。
今回は、これから起業、とくに会社設立を考えている方に向けて、実際に必要な費用について具体的にご紹介します。将来計画の参考にしていただければと思います。
起業ではお金以外にも不安になる要素はたくさんあります。
事前に知っておくことで、起業後の不安がすこしでもなくなると思います。
法人と個人事業主で起業手続きの費用が異なる
日本政策金融公庫の2020年度新規開業実態調査によると、開業費用の平均は989万円となっています。
とはいえ一口に「起業」といっても、法人を設立するのか、個人事業主として開業するのかでかかる費用は異なります。まずは、それぞれの起業手続きの費用の目安を確認していきましょう。
個人事業主の費用
個人の場合、起業の際に必要な手続きは開業届の提出です。開業届を出すのに費用はかからず、税金や資本金も必要ありません。
法人の費用
次に法人の場合を見ていきましょう。法人は設立時に登録免許税や定款認証手数料などがかかり、起業手続きに必要な最低費用は10万円程度です。ただし、法人にはいくつか種類があり、主なものとしては、
株式会社
合同会社
一般社団法人
一般財団法人
NPO法人
個人事業主か法人設立かで迷ったら
起業を志した際、個人事業主として開業するか法人を設立するかで迷う方も多いかと思います。法人を設立するメリットとしては次のようなものがあります。
税金面の法人設立メリット
個人事業主が支払う税金は、所得税・住民税・消費税・個人事業税の4種類。このうち所得税は、売上から必要経費を引いた儲け額に対して課せられる税金ですが、個人は法人に比べて必要経費と認められるハードルが高く、またこの儲け額が増えるほど税率が上がり控除も減ってしまいます。
一方法人の場合は、法人税・法人住民税・法人事業税・地方法人特別税・消費税・固定資産税などを支払います。法人税は個人事業主でいう所得税に当たりますが、所得税に比べて税率はゆるやかです。
こうしたことから、一定以上の所得を超える場合には法人設立をした方がメリットが大きいと言われています。一概には言えませんが、目安としては年間所得700万円程度が分岐点と考えると良いでしょう。
信用面の法人設立メリット
一般的に、個人よりも法人の方が取引先との信用面において優れています。
個人事業主の場合、対法人で契約や取引をしようとすると、断られてしまうケースもあります。飲食店のようなBtoC(対一般顧客)のビジネスならあまり問題になりませんが、BtoB(対企業)のビジネスを行う場合、法人設立は一定のメリットがあると言えるでしょう。
起業して法人設立する際の費用
ここからは、株式会社や合同会社など、会社形態別の起業費用の目安を見ていきましょう。
株式会社の場合
まず、会社形態として一般的な「株式会社」の起業の費用です。ざっとまとめると、「約25万円+資本金」がかかります。
法定費用(必ず必要な費用)の内訳は、以下のとおりです。
・登録免許税:15万円か、資本金の0.7%の額のどちらか高い方
・登記時に必要な謄本手数料:約2,000円(1ページ250円)
・公証人に払う、定款認証手数料:約5万円
・定款に貼る印紙代:4万円 (※電子定款認証を行う場合は、この費用は不要)
さらに、株式会社の場合は「資本金」を準備する必要があるので、その点も押さえておきましょう。資本金は1円からでも設立(起業)できますが、会社の運営や社会的信用のことを考えると、一定額は準備するほうが無難です。額は事業によって違いますが、資金調達などを検討している場合、銀行から見えるお金として、100万円ほどは必要だ、とも言われています。
さらに上記に加えて、
・会社の実印作成代
・個人の印鑑証明書取得費
・登記簿謄本の取得費
などの雑費が合計1万円程度かかると考えてください。
また、会社設立を専門家に依頼する場合は、別途その費用がかかります。専門家によっても違いますが会社設立だけのスポット業務を依頼する場合(司法書士に依頼・大体25万円~30万円が相場)と、税理士の顧問契約(会社設立+年間顧問料で大体50万円ほど)と合わせて依頼する場合とでは、費用も大きく変わってくるので、予算感や起業後のフォロー体制の希望に合わせて選ぶといいでしょう。
合同会社の場合
合同会社は、出資者の少ない個人経営に適した会社形態です。この場合、「約10万円+資本金」という費用だけで設立(起業)できます。
法定費用(必ず必要な費用)の内訳は、以下のとおりです。
・登録免許税:6万円か、資本金の0.7%の額のどちらか高い方
・登記時に必要な謄本手数料:約2,000円(1ページ250円)
・定款に貼る印紙代:4万円 (※電子定款認証を行う場合は、この費用は不要)
株式会社との費用面での大きな違いは、登録免許税の額と、公証人に定款認証してもらわなくても大丈夫なところです。資本金やその他の費用の考え方については、株式会社と同様です。
登録免許税も低く、手続きも簡易なので、起業の方法としてこの方法を選ぶ方も多いです。
株式会社と合同会社の制度面での最大の違いは、株式が発行できるかどうかです。株式による出資を検討する場合は株式会社として起業、そうでない場合は合同会社としての起業でも良いということになります。
また、合同会社は有限会社が制度としてなくなった後に出てきた比較的新しい形であるため、株式会社に比べるとわずかに信用面で劣るケースがあります。新規で開拓営業を積極的にしていくような会社を起業する場合は、株式会社を選んだ方が無難かもしれません。
一般社団法人の場合
一般社団法人は、営利を目的としない法人で、人の集まりを基盤とする法人です。そのため、法人自身の財産は不要=設立時の資本金の払込は不要という特徴があります。設立(起業)には、「約11万円」の費用がかかります。
・登録免許税:6万円
・登記時に必要な謄本手数料:約2,000円(1ページ250円)
・公証人に払う、定款認証手数料:約5万円
一般社団法人は印紙税が非課税なので、電子定款でも、紙の定款でも、印紙代はかかりません。
なお、一般社団法人には、普通型(営利型)と非営利型があります。設立時(起業時)の費用はどちらも同じですが、その後の費用においては非営利型として起業すれば免税の対象となるため、税金面でのメリットが大きいと言えます。
一般社団法人はやや公共性が高いイメージがあり、会員ビジネスや検定ビジネスあどと親和性が高い会社形態です。
一般財団法人の場合
一般財団法人は、理事の財産を運用し、そこから生じる利益で事業を行う法人です。そのため、設立時(起業時)は300万円の基本財産が必要です。設立にかかる費用は「最低311万円」と言えます。
・基本財産:300万円以上
・登録免許税:6万円
・登記時に必要な謄本手数料:約2,000円(1ページ250円)
・公証人に払う、定款認証手数料:約5万円
一般社団法人と同じく、印紙税が非課税なので、電子定款でも、紙の定款でも、印紙代はかかりません。
NPO法人の場合
NPO法人は、特定非営利活動法人と呼ばれ、社会的貢献活動を行い、団体の構成員に収益を分配することを目的にしていないという法人です。NPO法人として活動できるのは、法律で17種に限られている点も特徴的です。
NPO法人として活動できる17種類
・保健、医療又は福祉の増進を図る活動
・社会教育の推進を図る活動
・まちづくりの推進を図る活動
・学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
・環境の保全を図る活動
・災害救援活動
・地域安全活動
・人権の擁護又は平和の推進を図る活動
・国際協力の活動
・男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
・子どもの健全育成を図る活動
・情報化社会の発展を図る活動
・科学技術の振興を図る活動
・経済活動の活性化を図る活動
・職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
・消費者の保護を図る活動
・前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡助言又は援助の活動
NPO法人は、資本金、登録免許税、定款認証手数料などは不要です。印鑑作成費や、証明書取得費などの実費のみで設立(起業)できます。
なお、NPO法人の設立には、「申請→認証→登記」というステップが必要で、すべてを完了させるのに2〜3ヵ月前後かかる点に注意が必要です。
会社設立後に必要となるお金
起業には、会社設立そのものにかかる費用だけではなく、実際に事業を行うために必要な費用も多数あります。具体的にご紹介しますが、起業の際には、これらが必要ということは認識しておきましょう。
広告費
事業を始めるにあたって、ホームページやチラシ、Web広告を制作する費用がかかります。自分で作業できれば、その分の人件費はかかりませんが、ホームページのサーバー代やチラシの印刷費用、広告運用費などが実費として必要になります。例えば、サーバー代が年間5,000円、ドメイン代が年間2,000円、広告費が月1万円、などです。
名刺作成費
起業したら新しい肩書での名刺も必要です。安い業者では、100枚500円程度から発注可能ですし、無料で名刺を作成できる方法もあるので、費用を抑えたい場合は、それらを利用して安く準備するという方法がおすすめです。
事業所・店舗の賃貸費
あらたに事業所や店舗を構えて起業するなら、不動産の準備費用も必要です。場合によっては、店舗内を改装する費用も必要になるかもしれません。月々の家賃だけでなく、起業当初には保証料や手数料も必要になるので、想定している家賃の半月分ほどを見込んで計画するほうがいいでしょう。
自宅でできる事業であれば、自宅を事業所にするという方法もあります。また、レンタルオフィスやシェアオフィスもあるので、そういったサービスを活用することで費用を抑えることも可能です。
設備費
事業に必要な備品を揃えるのにも費用がかかります。飲食店等でしたら専門機器が必要になりますし、PC一つでできるビジネスで起業するにしても、専用のPCやプリンタ、机、椅子、FAX機器など、周辺機器を新たに準備する必要があることもあります。
通信費
固定電話代やインターネット回線費で、月々5万円程度かかります。法人として起業することで、基本料金も個人の場合の費用より高いケースが想定されます。
専門家費
会社を設立する場合は、税務周りも複雑になるので、顧問税理士を依頼したり、トラブルを防ぐために顧問弁護士をつけるという方もいます。その場合は、月1~2万円程度の専門家顧問費用が発生します。
人件費
自分以外に人を雇って事業を行う場合は、人件費が発生します。株式会社を設立している場合は、社会保険にも入らなくてはならないので、その分の負担も見積もっておきましょう。
起業資金が必要となるタイミング
ここまで起業にかかる費用の目安や種類をご紹介してきましたが、それではこうしたお金はいつ必要となるのでしょうか?
会社の登記申請のとき
株式会社や合同会社といった法人を設立する場合、前述の通り登記の際に費用が必要となります。
また、資本金については後から増資することもできますが、こちらも前述の通り、社会的信用や資金調達のしやすさも考えて100万円程度は会社設立のタイミングで準備しておきたいところです。
まとめ
起業する際には、予想していない部分でお金がかかることが多いです。いざ起業しようと思って準備をしていても、資金が足りずに挫折してしまう・・・ということは避けたいですよね。この記事では、特に費用が必要な会社設立の場合を想定してご紹介したので、この内容を参考に、起業資金を準備してください。
また、自分自身の工夫次第で費用はいくらでも抑えることができます。自宅を事業所にしたり、今ある備品を活用したり、より安いサービスを比較検討したりと、できることは多いはずです。会社設立という方法にこだわらずとも、個人事業主やフリーランスという方法を選ぶことで、設立費用自体をゼロにもできます。株式会社と比べて自由度も高く、税金も安くなる場合が多いので、最初は個人事業主としてスタートし、ある程度の利益が見込めたときに法人化を考えるという方法も大いにありだと思います。
起業で後悔しないよう、お金周りの想定はしっかり行い、準備を進めましょう。