ファクタリングは違法ではない!その理由と違法業者を見分ける方法を解説

2023年2月8日

「ファクタリング=融資」と思い込んでいる方や悪質行為を行ったファクタリング業者が摘発されたことをきっかけにファクタリングは違法なのでは、と疑ってしまうかもしれません。
入金期日前の売掛債権を現金化することで資金繰りの改善を図る資金調達方法です。融資とは異なり、急な資金繰りにも対応できるサービスとして年々利用する人が増えています。しかし、ファクタリングを謳った違法業者も存在することから、ファクタリングの違法性を懸念する人もいるでしょう。
当記事では、ファクタリングが違法ではない法的な根拠を解説するとともに、違法業者を見分ける方法を紹介します。

ファクタリングは違法ではない理由

金融庁が「ファクタリングに関する注意喚起」を行っていますが、ファクタリングそのものは違法なサービスではありません。ファクタリングは、契約方式に応じて「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2つに分かれます。それぞれのファクタリングについて、違法ではない理由を法的根拠をもとに解説していきます。

3社間ファクタリングの法的根拠

3社間ファクタリングは、「サービス利用者」「取引先企業」「ファクタリング会社」の3社間で行われるファクタリングです。サービス利用者がファクタリング会社に売掛債権を譲渡するにあたって、売掛先である取引先企業の承諾が必要となります。

違法ではない法的根拠として民法第466条「債権の譲渡性」と第467条「指名債権譲渡の対抗要件」が挙げられます。

債権は、譲渡人(サービス利用者)と譲受人(ファクタリング会社)双方の合意があれば、譲渡することが可能です。しかし、民法466条第2項にあるように、債権の譲渡は「ファクタリング利用者」と「ファクタリング会社」間で有効であるものの、債務者(売掛先)には有効でないとしています。

譲受人(ファクタリング会社)が債権者になったことを示すためにも、民法第467条に従い、売掛先である債務者に対して通知または承諾を得るという手続きが必要になります。この手続きを行うことで、売掛先が誰に対してお金を支払うかが明確になります。

2社間ファクタリングの法的根拠

2者間ファクタリングは、「サービス利用者」「ファクタリング会社」の2者間で行われるファクタリングです。法的根拠として民法第555条「売買契約」が挙げられます。

売買契約とは、売主と買主の間で目的物の売買を行う取引です。目的物の例として以下のものが挙げられます。

・建物
・機械
・物品
・知的財産
・土地
・債権

2者間ファクタリングは売掛債権を売買して資金を得る取引なので、この条文が適用されます。

違法なファクタリング会社を見分けるポイント

ファクタリングは入金期日前の売掛債権を現金化することができるため、資金繰りの改善に役立ちます。一方で、違法業者・悪徳業者が一定数存在するのも事実です。こうした業者が提供するファクタリングサービスを利用してしまうと、法外な手数料を請求されたり、悪質な取り立てを受けたりする恐れがあります。ここでは、違法なファクタリング会社を見分けるためのポイントを7つ紹介していきます。

会社情報は正しいか

違法業者の場合、住所の記載がなかったり、架空の住所になっていたりすることがあります。また、連絡先が携帯電話のみとなっている場合もあります。ファクタリング会社の情報は事前にチェックしておきましょう。

給与ファクタリングを提供していないか

給与ファクタリングとは、個人の給与債権を買い取ってもらうことで、給料日前に資金を調達する方法です。

給与ファクタリングは貸金業に該当します。貸金業を行う業者は、事前に財務局長または都道府県知事の登録を受けなければいけません。登録を受けずに貸金業を行うことは違法です。事実、給与ファクタリングで摘発された事例もあります。

売掛金の支払いは一括であるか

ファクタリングの支払い方法は、一括のみとなります。ファクタリングは融資ではないため、分割払いは認められていません。分割払いにしてしまうと金利が発生し、貸金業に該当してしまうからです。無登録で貸金業を行うことは禁止されています。

分割払いを請求・容認してくるファクタリング会社は違法業者である可能性があるので注意しましょう。

償還請求権があるか

償還請求権とは、取引先企業の倒産などで売掛債権が貸倒れになった場合に、ファクタリング利用者に請求できる権利です。

原則として、ファクタリング会社との契約は償還請求権のない「ノンリコース契約」です。これは、ファクタリング会社は売掛先の信用情報からリスクを判断して売買契約をするためです。償還請求権がなければ、万が一取引先企業が倒産した場合もファクタリング会社から請求されることはありません。

償還請求権のある契約は、「ウィズリコース契約」と呼ばれています。この契約は、サービス利用者が売掛金を補填するという性質上、貸金業法が適用されます。ファクタリングと謳いつつ、ウィズリコースの契約になっている場合は違法業者である可能性が高くなるため注意が必要です。

担保や保証人があるか

ファクタリングは融資ではないので、担保や保証人を設定することなく契約することができます。契約書に土地建物の担保や保証人の記載があった場合は注意が必要です。

手数料は高すぎないか

ファクタリングは融資と違って利息制限法が適用されないため、手数料が高くても違法にはなりません。そのため、手数料相場の範囲を超えた手数料を請求してくる業者もいます。ファクタリングにおける手数料相場は、2社間で10〜20%、3社間で1〜9%です。

相場を大幅に超えている手数料を請求してくる場合は、違法業者である可能性が高いので十分に注意しましょう。 

契約書の内容は正しいか

違法業者の場合、口頭で説明した内容と文書の内容が異なっている場合があります。とくに契約書に「売掛債権の売買」と記載がない場合は注意が必要です。「ファクタリングという説明を受けたが、実は高金利の貸付だった」というのが悪徳業者の手口です。不利な状況に陥らないためにも、契約書の内容はきちんと確認しましょう。

また、契約書の控えは必ずもらい保管してください。契約書の控えを保存しておくことで、万が一トラブルに巻き込まれてしまった場合の証拠として役立ちます。

ファクタリングは違法ではない!のまとめ

ファクタリングは、違法性はなく合法なサービスです。一方で、ファクタリング業者と名乗りつつも、違法な貸付や法外な手数料を請求してくる業者も一定数存在します。トラブルに巻き込まれないためにも、当記事で紹介した違法業者の見分け方を参考に適切なファクタリング会社と取引するようにしましょう。

資金調達方法には、ファクタリングのほか銀行融資や補助金、クラウドファンディングなどがあります。自社の状況を鑑みて、適切な資金調達方法を選択していくことが大切です。