ファクタリングは100%合法!法律による根拠も解説
2023年9月26日
入金前の売上(売掛金)をファクタリング業者に譲渡して現金化する「ファクタリング」という制度ですが、これ自体は法律上、違法ではありません。
しかし、「合法的な金貸し」「違法な金貸し」が存在するのと同じように、「ファクタリングの業者」の中には、法律を無視して違法な営業を行う業者も存在します。
本記事では、
完全に違法な、使うべきではない業者や違法ではないものの不利な条件であり、近づかないほうが良い業者などを見分けるポイントや解説を行うとともに、ファクタリングが違法でない理由を解説していきます。
ファクタリングは違法ではない!ファクタリングの法的根拠
本項目では、法令上、「ファクタリングは違法ではない」とされる根拠とその解説を行います。
ファクタリング業者には「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」という2つの業者区別があり、どちらのファクタリングなのかによって、準拠法が変わります。
結論から先にいいますと、「3社間ファクタリングで、売掛債権を売却する形ではなく貸し付ける形式であり、かつ手数料が15.0%以上のところは違法」ですので、ご注意ください。
それではまず、それぞれの手法の「ファクタリングは違法ではない」という「準拠法律」から解説していきます!
ファクタリングには2種類あり、それぞれ「2社間ファクタリング」「3社間ファクタリング」というものが存在します。
おなじ「ファクタリング」という名称でも、これらは準拠法や手法は全く別物と言ってしまってもよいほど、注視すべき点や参照するべき法律は変わってきます。
両方の手法に共通しての内容を簡単に触れますと、「怪しい業者」の特徴としては大きく分けて4つあり、それぞれ
・担当者の対応がおかしい
・継続的に取引をしようとしてくる
・手数料が法外な金額
・契約書類が不透明
などがあげられます。
手数料以外は、後述する「3社間ファクタリングの貸付形式」で、かつ「高い」場合以外、直ちに「違法な業者である」とは言えません。
一方で、相場から外れていることは確かですので、「できれば近づかないほうが良い」ということに変わりはありません。
またなかには、「違法ではないものの、不利な契約により、資産を奪い取ろうとする」という悪徳業者も存在します。
本項目ではファクタリングが違法ではないという法的根拠について、解説していきます。
正しい知識を身に着け、「ファクタリングを装った違法業者」を利用してしまわないようにしましょう。
2社間ファクタリング
【第555条:売買契約】
民法第555条「売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」(出典:六法全書)
という記載があります。
2社間、つまり「依頼人」と「ファクタリング業者」で行う場合は、「依頼人が持っている売掛を、ファクタリング業者に、第555を準拠として割安で売る」というのが、ファクタリングの流れ・仕組みです。
これは法令上適法ですし、「持っているものをいくらで売るのか」に対しては、完全に「個々の自由」です。
分かりやすい例として、お互いが納得しているなら、1億円の価値があるものを1円で売買しても、違法にはなりませんよね?
これと同じ理屈が該当します。
具体的にファクタリングを行う際の実例で上げますと、
2カ月後に100万円が入ってくるという「売掛債権」を、2カ月後ではなく即現金が欲しい「依頼人」が80万円で売る。それを「ファクタリング業者」が買い取り2カ月後に100万円受け取ることで「利益」を確保する
という流れになります。
そのため、2社間の場合、こういった形であれば、利息制限法である年利15.0%を超える手数料を徴収している業者であったとしても、違法であるということにはなりません。
ただし、何事にも「手数料の相場」というものがありますので、ここから大きく外れる場合、違法な業者ではないものの「不利な業者」なので、近づかないほうが良い案件となります。
取引先や「売掛債権の種類」、つまり売掛債権の支払いを行う、「依頼人の取引先企業」が大手なのかどうなのか、といった「属性」にもよりますが、2019年現在、2社間の場合は15.0%から20.0%程度の手数料を徴収している業者が多いです。
また後述する「担保や保証人を求める業者」や、「同じ売掛債権に対し、追加融資を行おうとする業者」などに関しては、「違法ではないものの、怪しい業者である可能性がある」ので注意が必要となります。
3社間ファクタリング
【第587条:消費貸借】
3社間、つまり「依頼人」と「ファクタリング業者」に加えて、「売掛元(依頼人に、本来お金を払う業者)」を加えた手法となり、準拠法も多少異なります。
「売掛金の売買契約」で3社間ファクタリングを行う場合は2社間と準拠法は変わりませんが、「債権の売却ではなく、担保として貸付を行うタイプのファクタリング」であれば、利息制限法が準拠となります。
こちらは「ファクタリング」という名称になっていますが、実際には融資と同じように「売掛債権を担保とした、金銭消費貸借契約」となります。
そのため準拠法も貸金業およびそれに関連する法令を準拠することになります。
民法第587条「消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。」(出典:六法全書)
という記載があります。
これが何なのかといいますと、
「売掛債権を買い取るのではなく、担保にして、貸したお金が返せなかった場合、債権の権利をファクタリング業者がもらいますよ」という契約内容に同意した、という準拠法になります。
2社間ファクタリングの例で出した方は、「売掛債務の現金受け取り権利を買い取る」という形でしたが、3社の場合「売掛債務を担保に、お金を貸す」という形になります。
これも具体例でいいますと、3社間ファクタリングによる貸付形式の場合
「依頼人」と「ファクタリング業者」の間で金銭貸借契約を結び、「融資」します。その担保として「売掛債券」を提供し、「売掛元」に、「これは担保にしたから、万が一何かあった場合、こっちにお金を振り込んでね」という契約をまきます。
2社間に比べ手間がかかる反面、依頼人にすれば手数料が安い、ファクタリング業者からすれば「買い取り」ではなく「担保」なので、回収の確率が上がる、というメリットがあります。
ただし、この手法の場合、「売掛元」に「依頼人は、ファクタリングしないといけないほどぎりぎりだ」ということが知られてしまうほか、契約上手間もかかるというデメリットもあります。
そのため、大抵の場合、急いでいれば2社間ファクタリングを利用することになります。
少し話はそれましたが、この「貸す」という部分が、合法的な業者なのか、違法業者なのかの分かれ道になりますので、注視してください。
ファクタリング業者が法律違反で逮捕された事例
違法なファクタリング業者としては、大まかに以下の2パターンに分けられます。
2社間ファクタリングを装っているが、「買い取り」ではなく「貸付」をしている
買取における手数料20.0%というのは、2019年現在、利息制限法においては違法です。
100万円を超えるものの場合、年利15.0%が上限となっています。
あくまで「債権をディスカウント価格で買い取る」からこそこの手数料が許されるのであって、債権を買い取りせず「貸付」を行っていた場合、違法行為となります。
2社間ファクタリングの業者に依頼する際は、締結する契約書が「債権買取」になっているのか、きちんと確認しましょう!
もしこれが買い取りではなく「貸付」になっていた場合、闇金である可能性があります。
ファクタリング契約の契約書を確認して 「買い取り」ではなく「貸付」になっている場合
同じ「売掛債権」に対し追加で融資を行う案件の場合、売掛債権をファクタリング業者に「売却」してしまっているので、同じ売掛債権で取引を複数回行うことは、契約形式上不可能なはずです。
また「売掛債権」以外に担保・個人保証を要求されるような内容の場合、注意が必要です。
ファクタリングの形式上、同じ債権に対し「買い取り」ではなく「追加融資」などの形で貸付を提案してくるような業者である場合、これは「貸付業者」ですので「違法」です。
2社間ファクタリングの業者からそのような提案を持ち込まれた場合、「完全にアウト」ですので、その時点で取引をやめましょう。
契約書上、「売掛債権の買い取り」であった場合
同じ売掛債権で「2回以上の取引」を持ちかけられた場合、実質的に合法な「買い取りによる資金調達(ファクタリング)」は1回目のみで、それ以降は高金利な融資、もしくは闇金になりますので、ご注意ください。
「売掛債権」以外に担保や個人保証を要求される場合
そして最後に、「売掛債権」以外に担保や個人保証を要求された場合。
これ自体は「違法」ではありませんが、そもそも「売掛債権の売却」であるにもかかわらず担保や保証を要求されるのは、不自然な取引です。
いわば、車を売却するのに、「(買主が)現金化するの前提だけど、うまく売れなければその分個人的に売り手が補てんしてください」と言われているのと同じ取引になります。
これは著しく不利な取引になりますので、完全に違法とは言い切れないものの、そういった業者は使わないほうがいいでしょう。
3社間ファクタリングで「貸金業」登録をしていない、もしくは違法な利息金利を取っている
2社間ファクタリングとは違い、3社間ファクタリングはあくまで「売掛債権を担保に貸付を行う業者」です。
そのため、貸付を「業として」行うということで、「貸金業」への登録が必須となります。
これを行わず、継続的にファクタリング事業を行っていた場合、それは違法な業者となります。
また、上記で提示した業者も、貸金業として業務を行う以上、利息制限法(年利15.0%)を守る費用があります。
これを守っていなかったため、摘発されたという事情もあります。
これらより、3社間ファクタリングで、100万円以上の貸し付けの場合手数料を「15.0%以上取るところ」は「違法業者である」とお考えください。
ちなみに補足として、「100万円未満の貸付」であれば、年利18.0%まで利息を取ることが許されます。こちらの数字も合わせてご確認ください。
また悪徳業者の中には、利息相当の「ファクタリング手数料」は15.0%で適切であるものの、ほかに事務手数料や書類量、消費税相当分などと銘打ち、これ以上の「手数料」を徴収しようとする業者も存在します。
これに該当する場合、「ヤミ金」であると判断されます。
もしこういった点に該当する業者であった場合、利用をやめることをお勧めします。
また、2社間ファクタリングのケースと同様、3社間ファクタリングもあくまで「売掛債権を担保とする融資」であり、ほかの担保や個人保証が求められることは、稀です。
即座に違法とはいえないものの、これらを求められた場合、「利用者にとって不利な業者である」ということになりますので、利用は避けた方がベターです。
違法・もしくは怪しいファクタリング業者の特徴
これが該当すれば確実に違法である、というわけではありませんが「怪しい」もしくは「不利な」業者の特徴を記載します。
契約書類が不透明
基本的に、ファクタリングは「債券売買」もしくは「債権を担保にした貸付」です。
そのため、契約書や見積(手数料の根拠)、必要書類(売掛債権が発生する請求書など)の提出がキッチリ求められず、なぁなぁで進むということはほぼありえません。
こういったものが出そろわない業者は、注意が必要かもしれません。
こういった契約は法律上、口約束でも成立します。
しかしながら、書面に残していなかった場合、お互い「言った」「言わない」といったトラブルが発生します。
もちろん請求内容が違法なものであればトラブルが発生したとしても、警察が助けてくれます。
しかし、双方同意の契約の上で書類を締結し、相手の要求が過剰ではあるものの「違法とはいえないもの」であった場合、民事不介入ということで警察は動きません。
そうなると、不利なことになりかねませんので、契約書などはしっかりと準備するようにしましょう。
ちなみに、契約書がない、もしくは不透明な場合のトラブルは、売掛契約をしたものの、振り込まれた金額が「少なかった場合」などで発生しやすいので、あわせてご確認ください。
手数料が法外な金額
3社間ファクタリングで手数料が15.0%を超えるところは違法、2社間でも10.0%~20.0%でない業者は、怪しいとお考えください。
ただし2社間の場合、これはあくまで「法外」、つまり「相場より高い」というだけであり、直ちに違法であるというわけではありませんので、そちらはご留意ください。
3社間ファクタリングの場合、契約形式や手法が2社間に比べ煩雑になるため、「手間」がかかります。
その一方で、「売掛債権」を「担保」として貸し付ける、という形式になるため、2社間ファクタリングに比べ、回収できなくなるリスクは少なくなります。
そのため、3社間の場合、2社間ファクタリングよりお金を振り込まれるまで時間がかかることはありますが、「5.0%~10.0%」が相場という安い手数料で資金調達が可能となります。
また、2社間・3社間ファクタリングともに、上記以外の「通常手数料」を課してくる業者は注意が必要です。
3社間ファクタリングの場合、「事務手数料」などの名目で手数料が加算されていた場合、利息制限法の範囲外となり、「ヤミ金」である場合があります。
2社間ファクタリングの場合、法令上は違法ではありませんが、「不利な取引」であることには違いないので、注意しましょう。
継続的に取引しようとしてくる
同じ売掛債権に対し、追加融資を行うのは「違法」です。
繰り返しになりますが、ファクタリングは2社間であれば「売掛債権の売却」です。
同じ売掛債権で取引を行うのは不可能ですし、3社間ファクタリングの場合も担保である「売掛債権」の回収が終わった後に貸付をおこなうのでは、それは単なる金銭貸借契約による「貸付」で、ファクタリングではなくノンバンクの借金です。
また継続的な取引という意味では、後から追加料金を請求してくるようなケースの場合も怪しいと言わざるをえません。
こういったケースの場合、手数料の名目や金額によってはファクタリングに偽装した闇金である可能性があるので注意が必要です。
このケースに該当する場合、警察や弁護士に相談することを視野に入れましょう。
全項目にてご紹介したように、さらにこれに合わさって「担保」を要求された場合、ほぼ「黒」です。
乗っ取りを目的とした、違法な業者である可能性があります。こういった「後付・継続的な要求が発生する業者」の利用は控えましょう。
ただし、明らかに違法な取引を求められた場合ならともかく、貸金業法などの範囲内で「年利15.0%」内に抑えたうえでこういった営業をかけられてしまった場合、「適法」であるとして、警察も法律も助けてくれません。
利用者の側で気を付けるしかありませんので、取引策の選択は最重要です。
担当者の対応がおかしい
上記と関係して、面談なしでとりあえず貸し付けようとしてくる、などの場合注意も必要です。
またファクタリングの形式上、取引は「売掛債権」だけで完結しているはずなので、「保証人」や「担保」を別途求められる場合もご注意ください。
初回の貸付ならともかく、「売掛債権が存在しないのに15.0%以上の手数料で貸付を行おうとすることは違法行為」です。
また、ファクタリングの利用者というのは形式上、「現金が不足」している業者であるケースが多いです。
そのため、「担保を設定させて、それを奪い取る前提で、継続的な営業をかけてくる業者」というのも存在します。
くれぐれもご注意ください。
「すぐに資金調達できる」というのがファクタリング業者の強みですが、初回の取引では、さまざまな書類提出だけでなく、面談などが求められることもあります。
そのため数回目ならともかく、初回からこういった確認がない場合、くれぐれもご用心ください。
まとめ
ファクタリングという制度自体は法律上、違法ではありません。
しかし「貸金業」という合法な業種の中にも「闇金」という違法業者が潜むように、ファクタリングの中にも違法もしくは怪しい業者は存在します。
また、合法ではあるものの、担保や保証人をとり、「合法的に資産を奪い取ろう」としてくる悪徳業者も存在します。
しかし、本記事に記載した注意点をチェックリストにし、一つ一つ調べれば、不利な取引を回避することができます。
ファクタリングを利用する場合「急いで資金が必要だ!」という急いでいるケースがほとんどですので現実には難しいかもしれませんが、2回目以降の取引を行う場合や、振り込み取引を急がないようであれば、しっかりと調べるようにしましょう。
皆様も本記事の注意点を加味したうえで、良い業者と取り引きを行ってください。