期日にファクタリング会社に払えない!払えないとどうなるか、対処法など解説
2023年9月22日
ファクタリングは借入ではなく売掛金の現金化なので、返済の必要はありませんが、期日までに売掛金の回収分をファクタリング会社に支払わないといけません。
売掛先から回収した売掛金をファクタリング会社に送金するだけなので、「払えない」という状況は起こりにくいと考えられます。
しかし、様々な理由からファクタリング会社に払えないといった問題が起きることもあるようです。
そこで、売掛金をファクタリング会社に払えない状況になったとき、どのように対処すればよいのか説明していきます。
ファクタリングにおける支払いとは
ファクタリングの契約方法は、「3社間ファクタリング」と「2社間ファクタリング」の2つですが、このうち「支払い」が発生するのは「2社間ファクタリング」です。
2社間ファクタリングは利用者とファクタリング会社のみが契約を結び、売掛先には債権譲渡の事実を通知することはありません。
そのため売掛金が支払われる期日には、利用者が売掛先から売掛金を回収し、回収後はすみやかにファクタリング会社に支払います。
しかし売掛金を回収した段階で利用者の資金繰りが悪化していると、回収分をつい使い込んでしまったことを理由に、ファクタリング会社に払えないといった問題が起きることもあるようです。
もう一方の3社間ファクタリングでは、利用者に債権譲渡の事実を通知し、承諾を得た上で契約が結ばれます。
そのため売掛金の支払いも売掛先からファクタリング会社に直接行われるため、利用者が支払いをするタイミングもなく、払えないという状況には陥ることはないといえます。
売掛先が原因で払えないときの責任の所在
ファクタリングで支払いが発生するのは「2社間ファクタリング」で契約したときですが、払えない状況に陥る原因が「売掛先」にあるときの責任の所在について説明します。
売掛金が支払われるはずの期日になっても売掛先から入金がなく、その結果、ファクタリング会社に回収代金を渡せないというケースです。
この場合、通常のファクタリング契約であれば利用者が責任を負うことはありません。
ただしファクタリング会社に対し、売掛金が入金されないことを伝え、売掛先には早急に支払ってもらうように催促することは必要になります。
問題となるのは、ファクタリングの契約に「償還請求権」があるケースです。
償還請求権とは、金銭債権などが支払われないときに当事者に直接支払いを求める権利であり、この場合には利用者がその責任を負うことになります。
なお、償還請求権のある契約は融資とみなされるため貸金業登録をしている業者しか扱うことはできないことや、通常のファクタリングは売掛債権の譲渡による現金化のため、償還請求権のない契約を結びます。
そのため貸金業登録をしていない業者から償還請求権ありの契約を提示された場合、相手は違法な取引を持ち掛けるヤミ金融業者である可能性が高いため、契約しないようにしてください。
利用者の責任で払えないとどうなるか
ファクタリング会社に回収した売掛金を払えない原因が「利用者」にある場合について説明します。
売掛先から売掛金が入金されたとき、たとえば利用者の手元の資金が十分でなく、他の支払いに充ててしまったなど「使い込み」があったケースです。
すでにファクタリング会社に権利が渡っている売掛債権のため、回収した売掛金も当然ファクタリング会社のものといえます。
あくまでも利用者は、ファクタリング会社の売掛金回収業務を代行しているだけのため、使い込みは厳禁であり、踏み倒しすることも許されません。
仮に資金を使い込んだときには、次のような事態が発生します。
詐欺罪で警察沙汰になる
存在しない請求書を使って現金化しようとする行為も詐欺行為ですが、回収した売掛金をファクタリング会社に支払わない行為も、業者を欺く詐欺罪とみなされ警察沙汰になる可能性があります。
売掛先に債権譲渡の事実が通知される
ファクタリング会社に売掛金を支払わない場合、売掛先に債権譲渡の事実が通知される可能性があります。
「債権譲渡通知」とは、利用者からファクタリング会社へと売掛債権の保有者が変わったことを知らせる通知ですが、売掛先に届くことでファクタリング利用を売掛先に知られてしまいます。
ファクタリングを利用していることを知られたくない理由で2社間ファクタリングを利用しても、意味のない契約となってしまうでしょう。
支払いができない時に見られがちな疑問
ファクタリング会社に売掛金を払えない場合、様々な解決方法を模索することになるでしょう。
支払いができないときには、特に次のような疑問を抱えることが多いといえます。
支払いの先延ばしは可能か
回収した売掛金をすぐにファクタリング会社に支払うことはできないけれど、少し待ってもらえれば払えるという場合、先延ばししたいと考える方もいることでしょう。
売掛先からの入金がなく、多少遅延する程度なら対応してもらえるケースはあるでしょうが、長期による先延ばしはできません。
また、悪質な業者などが先延ばしを理由に遅延利息などを請求するケースもあるため、安易に何か月もの延長に応じる業者を信用しないようにしてください。
分割による支払いは可能か
ファクタリング会社にたいし、一括で支払いはできないけれど、分割なら払えるという場合もあるでしょう。
しかし分割による支払いは、ファクタリングでは利用できません。
分割払いを認めれば「貸金」という扱いとなるため、貸金業者登録している業者しか扱うことができないからです。
簡単に分割払いに応じるものの貸金業登録していない業者であれば、悪質なヤミ金融業者である可能性が高いため注意してください。
ファクタリング会社に払えないときの対処法
2社間ファクタリングでは、売掛金を回収後にすみやかにファクタリング会社へ支払うことが必要です。
しかし払えない状況に陥った場合、対処法としてまずはファクタリング会社に正直に伝えるようにしましょう。
ファクタリング会社から連絡があっても無視することや、支払わずに放置することを続けていれば、「横領罪」として訴えられる可能性が高くなります。
当然、支払わないという選択肢はないため、ファクタリング会社から何かの策を打診されれば解決に向けて取り組むことが必要です。
売掛金を利用者が回収するのは、債権回収委託を受けているからであり、一時的に売掛金を預かるだけであることを十分に理解しておく必要があります。
支払いできない状況をつくらないためのポイント
ファクタリングによって資金を調達できても、売掛金を回収したタイミングでまた資金繰りが悪化してしまうといった可能性はゼロではありません。
そこで、できる限り支払いできない状況を作ることが必要ですが、そのためにも次の2つをポイントと押さえておき実行しましょう。
資金繰りを改善させる
ファクタリングで資金を調達しても、資金繰りが改善できなければ意味がありません。
いずれまた資金不足に陥る可能性があるため、キャッシュフローを改善させていくことは必須となります。
いつまでファクタリングを利用するか計画を立て、その期間で資金繰りを改善させることが必要ですが、まずは可能な限り次の方法を実行していきましょう。
支払いはできる限り遅く
資金繰りを改善させるためには、手元の資金を減らさないために支払いはできる限り遅くすることが必要です。
買掛先に支払いを先延ばしにしてもらう交渉を行うことや、締め日を変更してもらうという方法などが考えられます。
入金を増やす
売掛金の回収以外で入金を増やすために、次の方法を検討しましょう。
・不動産担保融資を受ける
・補助金制度など利用する
・過剰在庫は一掃する
・遊休資産を売却する
回収はできるだけ早く
手元の資金を減らさないことと同時に、増やすことが必要となるため、売掛金が入金されないときにはすぐに催促するようにしましょう。
一括では払えないという場合には、一部でも払ってもらうように伝え、その後は現金決済など優遇条件を提案するようにするといった策が考えられます。
出金を減らす
買掛金の支払いを遅らせるだけでなく、手元の資金を減らさないために次の方法を検討しましょう。
・仕入先を見直す
・不要な在庫は持たないようにする
・不要なサービスは見直しや解約する
手数料の安いファクタリング会社に乗り換える
契約しているファクタリング会社から請求される手数料が高いと感じる場合や、提供されるサービスと費用が見合わないと感じるときなどは、手数料の安いファクタリング会社への乗り換えも検討してみましょう。
急いで資金が必要という場面で、十分にファクタリング会社選びをせず、契約を結んでしまったというケースもあるかもしれません。
その場合、複数社から相見積もりを取得し、ファクタリング会社を比較することで手数料の安い業者を見つけることができる可能性があります。
ただし単に手数料ばかりにとらわれていると、後で存在しない追加費用を請求されるといった悪質業者につかまるリスクを高めます。
丁寧で親身に対応してくれるファクタリング会社か見極め、安心して契約できる業者を選ぶようにしてください。
まとめ
ファクタリングで「払えない」という状況が発生するのは、2社間ファクタリングを利用したときです。
回収した売掛金をファクタリング会社に払わなければならないのにもかかわらず、つい流用したり使い込んだりすることは許されず、放置していれば横領罪として訴えらえる可能性もあります。
払えないといった状況に陥らないためにも、資金繰りを改善させるような取り組みを行い、手数料などに不満があるときにはファクタリングの乗り換えなども検討することをおススメします。