ファクタリングの意味や仕組みを徹底解説

2023年3月15日

近年話題の「ファクタリング」とは、企業が持っている売掛金を買い取って現金化するサービスです。サービスを受ける企業にとっては、手数料を支払う代わりに売掛金をすぐに現金化することが可能で、資金繰りを安定させることが出来ますので、銀行の融資では間に合わない場合や、運転資金の繋ぎが必要な場合等でメリットがあるサービスになります。

しかし一方で、ファクタリング会社には、資金繰りの弱い中小企業の足元を見て10~20%の高い手数料を取るファクタリング提供企業も存在し、ファクタリングサービスを受ける場合は、信用力のあるファクタリング提供企業選びが重要になってきます。

なぜなら、ファクタリング業界には銀行における「銀行法」や貸金業における「貸金業法」の様に、サービスのルールや金利等を定めたルールが無いため、ファクタリング会社の信用力が最も重要になるのです。

ファクタリングの意味と必要性!

ファクタリングの意味や必要性を理解するには、ファクタリング契約がない通常の取引と、ファクタリングを使った取引の例を比べてみるのが一番です。

通常の商取引(ファクタリング契約無し)の例

ファクタリング契約がない通常の取引では、商品やサービスを提供して、その代金を請求するために、取引先企業に請求書や手形を発行します。これが売掛金となりますが、売掛金の支払い(入金)は通常1~2ヵ月後の支払いになることがほとんどであり、企業はすぐに現金を手に入れることができないのです。

極端な話ですが、中小企業の場合、現金がすぐに手に入らないとPL(損益計算書)上は黒字でも、運転資金が手元に無いため、企業はオフィス家賃や社員の給料などの支払いをすることができず、倒産してしまうことが実際にあります(これを黒字倒産と言います)。

金利の安い銀行から資金調達できれば一番良いのですが、中小企業には、なかなか銀行もお金を貸してくれませんし、銀行融資には相当の手間と時間がかかるので、急に資金需要が発生した時に対応ができないのです。

ファクタリング契約をした場合の例

このように、ファクタリング会社とファクタリング契約を結べば、手数料が2~10%取られますが、売掛金をすぐに現金にすることができるため、資金繰りが安定します。資金に余裕がない小規模企業やスタートアップには、喜ばれる仕組みなのです。ファクタリング会社からの入金は、ファクタリング契約締結後、3~10日間程度が目安になります。

また、ファクタリングは資金繰りが不安定な小規模企業だけが利用するサービスではありません。資金にある程度の余裕がある企業もファクタリングを利用します。それには2つの理由があります。

ファクタリングを使う理由①ファクタリング契約による売掛金保証とは?

ファクタリングとは、企業からファクタリング会社への売掛金(債権)の譲渡になります。下記の図をご覧ください。
このように、急に取引先が倒産や不渡りを出しても、事前にファクタリング契約を結んでいれば、取引先の経営状況に関わらず、ファクタリング提供企業から売掛金をすでに入金されているので、リスクが軽減されます。このようなメリットのため、取引先が多い大手企業でも、ファクタリングを利用する企業は多いのです。

なぜなら、ファクタリング提供企業に手数料は数%取られますが、それよりも1社が倒産される被害の方が大きいというケースもあるため、大企業でもファクタリングをリスクヘッジの一環として利用するケースがあるのです。

ファクタリングを使う理由②銀行の「貸し剥がし」が怖いから、資金調達先をなるべく多様化したい!

年商が10億円を超える企業になると、地銀やメガバンクからの融資も受けやすく、銀行側も積極的に資金を融資してくれます。しかし、もしリーマンショックのような不景気に世の中が突入すると、銀行は優良企業に対しても、新規融資を渋ったり、融資額の減額を迫ったり、あるいは返済期限前に、資金の回収を積極的に行います。これを貸し剥がしといいます。

特にリーマンショック時は、様々な企業が銀行による「貸し剥がし」を経験していることから、企業経営者は、銀行だけに頼らずに、資金調達先を多様化することで企業経営を長期的に安定させたいのです。こういった事情から、銀行の融資を受けられる優良企業であっても、ファクタリングは資金調達先の選択肢の一つとして選ばれているのが実情なのです。

また後で説明しますが、ファクタリングは銀行融資と比べて「時間」と「手間」がかかりません。

ファクタリングの手数料は2~10%程度が目安だが、ファクタリング提供企業のホームページの手数料だけでファクタリング提供企業を選ぶ意味がない理由とは?

さて、利便性が高いファクタリングの利用ですが、気になるのが手数料だと思います。

手数料の目安はザックリですが、2%~10%程度になりますが、手数料相場はあってないようなもので、ホームページでは安い手数料を訴求しているファクタリング会社が多いのですが、実はその手数料を参考にしても無意味です。

なぜなら、通常ファクタリング契約には1社1社に審査があり、自社・取引先の規模・業界によって、手数料は変わってくるのが当たり前であり、ホームページで訴求している手数料は実は全く参考になりません。そればかりか、資金に困っている会社の足元を見て、10%~20%超の極めて高い手数料を取るファクタリング事業者もいるのです。

なぜなら、このファクタリング業界には、決まったルールがない業界であり、銀行には銀行法があり、消費者金融には貸金業法で、金利に限度が設けられておりますが、ファクタリング業界にはそういった手数料の限度額を制限する法令はありません。したがって、悪意のあるファクタリング会社が横行しているのが実態なのです。

また、貸金業法の改正により、上限金利が15%(2010年6月18日に施行)に下げられたため、高利の事業者金融などを生業としていた人達が金利で儲けられなくなったため、そういった事業者がファクタリング業界に転身しているのも、この業界の不透明性を助長しています。

ですから、ファクタリング会社選びで、最も重要なのは、ファクタリング提供企業の「信用力」と「財務力」です。そしてファクタリング提供企業の財務力は実は手数料と密接に関係しているのです。

ファクタリング提供企業の財務力が手数料と密接に関係する理由!

なぜ、ファクタリング提供企業の財務力が、手数料と関係するのでしょうか?

そもそもファクタリング提供企業は売掛金を買うための資金をどこから得ているのでしょうか?銀行や上場企業には、もともと資金力が豊富ですが、未上場系ノンバンクのファクタリング提供企業はそうはいきません。

未上場系ノンバンクのファクタリング提供企業も、実はノンバンクから資金を調達していることが多いのです。ノンバンクは銀行と違って金利は高く、年利7%以上となります。そうなるとファクタリング提供企業は儲けを出すために、それより高い手数料で、貸し出す必要があり、このような仕組みで未上場系ノンバンクのファクタリング手数料が高くなるのです。

ですから、ファクタリング提供企業を探すなら、絶対に「会社の規模」「財務力」がより大きい方が良いのです。

ファクタリングが利用されやすいケースの「資金ギャップ」とは?

資金ギャップが発生しやすい業態の会社には、ファクタリングがよく使われます。下記の図をご覧ください。

取引先から入ってくる売掛金の入金は2ヵ月後ですが、作業を行った社員やパートナー会社への支払いは1ヵ月後の場合に、資金ギャップが発生します。このギャップを埋めるために、企業は運転資金の調達をしなくてはなりませんが、銀行はすぐにお金を貸してはくれません。

こういった資金ギャップが発生する場合に、売掛金(債権)を譲渡する形のファクタリングが企業に重宝されるのです。

ファクタリングを他の資金調達方法と比較して理解する!

ファクタリングの資金調達が目的であれば、他の資金調達方法とメリット・デメリットを比較してみましょう。

「増資」による資金調達はカンタンではない!

増資には、公募増資や株主割当、第三者割当増資など様々な形がありますが、カンタンに説明すれば、資金を得る代わりに、企業の株を受け渡す資金調達方法です。増資を受けることができれば、資金を自由に使えますし、返済の義務もありません。

しかし、増資を受ける行為は、出資をしてもらうということですから、出資を受けるには、会社の現状から将来性、ビジョンあるいは経営者の人柄まで見られますから、この方法からの資金調達はカンタンではありません。

「銀行融資」は手間も時間もかかる!

企業が運転資金を得るためにはいろんな方法がありますが、代表的なものは銀行融資です。しかし表を見てもらえれば、わかりますが、銀行の審査を通すためには、厳しい審査があり、様々な書類の提出だけではなく事業計画書の作成を求められ、融資を得るまで一苦労です。さらに担保や保証人が必要な場合が多いのが特徴です。

とにかく、時間と手間がかかるのが特徴なのです。

他の方法と比べても「ファクタリング」による資金調達は手間と時間がからない!

一方でファクタリングの場合は、自社が保有する売掛金をファクタリング提供企業に譲渡する債権譲渡の形のため、審査期間が短く、さらに担保や保証人が不要です。デメリットである手数料は2~10%であり、決して安くはありませんが、急な資金需要や、銀行からお金を借りづらいシチュエーションに力を発揮する資金調達方法なのです。

ファクタリングを利用する!審査の書類にどんなものが必要なのか?

ファクタリング提供企業によって、必要な書類は異なりますが、どの提供企業でもおおよそ必須とされる書類を紹介いたします。基本的に譲渡する売掛金に関する書類が必要となります。

ファクタリング契約に必要な書類

※以下の書類のコピーをファクタリング提供企業に提供します。

①契約書
②発注書、見積書、納品書、検収書等、
③請求書、及び請求書にに対する証票
④銀行通帳
⑤登記簿謄本
⑥印鑑証明書

※③の証票とは、請求書を裏付けるもので、例えば人材派遣会社の請求書ならば、勤務実態があるのか、勤務実態表を見て、請求書が架空のものではない裏をとります。

まとめ

今回はファクタリングの意味や仕組みを解説してきました。
銀行融資ばかりに頼っていた方やこれからファクタリングをしようか検討されている方が、この記事によってよりよい資金調達が行えることを願っております。