債権譲渡の対抗要件とは?第三者に権利を主張するための条件
2025年4月9日
債権譲渡は、企業が売掛金などの債権を第三者に譲渡する取引ですが、譲渡した債権を確実に主張するためには「対抗要件」を満たす必要があります。対抗要件を備えていないと、債務者や第三者に対して債権譲渡の効力を主張できない場合があります。本記事では、債権譲渡の対抗要件の仕組みや、具備する方法について解説します。
債権譲渡の対抗要件とは?
対抗要件とは、債権譲渡を第三者に対して有効に主張するために必要な要件のことです。債権譲渡は譲渡人と譲受人の間で成立しますが、債務者やその他の第三者に対して譲渡の事実を証明するためには、一定の手続きを行う必要があります。
債権譲渡の対抗要件を具備する方法
債権譲渡の対抗要件を具備する方法は、民法第467条および動産・債権譲渡特例法に基づき、以下の方法が認められています。
1. 債務者対抗要件
債務者に対して債権譲渡を主張するためには、以下のいずれかの方法を取る必要があります。
・譲渡人が債務者に通知する
・債務者が譲渡を承諾する
・債権譲渡登記を行い、登記事項証明書を債務者に交付する(法人が譲渡人の場合のみ)
2. 第三者対抗要件
債権譲渡を第三者に対して有効に主張するためには、以下のいずれかの方法を取る必要があります。
・譲渡人が債務者に確定日付のある証書で通知する
・債務者が確定日付のある証書で承諾する
・債権譲渡登記を行う(法人が譲渡人の場合のみ)
サイレント方式による債権譲渡
企業間取引では、債務者に知られずに債権譲渡を行いたいケースがあります。この場合、債権譲渡登記を行うことで第三者対抗要件を満たしつつ、債務者への通知を保留することが可能です。この方法は「サイレント方式」と呼ばれ、企業間取引でよく用いられます。
まとめ
債権譲渡を確実に主張するためには、対抗要件を具備することが重要です。債務者対抗要件と第三者対抗要件を適切に満たすことで、債権譲渡の効力を確保できます。特に法人が譲渡人となる場合は、債権譲渡登記を活用することで、債務者に通知せずに対抗要件を備えることも可能です。