ファクタリングが銀行融資に影響を与えている理由を解説
2024年11月27日
ファクタリングは、企業が保有している売掛債権を、入金されるよりも前にファクターと呼ばれるファクタリング専門の業者に売却し、現金化させることで資金を調達する方法のことです。
しかもファクタリングは、銀行融資などの審査に通らない方も資金調達に利用できるなど、審査が厳しくないことが特徴といえます。
そこで、ファクタリングとはどのような資金調達方法なのか、その特徴や利用することのメリットなどをご説明します。
ファクタリングは銀行融資の審査に通らなくても理由可能!その理由とは
ファクタリングは、企業が保有している売掛債権を、入金されるよりも前にファクターと呼ばれるファクタリング専門の業者に売却し、現金化させることで資金を調達する方法のことです。
しかもファクタリングは、銀行融資などの審査に通らない方も資金調達に利用できるなど、審査が厳しくないことが特徴といえます。
そこで、ファクタリングとはどのような資金調達方法なのか、その特徴や利用することのメリットなどをご説明します。
ファクタリングで資金調達するメリット
売掛債権とは商品やサービスを販売や提供したけれど、その代金は後払いという掛け取引で発生する請求権のことをいいます。
掛け取引で発生する売掛債権は、商品などの販売から入金されるまで1か月や2か月、長ければ半年や1年というタイムラグが発生することになるので、その間の様々な支払いに充てる資金が不足してしまう可能性も否定できません。
このような場合、ファクタリングで保有する売掛債権を前倒しで受け取ることが可能となれば、不足する支払い代金に充てることもでき資金繰りも改善しやすくなります。
しかもファクタリングは中小企業が利用しやすい
ファクタリングは銀行融資などと異なり審査が甘いことが特徴ですが、その理由は審査で重視される項目が借り入れの審査と異なることにあります。
銀行融資の場合、審査で重視するのは申し込みを行った利用者の信用力です。決算書は赤字ではないか、債務は超過していないか、現在や過去の借り入れ・返済履歴、事業計画の内容や将来性、収益性は見込めるかなど、様々な部分を調査・確認していくことになるので、審査の内容も厳しく時間もかかります。
しかしファクタリングの場合、審査で重視するのは利用者ではなく売却する売掛債権が確実に回収できるかという部分です。
そのため売掛先企業の信用力が高ければ、利用者が赤字だったり債務超過や税金滞納という状況であっても、利用できる可能性は高いといえます。
銀行融資やビジネスローンなどの審査に通らず、資金を調達する方法に悩んでいる場合、ファクタリングなら簡単に資金を確保できるかもしれません。
最短即日現金化が可能な場合も
ファクタリング専門業者にもよりますが、最短で即日現金化が可能になるのもファクタリングの特徴です。
銀行融資は時間がかかるので、資金を調達するまで待てないという場合でも、必要書類を揃えていれば即日現金を調達できるので、急いで資金が必要という場面にも対応可能となります。
売掛先企業が倒産しても返済義務は発生しない
ファクタリングはノンリコース契約が一般的ですが、ノンリコースということは償還請求権がない取引であることを意味します。
償還請求権のある契約の場合、ファクタリングを利用して売掛債権を売却した後、売掛先企業が倒産してしまい売掛債権の回収ができなくなった場合には、その費用を利用者に返還するよう求めることができる権利です。
償還請求権がある契約でファクタリングを利用してしまうと、もし売掛先企業が倒産してしまったら…というリスクや不安を抱えた状態で売掛債権を現金化させ資金調達することになってしまいます。
しかし一般的なファクタリングはノンリコース契約という償還請求権のない契約ですので、売掛先企業が倒産してファクタリング専門業者が売掛債権を回収できなくなっても、貸し倒れリスクはファクタリング専門業者が背負った状態になるので安心です。
利用しても銀行融資の審査で不利にならない
銀行やノンバンクから借り入れを行った場合、信用情報機関にその内容や情報が登録され、金融同士がその情報を共有します。
申し込みを行った事実や、いくら借り入れを行ったのか、返済は滞りなく行われているのかなど登録されますが、銀行融資の審査でもこの情報は確認されることとなります。
ただ、ファクタリングの申し込みや利用した内容は、信用情報機関に登録されることがありません。
そのためファクタリングを利用したことが銀行融資の審査で不利になるといったことはないので安心です。
さらにファクタリングは融資を受けるわけではないので、決算書上の負債を増やすこともなく、売掛金が現金に変わるだけなので貸借対照表を汚すことはありません。
ファクタリングで資金調達するデメリットもある?
ただしファクタリングで資金調達した場合、ファクタリング専門業者に対して支払う手数料が発生します。
ファクタリング専門業者に売掛債権を買い取ってもらい、支払われる買取代金はその手数料が差し引かれた金額です。
発生する手数料は、売却する売掛債権の金額や種類、売掛先企業の信用力、売掛債権を回収できるまでの期間など様々な項目により決まります。
手数料の高さはファクタリング専門業者が抱える貸し倒れリスクの高さに比例することになるので、信用力が高い売掛先企業の売掛債権が売却の対象なら低く設定されるでしょうし、倒産してしまう可能性が高い売掛先企業の債権なら高めに設定されたり、場合によっては買い取りできないと判断されることもあるかもしれません。
ファクタリング専門業者は貸金業者ではない
ファクタリング業界はまだ法律での規制や整備がされていないため、設定される手数料の割合などはファクタリング専門業者次第です。
また、法整備が行き届いていないことをいいことに、悪徳業者などが横行しやすい環境となっていることも注意が必要といえます。
ノンバンクなど貸金業者であれば、貸金業登録を行い、貸金業法に従った事業の運営がされているはずです。
設定される金利も利息制限法で規制された範囲でおさまるはずですが、ファクタリングの場合、登録制度も手数料の上限も設けられていないので、法外な手数料を設定されても初めて利用する方は気がつかないこともあるようです。
また、資金を借り入れで調達しようとするなら、貸金業者として登録されている業者か金融庁の公式サイトなどで確認することができますが、ファクタリングの場合は確認する方法がないので、悪徳業者やファクタリング専門業者を装うヤミ金業者なのか判断しにくいことがデメリットといえます。
そのため、悪徳業者などを利用してしまわないように、ファクタリングを利用するときには手数料の相場を知り、複数の業者から相見積もりを取得するなどして比較してみることが必要です。
ファクタリングの手数料相場は、2社間ファクタリングが10~30%、3社間ファクタリングは1~5%程度となっています。
ファクタリングの種類により手数料が異なる理由
ファクタリングには2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがありますが、2社間は利用者とファクタリング専門業者、3社間はそこに売掛先企業が加わって契約を結びます。
3社間ファクタリングでは、売掛先企業に対して売掛債権を売却する事実を通知し、承諾を得て取引を行います。
売掛債権の回収期日には、売掛先企業からファクタリング専門業者に直接入金されることになるので、ファクタリング専門業者も安心して取引ができることから手数料は低めに設定されます。
これに対し、2社間ファクタリングは売掛先企業には債権譲渡の事実は伝えません。売掛債権の回収も、ファクタリング専門業者に直接売掛先企業から入金してもらうことはできませんので、利用者がファクタリング専門業者に代行して行うことになります。
そうなると、回収した売掛債権を利用者が使い込んでしまうリスクが発生します。2社間ファクタリングで手数料が高めに設定されるのは、ファクタリング専門業者が抱えるリスクの高さをあらわせているといえるでしょう。
3社間ファクタリングのほうが手数料は安いから得?
3社間ファクタリングの相場は1~5%とすると、手数料を安く抑えて資金調達が可能となるのでメリットしかない!と思うかもしれません。
しかし、売掛先企業から同意を得ることが必要となるので、まずは売掛先企業と交渉することになり、最短即日現金化は叶わなくなります。
また、売掛先企業にファクタリングを利用して資金調達することを知られるということは、資金繰りの必要性が高まっていることを知らせることになります。
ネガティブな利用ではなく、売掛債権を早期回収することで資金繰りを改善させたいという理由だったとして、売掛先企業がどのように考えるかはわかりません。もしかしたら、銀行融資を受けることができず、どこからも借り入れができないので仕方なく、売掛債権を売却しなければ資金調達できないほど資金難に陥っているのかもしれないと捉えられるかもしれないのです。
もし売掛先企業からの信用を損なえば、その後、取引量を削減されたり、取引を停止したいと申し入れられるなど、取引に影響してしまう可能性もあります。
中小企業の場合、そのような風評被害が今後の取引にマイナスの影響を及ぼす可能性が高くなるので、3社間ファクタリングのほうがメリットは大きいといいきれない部分があるのです。
2社間ファクタリングを利用する場合でも注意しておきたいこと
この3社間ファクタリングで行われる通知や承諾は、売掛債権を買い取ったファクタリング専門業者が権利を所有していることを主張するためにも必要なことなのです。
しかし2社間ファクタリングは売掛先企業と違い、通知や承諾は必要がありません。そのため、もし、別のファクタリング専門業者が、自分の会社もその売掛債権を買い取ったと主張してきたときに対抗する方法がなくなってしいます。
そこで利用されるのが債権譲渡登記制度で、不動産登記や商業登記と同じように、誰が誰に対しいつ売掛債権を譲渡したのか公的に証明することができます。
この登記制度が新しくできたことで、売掛先企業から同意を得ることなくファクタリングがサービスとして提供されやすくなったのです。
債権譲渡登記を行うことがデメリットになることも
債権譲渡登記はファクタリング専門業者が、自らが債権の権利者であることを証明するために行われます。
ただ、その費用はファクタリングの利用者が負担することになりますので、余計な費用が発生する点は否めません。
さらに登記情報として登録されるので、誰でもその情報を閲覧することが可能です。誰でも見ることができるということは、売掛先企業も確認することができますし、銀行などが融資の審査過程で確認することもあるということです。
売掛先企業がわざわざ自社の売掛債権の権利者を確認することは考えにくくても、可能性はゼロではありませんし、銀行融資を申し込めば確認されることになるので、審査に不利になってしまう可能性はあります。
2社間ファクタリングは手数料が高い
そして2社間ファクタリングは手数料が高いことが特徴です。手数料が高く設定され、債権譲渡登記も必要となれば、十分な資金調達に繋がらなくなる可能性があります。
ただ、ファクタリング専門業者によっては、債権譲渡登記を行わず留保という形で対応してくれる場合もありますので、柔軟に対応してくれるファクタリング専門業者を選ぶようにしてください。
安心できるファクタリング会社を選ぶには
ファクタリングを安心して利用したいのなら、どのファクタリング専門業者を選ぶのかが大きな鍵となります。
まず申し込みを行う前に、保有する売掛債権をどのくらいの金額で買い取ってもらうことができるか見積もりを出してもらいましょう。
その際には、いくつか必要となる書類の提示を求められ、仮の審査が行われることとなります。
ただ、提案された見積もりの内容が不透明なものであったり、そもそも見積もりは出してもらえないという場合は要注意です。
ファクタリングを利用する上で設定される手数料は、売掛先企業の信用力次第という部分もありますが、他にも複数の要素が重なってファクタリング専門業者の独自の審査により決められます。
そのため、なぜこの割合で手数料が決まったのか、説明できない部分に対しても丁寧にこたえてもらえるでしょうし、実費として発生する部分についても教えてもらえるはずです。
面談を行わないファクタリング専門業者は怪しい可能性も
基本的にはファクタリング契約を結ぶ前に面談による審査を行うものです。
ファクタリングは利用者とファクタリング専門業者、双方の信頼関係で成立する取引ですので、実際に会って話をしてみなければ相手のことがわからないところは多々あります。
それを、面談は行わず電話だけの簡単な審査ですぐに入金可能とする業者は、会社そのものが存在しない可能性もあるのです。
ファクタリング専門業者のオフィスに足を運ぶことが難しければ、出張対応してくれる場合も多々あります。
簡単に資金だけを調達させようとする業者は、発生する手数料が法外なものであったり、ファクタリングを装い金銭を貸し付けようとするヤミ金業者である可能性もあります。
必ず面談を受けてファクタリング専門業者や担当者の雰囲気などを確認し、不明な点や不安な部分はどんどん質問をして納得の上、契約を結ぶようにしてください。
まとめ
ファクタリングは、銀行融資の審査に通らない場合でも、比較的スムーズに資金調達が可能となるので、中小企業などでは近年利用されることが多くなりました。
ただ、審査が柔軟で現金を調達するまでが早い!とファクタリング専門業者を選別することなく利用してしまうと、悪徳業者と契約してしまうことになり、その後の資金繰りはさらに悪化してしまいます。
安心して利用するためにも、ファクタリングというサービスはどのような仕組みになっていて資金調達できるのか把握しておき、正規のファクタリング専門業者の中でも優良とされる業者を選ぶようにしてください。