ファクタリングは融資と何が違うのか、仕組みを徹底解説!
2023年2月8日
資金繰りが悪化したとき、外部の資金調達を考える経営者がほとんどでしょう。
特に、急ぎで資金調達をしたい場合には、銀行融資より「ファクタリング」という方法が向いているケースがあります。
しかし、ファクタリングと一般的な融資との違いって何だろう、と理解できずに利用すると思わぬトラブルに発展するかもしれません。
今回の記事では、ファクタリングがどのような資金調達方法なのか説明したうえで、
ファクタリングと銀行融資の違い
ファクタリングのメリット・デメリット
を説明します。
この記事を読めば、「ファクタリング」について理解できるようになるでしょう。
そもそもファクタリングとは
本章では、ファクタリングがどのような資金調達方法かについて、説明します。
ファクタリングの定義
ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらうことで現金化する資金調達方法です。
ファクタリング利用者は、売掛債権の決済日より前に買い取りを依頼します。
不良債権となった売掛債権を買い取ることができるのは、法務大臣から許可を得たサービサーのみです。
売掛債権の期日より前に買い取るのが「ファクタリング会社」、不良債権となった売掛債権を買い取るのが「サービサー」と覚えましょう。
ファクタリングの種類
ファクタリングの種類は、次のとおりです。
・保証型
・買取型
保証型
保証型のファクタリングは、通常の商取引で売掛債権の回収が不能であると判断された場合に、売掛債権の額が保証されるファクタリングです。
買取型のファクタリングのように、決済期日より前に現金化はできません。
しかし、売掛債権が回収できなくなれば資金繰りが一気に悪化して連鎖倒産などの危険があります。
保障型ファクタリングは、普段の資金繰りは安定しているけれど、万が一の場合に備えたいという企業に向いていると言えるでしょう。
買取型
買取型のファクタリングは、売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらうことで期日より前に資金調達する方法です。
買取型のファクタリングには、さまざまな種類があるので、具体的な種類については次章で説明します。
ファクタリングと融資の違い
ファクタリングと銀行融資の違いについて説明します。
具体的に、以下のような融資と比較します。
・一般的な銀行融資
・ABL
・手形割引
一般的な銀行融資との違い
銀行融資のメリットとしては、比較的低金利で長期間借入ができることです。
しかし、銀行融資は審査が厳しく、申し込みをしてから融資実行までに3週間から1ヶ月かかります。
中小企業の場合、プロパー融資が難しいと判断されれば信用保証協会の保証を付けることになるので、さらに審査に時間がかかるでしょう。
ファクタリングは、最短即日で審査結果が出て、売掛債権の現金化ができるのでスピード感が違います。
ただし、ファクタリングの手数料は、銀行融資に比べると割高になるのが一般的です。
貸借対照表上で見ると、ファクタリングを利用しても、負債は増えません。
これをオフバランス化といい、貸借対照表をスリムに見せられるのも特徴です。
有利子負債が多いと、銀行からの融資が受けられなくなってしまう可能性があるので、万が一に備えて、銀行からの融資枠を確保したいという場合にも向いています。
ABLとの違い
ABLは、売掛債権を担保に銀行が融資する方法です。
ファクタリングは、主に売掛先の信用力でファクタリングの可否を決めます。
一方、ABLは売掛金の保有者の信用力で、融資の可否や金利が決まります。
銀行融資の1つであるABLの方がハードルは高くなりますが、金利は安い傾向です。
手形割引との違い
手形割引は、受取手形を銀行などに割り引いてもらうことで、決済期日より前に現金化できる融資方法です。
手形割引が受取手形に限定されるのに対して、ファクタリングは売掛債権全般なので、幅広く利用できます。
割引手形が不渡りになった場合には、裏書人に遡及されるケースもあります。
しかし、ファクタリングは、売掛先が倒産してファクタリング会社が売掛金を回収できなかったとしても、補填する必要がない契約がほとんどです。
ファクタリングを利用するメリット
ファクタリングを利用するメリットは、以下のとおりです。
・銀行融資よりスピーディーに資金調達ができる
・オフバランス化できる
・赤字でも資金調達可能
・2社間ファクタリングなら取引先に知らせる必要がない
・未回収リスクを減らせる
銀行融資よりスピーディーに資金調達ができる
ファクタリングの一番の魅力は、銀行融資よりスピーディーに資金調達ができるところです。
ファクタリングは、最短即日〜1週間ほどで資金調達できる会社が、ほとんどです。
一方、新規で銀行融資を申し込む場合には、資金調達までに3週間〜1ヶ月かかります。
1日でも早く資金調達したい場合には、ファクタリングが有効です。
オフバランス化できる
融資の場合、貸借対照表上に負債が増えることになるので、見栄えが悪くなります。
一方、ファクタリングの場合は、負債は増えず、オフバランス化が可能です。
金融機関は負債が多すぎると融資をしてくれなくなるので、万が一に備えてファクタリングの利用を勧める場合、または、金融からの融資枠を確保したい場合にも、ファクタリングは有効です。
赤字でも資金調達可能
銀行融資の場合、営業利益ベースで赤字が続くと、新規での借り入れができなくなります。
一方、ファクタリングの審査は銀行融資に比べると通りやすく、赤字でも資金調達できることもあるのです。
事業の将来性が認められればという条件が付きますが、赤字であるために、銀行融資を断られた場合には相談してみてもいいでしょう。
2社間ファクタリングなら取引先に知らせる必要がない
ファクタリングは、売掛債権を売却することで現金を手にすることができます。
しかし、2社間ファクタリングを利用する場合は、売掛先にファクタリングを利用する旨を伝える必要がありません。
売掛先に、説明や許可を得る手間を省くことができます。
未回収リスクを減らせる
多くのファクタリングは、売掛債権を回収できなくなった際に、ファクタリング利用者がその損失を補填する必要がありません。
ファクタリングを活用すれば、確実に回収でき、未回収リスクを減らせるというメリットもあります。
ファクタリングを利用するデメリット
ファクタリングを利用するデメリットは、以下のとおりです。
・手数料が高い
・計画的に利用する必要がある
・取引先に知られると取引を渋られるリスクがある
手数料が高い
ファクタリングを利用する一番のデメリットは、手数料が高いことです。
ファクタリングは、貸金業ではないので、貸金業法による利息の上限を守る必要がありません。
なかには、悪質なファクタリング会社も存在し、常識の範囲を超えた手数料を徴収しようとするところもあるので注意しましょう。
計画的に利用する必要がある
ファクタリングは、売掛債権の期日より前に現金化できるので、一時的に資金繰りを改善できます。
しかし、ファクタリング利用時に根本的な資金繰りを改善しなければ、ファクタリングを継続的に利用しないと経営できない状態になるでしょう。
手数料もかさみますので、計画的に利用するように調整が必要です。
取引先に知られると取引を渋られるリスクがある
ファクタリングを利用している事実を取引先に知られると、「業績に不安があるのかもしれない」などと、取引を渋られる原因にもなり得ます。
2社間ファクタリングの場合でも、債権譲渡登記を行う場合には、誰からでも譲渡した事実が確認される状態になるので、売掛先に知られる可能性が出てきます。
まとめ
ファクタリングと融資の比較をもとにファクタリングのメリットデメリットを解説してきました。
自己資本や現金比率が低い中小企業にとって、スピーディーに資金調達ができる「ファクタリング」は、非常に便利です。
貸借対照表上に負債も計上されず、スリムで見栄えの良い決算書にもなります。
しかし、ファクタリングは銀行融資に比べると手数料水準が高く、計画的に利用しなければ資金繰りの根本的な解決には繋がりません。
緊急時や一時的なつなぎ資金として役立てることをおすすめします。