一括ファクタリングとは?メリットについて詳しく解説!

2025年1月10日

一括ファクタリングには、支払企業や納入企業など、さまざまなメリットがあります。
「一括ファクタリング」とは、従来まで支払企業(売掛先)が使っていた「手形」による支払いではなく、「売掛債権」に対してファクタリングを利用したシステムです。

売掛債権を金融機関が一括で買い取り、債権者である納入企業(利用者)へ代金を振り込む一括ファクタリングを活用することで、決済の合理化を図れます。

仕組みは債務者である売掛先と債権者である利用者、そして金融機関の3社でやり取りを行う「3社間ファクタリング」と似ています。

ただし目的や用途は違うため、もし利用するのなら一括ファクタリングの仕組みや主旨も把握しておく必要があります。

一括ファクタリングとは

「一括ファクタリング」とは、保有する売掛債権を現金化する「ファクタリング」を、支払企業(売掛先)・納入企業(利用者)・ファクタリング会社(金融機関)の3社で一括により行うファクタリングです。

売掛債権の現金化は一般的なファクタリングと同じですが、一括ファクタリングの場合、納入企業(利用者)に対する支払手段として利用されます。

また、一般的なファクタリングの場合は売掛債権を保有する利用者が利用を決めますが、一括ファクタリングは売掛先が利用を決めることも違いです。

そもそも一括ファクタリングは手形割引に代わる手段として利用されている仕組みであり、手形を使わず決済をするための手段として使われています。

一括ファクタリングの流れ

「一括ファクタリング」を利用する場合、支払企業(売掛先)とファクタリング会社(金融機関)がシステム登録・契約しておくことが必要です。

ファクタリング会社は支払企業(売掛先)から申し込みを受け付けた後で審査を行い、信用部分に問題なければ契約を結びます。

支払企業(売掛先)とファクタリング会社の契約が成立した後、納入企業(利用者)がファクタリング会社へ売掛債権の譲渡を行います。

所定の売買手数料を支払うことにより、売掛債権は現金化され、納入企業(利用者)に支払われます。

その後、支払企業(売掛先)は売掛債権の支払期日に、ファクタリング会社へ代金を支払うという流れです。

一括ファクタリングの流れをまとめると、以下のようになります。

支払企業(売掛先)とファクタリング会社で一括ファクタリング契約を締結・債権譲渡承諾

納入企業(利用者)が売掛債権をファクタリング会社に譲渡

ファクタリング会社が納入企業(利用者)に対し売掛債権買取代金を支払う

売掛金の支払期日に支払企業(売掛先)がファクタリング会社に代金を支払う

ファクタリング会社によっては、買取代金の支払いの際に、先に売掛債権の一部を支払って売掛金入金後に残りが支払われるという場合もあるようです。

一括ファクタリングのメリット

一括ファクタリングの仕組みができたのは、売掛先の手形発行による負担を軽減するためといえます。

しかし支払企業(売掛先)にはメリットがあっても、納入企業(利用者)にとっては何のメリットもないと感じるかもしれませんが、決してそうではありません。

スピーディーな資金調達が可能

納入企業(利用者)側にとって一括ファクタリングがメリットになる理由として、売掛債権の現金化による資金調達が可能となり、資金繰りを安定させることができることが挙げられます。

たとえ利益が出ていて黒字だとしても、必要なときにお金がなければ「黒字倒産」する可能性も否定できません。

商品やサービスを販売・納入してから、その代金を受け取るまでの期間は、できるだけ短いほうが資金繰りは安定します。

仮に手形で決済されてしまうと、支払期日は120日以内で設定されます。

国も60日内に短縮することを強く求めていますが、長期で設定された手形では現金を受け取るまで時間がかかってしまいます。

手形が現金化されるまでに資金繰りが悪化してしまうことも少なくないといえますが、一括ファクタリングを活用することで代金の支払いを待たずに手元の資金を増やせます。

手形管理の負担を軽減できる

納入企業(利用者)側の一括ファクタリングのメリットとして、手形管理の負担を軽減できることが挙げられます。

手形で支払いを受けた場合、決済までは手形を適切に管理することが必要となり、紛失など防ぐことが必要です。

さらに手形の現金化において、金融機関まで出向き手形の支払いを呈示することも必要ですが、呈示期間は支払期日を含め3営業日以内という決まりもあります。

手形を持ち込めばすぐ現金化されるわけではなく、金融機関が支払企業(売掛先)の当座預金口座に引き落とせる資金があるか確認する手続も必要です。

しかし一括ファクタリングを活用することにより、これらの流れが不要となるため、納入企業(利用者)は手形管理や処理に手間や時間をかけず他の業務に集中することができます。

決算書のオフバランス化が可能

納入企業(利用者)側の一括ファクタリングのメリットとして、決算書のオフバランス化(財務内容改善)が可能という点もあります。

銀行から融資を受けると貸借対照表の負債を増やしてしまいますが、一括ファクタリングは銀行融資とは異なり、売掛金の現金化であり借金を増やしません。

そのため、決算書のオフバランス化が可能です。

未回収リスクを回避できる

一括ファクタリングで売掛金をファクタリング会社に譲渡することにより、万一支払企業(売掛先)から支払いがされない時の未回収リスクを回避できます。

一括ファクタリングには原則償還請求権がありません(ノンリコース)。

仮に一括ファクタリング利用後、支払企業(売掛先)が倒産しても、その責任を納入企業(利用者)が負うことはありません。

まとめ

今回は、ファクタリングの一種である「一括ファクタリング」について解説しました。

「一括ファクタリング」は、従来まで「手形」を使って行われていた支払いをせず、「売掛債権」を使って決済を合理化するための仕組みです。

金融機関に売掛債権を一括で買い取ってもらうことにより、納入企業(利用者)へ代金が振り込まれるサービスであり、手形による支払いの代用として利用されることが多い方法といえます。

支払企業(売掛先)・納入企業(利用者)・ファクタリング会社(金融機関)の3社が一括で実施するため、一般的な「3社間ファクタリング」の仕組みと同じですが、目的や用途は異なります。

そのため納入企業(利用者)側だけが売掛債権を現金化させたいと考えていても、支払企業(売掛先)とファクタリング会社(金融機関)が契約を結んでいなければ利用できないことがデメリットです。

もしも支払企業(売掛先)の承諾を得ることができないときや、一括ファクタリングの手続を待つよりも先に現金が欲しいという場合は、一般的な「買取型」のファクタリングを利用したほうがよいでしょう。