ファクタリングは売掛金の満期日を待たず現金化できる
2024年2月3日
ファクタリングは新しい資金調達方法として近年注目されています。その斬新な手法で融資ではない資金調達方法を可能にします。
融資ならばさまざまな規制に縛られますが、ファクタリングは比較的簡便な手続きで資金調達できます。
売掛金の満期日を待たず資金調達するのがファクタリングですが、注意すべきことは何なのでしょうか?
ファクタリングと満期日について今回は解説していきます。
満期日を意識するのはファクタリングを利用する債権者も同じ
満期日に売掛金を支払わなければならないのは、売掛先(上記例ではB社)ですが、ファクタリングを利用した場合、債権者のA社も満期日を意識しなければなりません。
ファクタリングを利用後、本来の満期日に売掛金が債務者から振り込まれます。それを遅滞なく債権者がファクタリング会社に入金しなければならないからです。
ファクタリングの場合、売掛先から売掛金が振り込まれたらすぐファクタリング会社へ振り込む契約になっているはずで、満期日を過ぎての支払いは、遅延金などの対象になってしまうかもしれません。
上の例でいえば、売掛金の満期日が7月31日ならばその日中に債権者は売掛金200万円をファクタリング会社に振り込まなければなりません、売掛金の満期日は非常に忙しくなります。
3社間ファクタリングは満期日を意識しなくても済みそう
3社間ファクタリングの場合、満期日の支払いは、売掛先からファクタリング会社が直接行う契約になっています。
つまり売掛金満期日に回収できなくても、債権者(依頼主)の責任にはなりません。ファクタリング会社が回収できない責任も負うことになります。
売掛金満期日を意識せず、満期日が来ればファクタリング会社と売掛先のやり取りで解決してくれる3社間ファクタリングになります。
手数料も安くメリットが多そうに思えますが、やはり売掛先にファクタリングの事実がバレてしまうのはマイナスになります。
「運転資金がないような自転車操業をしているのか?」
「売上がまったくないのでは?」
「借金の返済に追われているのでは?」
と言ったネガティブな印象を売掛先に持たれてしまいます。あらかじめ、債権者の方から売掛先(債務者)にファクタリングをしたい旨を話して、了解を取っておくと安心できるかもしれません。これまでの債権者と売掛先(債務者)が築き上げた信頼関係が影響するでしょう。本当に頼れる取引先なのかファクタリングの事実を伝えた時にわかるかもしれません。
ともかく、売掛金満期日のさまざまな手続きを省略できるのが、3社間ファクタリングの大きな強みになります。
2社間ファクタリングでは満期日の行動が重要
2社間ファクタリングの契約をしている場合、売掛金の満期日の行動が重要になります。
売掛先から満期日に売掛金の入金がなされた場合、確認し、すぐにファクタリング会社に支払いをしなければなりません。
売掛先からの入金は満期日の早朝にあるかどうかわかりません。満期日の夕方でも債務は履行しているわけで違法ではありませんし契約違反にもなりません。
2社間ファクタリングなので売掛先は、債権者とファクタリング会社がファクタリング契約をしていることを知りません。したがって、債権者の事情に配慮して満期日早朝に支払うということはありません。そもそも知らないのでそういった義務もないのです。
しかし債権者(申込者)は2社間ファクタリングしている以上、満期日には売掛金相当額をファクタリング会社に支払わなければなりません。
ファクタリング会社としては、債権者と債務者の個々の事情については関係なく、2社間ファクタリング契約に基づいて、売掛金満期日に債権者から売掛金相当額を支払ってもらう契約なので、支払われない場合は法的に強く出られます。
もちろん、1日遅れたから即弁護士を立てて訴訟、ということにはなりませんが、遅延損害金や延滞金の条項をファクタリング契約に盛り込んでいる場合、1日の遅れでもその対象になります。
もちろん、ファクタリング会社が大目に見てくれることもありますが、それを最初から期待してはいけません。
2社間ファクタリングをしている以上、売掛先にバレないメリットと引き換えに、売掛金満期日には速やかな行動をしなければならない義務を負います。
2社間ファクタリングのメリットやデメリットで、この内容はあまり触れられないのですが、実は債権者がファクタリング会社から負う債務(義務)として、満期日当日の速やかな支払いがあることを知ってください。
売掛先からの支払い時間によっては、銀行の窓口での振り込みができなくなります。当然、ネットバンキングを使えるようにしておいてください。ネットバンキングであれば、銀行の店舗閉店後も振り込みができ、最新のシステムならば即時入金が反映されます。
満期日の繁忙を考慮して利用するファクタリングを選ぶべき
売掛金満期日の色々を考えると、3社間ファクタリングの方がよさそうですが、ファクタリングがバレることのマイナスはやはりあります。
そこで、ファクタリングを行う時期の繁閑を考慮してはいかがでしょうか?比較的暇な時期ならば、売掛金満期日についても余裕を持って口座の確認ができ、ファクタリング会社への返済も可能なはずです。
一方繁忙期の場合、2社間ファクタリングをしていると、うっかり売掛金満期日にファクタリング会社への返済を忘れてしまう可能性があります。
1回の返済遅延でも、遅延損害金以上にファクタリング会社の信頼を失います。ファクタリングは融資と異なり、信用情報照会や信用情報への記載がないと言っても、ファクタリング会社間で情報共有される可能性があります。もちろん、一度返済遅延を起こしたファクタリング会社と、その次のファクタリング契約はできなくなってしまうかもしれません。少なくとも手数料などは上がってしまうでしょう。
そのようなリスクを考えると、売掛金満期日が
「繁忙期:3社間ファクタリングを利用」
「閑散期:2社間ファクタリングを利用(バレても良いなら3社間ファクタリングもOK)」
こういう基準でいてもいいでしょう。売掛先が納得し、バレても大丈夫な場合、手数料や返済遅延リスクを考えると3社間ファクタリングになります。3社間ファクタリングで問題なければ、全体を通して3社間ファクタリングでもよいでしょう。
手形割引とファクタリングの満期日について
ここまでファクタリングの満期日について述べてきましたが、手形割引もファクタリングと似たシステムになっています。
細かいことはここでは述べませんが、手形割引については手形法でしっかり手続きが厳格に決まっていてそれを守らなければなりません。
また、大きな違いとして満期日(売掛金の支払日)に売掛先が支払えなかった場合の対応が異なります。
手形割引、ファクタリングによって満期日前に現金を得ていたとします。満期日に売掛先から支払いがなかった、あるいは遅れた場合、ファクタリングならばそのリスクは基本的にファクタリング会社に移ります。特に3社間ファクタリングならば、回収できないのはファクタリング会社の自業自得です。
これは償還請求権がないノンリコース契約だからです。
しかし手形割引の場合、手形決済日(満期日)に手形が不渡りになると、割り引いていた銀行は償還請求権を行使して手形を発行した債権者(振出人)へ請求します。
「原則償還請求権がない:ファクタリング」
「償還請求権あり:手形割引」
という大きな違いがあります。満期日に売掛金を回収できない場合のリスクは、手形割引の方が大きくなります。
手形割引の場合、回収不能になった売掛金をみなさんが代わりに弁済しなければなりません。ファクタリングの場合は、償還請求権がないノンリコース契約が確認できれば(現在のファクタリングの多くはノンリコースです)、回収できない場合の金銭的負担はファクタリング会社になります。
満期日に回収できない場合に手形割引とファクタリングでは大きく異なることをぜひ知っておいてください。こうした理由からファクタリングの方がおすすめできます。
まとめ
売掛金の支払い期日、満期日には
「回収できないリスク」
「回収後ファクタリング会社への返済が遅れるリスク」
の2つがあります。これらを考えてなくても良いのが3社間ファクタリングです。取引先(売掛先)としっかりした信頼関係があれば、3社間ファクタリングを第一選択肢にしてもいいでしょう。
2社間ファクタリングは売掛先にバレませんが、しっかり売掛金満期日に即日ファクタリング会社へ支払いすることが必要です。繁忙期は忘れてしまわないようにしましょう。