ファクタリング手数料の相場と融資の金利を徹底比較

2023年10月27日

ファクタリングは、売掛金を売却し現金化する資金調達方法であり、貸付ではないため金利が存在します。

利用の際にファクタリング会社に対し「手数料」を支払いますが、融資を受けるわけではないため「金利」による「利息」とは異なるものです。

しかしファクタリングに金利が関係ないのならどのように手数料が決まるのか、融資を受けて資金調達したときに支払う利息とどちらがお得なのか気になる方もいることでしょう。

そこで、ニーズに対応できる資金調達方法を選ぶために、ファクタリングの手数料相場と融資の金利を徹底比較していきます。

ファクタリングとは

「ファクタリング」とは、個人事業主や中小企業など、事業者が保有する「売掛金」をファクタリング会社に譲渡し現金に換えるサービスのことです。

たとえば商品券などを金券ショップに売って現金化するとき、ショップ側が指定する割合の手数料を差し引かれて残りを買取代金として受け取ることができます。

ファクタリングも同様に、ファクタリング会社側が設定した手数料を売掛債権額面から差し引いた残りが買取代金として支払われます。

ファクタリング会社と売掛債権を譲渡する「売買契約」を結ぶことによる資金調達方法のため、融資を受けるわけではありません。

そのため「手数料」は「金利」により決定するのではなく、ファクタリング会社独自の審査で決まります。

ファクタリング手続と必要書類

ファクタリングで資金を調達するときには、融資を受けるほど複雑ではありませんが必要書類を準備しなければなりません。

契約の際には、次の流れで手続が進みます。

①ファクタリング会社に利用の申し込み
②ファクタリング会社による審査
③買取金額の見積もりと提示
④必要書類提出の上、契約締結
必要書類は契約を結ぶ段階では必ず準備しておくことが必要ですが、おもに次のような書類提出を求められます。

・請求書・発注書・納品書など
・取引履歴のわかる銀行口座の通帳
・本人確認証(運転免許証など)
・売掛先との基本契約書
・登記簿謄本(法人)
・印鑑証明書
なお、必要書類はファクタリング会社によって異なるため、事前に確認しておくようにしましょう。

審査で買取可能な売掛債権であることが確認でき、書類にも不備がなければ契約を締結し、売掛金を現金化できます。

ファクタリング契約の種類

ファクタリングで資金調達するときには、まずファクタリング会社に相談し、審査を受けて必要書類を提出することが必要です。

ただ、ファクタリングには次の2つの種類があり、どちらを選ぶかによって契約までの流れは異なります。

3社間ファクタリング

3社間ファクタリングでは、利用者とファクタリング会社、売掛先で契約を結びます。

売掛先が契約に関与するため、ファクタリング会社に売掛債権を譲渡することを通知し、ファクタリング利用について承諾を得ることが必要です。

合意を形成することが必要となるため、段取りや資料作成などに手間がかかり、2社間ファクタリングよりも現金化まで時間がかかります。

また、売掛先から必ずしも承諾を得ることができると限らない上に、資金繰りが苦しい会社という印象を与え、その後の取引に影響が及ぶリスクも発生することになるでしょう。

ただし手数料は2社間ファクタリングよりも安く抑えることができるため、長年に渡り親身に付き合っている売掛先などあるのなら、3社間ファクタリングを検討してみることも方法の1つです。

3社間ファクタリングで資金を調達する場合、次の流れで手続が進みます。

①利用者とファクタリング会社で契約締結
②売掛先に対し債権を譲渡することの通知
③売掛先から承諾することの通知
④ファクタリング会社から利用者に対し、手数料を差し引いた金額が支払われる
⑤売掛先からファクタリング会社に売掛金が入金される

2社間ファクタリング

2社間ファクタリングとは、ファクタリングで資金を調達する利用者とファクタリング会社で契約を結びます。

売掛先に対し、売掛債権をファクタリング会社に譲渡することを伝える必要はないため、資金繰り悪化を知られたくない場合にも安心して利用できます。

また、2社(者)のみの契約であることから、審査や手続の流れがスムーズで、現金化まで迅速であることも2社間ファクタリングの特徴です。

急に資金を準備しなければならなくなったとき、保有する売掛金を前倒しで支払ってもらうことができれば…と考えることもあるでしょう。

このような場合、2社間ファクタリングなら最短で即日入金されるなど、ニーズに合った資金調達ができます。

なお、2社間ファクタリングで資金を調達する場合、次の流れで手続が進みます。

①利用者とファクタリング会社で契約締結
②ファクタリング会社から利用者に対し、手数料を差し引いた金額が支払われる
③売掛先から利用者に売掛金が入金される
④利用者からファクタリング会社に売掛金を支払う

ファクタリングは金利でなく手数料

ファクタリングは売掛債権を譲渡することで資金を調達できる方法のため、「金利」による「手数料」は発生しません。

「金利」とは、金銭の貸借で借りた側から貸した側に支払われる貸借料(利息)を決める、元金に対する割合のことです。

ファクタリングで支払う手数料は金利ではなく、ファクタリング会社独自の審査により決定します。

ファクタリング手数料の相場

ファクタリングで資金を調達するとき、ファクタリング会社に支払う手数料の割合には一般的な相場があります。

2社間ファクタリングと3社間ファクタリングのどちらを利用するかによって異なりますが、一般的な手数料相場は以下のとおりです。

・3社間ファクタリング 1~9%
・2社間ファクタリング 10~20%

金利と同じく「%」を使った割合で表示されますが、金利は「年率」が原則ですがファクタリング手数料は「月率」として考えます。

そのため、もしも融資を受けるときの金利とファクタリング手数料の手数料率を比較するのなら、ファクタリング手数料率を「年率」に換算し比べることが必要です。

たとえば3社間ファクタリングで発生する手数料の割合が5%だとしても、年率に換算すればその12倍となるため60%となります。

年率換算にすると割合が一気に高くなるため、期間を決めて数か月利用するなど一時的な資金調達への活用はよいものの、年間単位など継続した利用では資金繰りが悪化することになると留意しておくべきです。

ファクタリング手数料と融資金利との比較

お金を借りたときの金利も、ファクタリングによる手数料もどちらも「%」による割合表示ですが、金利は「年率」での表示であるもののファクタリング手数料は「月率」表示なので同じではありません。

同じ単位で表示させなければ比べることはできませんが、ファクタリング手数料を年利換算したときの融資金利との比較は以下のとおりです。

資金調達の種類 年率
2社間ファクタリング 120%~240%程度(月率10%~20%)
3社間ファクタリング 12%~108%程度(月率1%~9%)
銀行融資(カードローン含む) 2%~15%程度
消費者金融 4%~18%程度
ビジネスローン 5%~18%程度
クレジットカードのキャッシング 15%~18%程度

 

銀行から融資を受けるのか、消費者金融から借入れするのかなどによっても、金利は大きく異なります。

しかしいずれの場合でも、融資を受けるよりファクタリングによる手数料のほうが高いといえるでしょう。

特に2社間ファクタリングの負担は大きく変わるため、利用の際には十分注意することが必要です。

ファクタリング手数料を決める要素

ファクタリングを利用するときにファクタリング会社に支払う手数料は、様々な要素により決定されます。

ファクタリング会社により、どの要素を重視するかは異なる部分はあるものの、多くは共通しています。

売掛先の信用力

ファクタリングで現金化する売掛債権の信用度は高ければ高いほど手数料は安く抑えることができます。

ファクタリング会社が審査で最も重視する要素といえますが、期日までに売掛先が倒産すれば売掛金は回収できなくなります。

設立したばかりで実績がなく、どのような事業を行っているかわからない売掛先の場合には、売掛金の支払期日までに資金繰り悪化を理由に夜逃げする可能性もゼロではありません。

買い取る売掛債権が確実に回収できる債権であることが求められるため、売掛先の信用力を重視した審査を行うといえるでしょう。

売掛先だけでなく、売掛債権が本当に実在しており架空の債権でないことも重要です。

ファクタリングではもしも売掛先が期日までに倒産し、売掛先の信用力を重視し、リスクの高い売掛債権と判断されれば手数料も高く設定されます。

利用実績

過去にファクタリングの利用実績がある場合には、信用力の高い利用者と判断されやすく、手数料を引き下げることができるでしょう。

過去の利用実績は、すでにファクタリングにより売掛金を売掛先から回収し、ファクタリング会社に渡すという流れを滞りなくできている証明といえるからです。

初回利用よりも2回目以降のほうが手数料は安くなりやすく、他社利用の実績がある方の乗り換え契約でも手数料を抑えることができます。

利用者の信用力

売掛先だけでなく、利用者の信用力は高ければ高いほど手数料は安くなります。

2社間ファクタリングでは、ファクタリング会社に代わって利用者が売掛金を回収しなければなりません。

売掛金回収後は、すみやかにファクタリング会社に支払いを済ませることが必要ですが、もし利用者が資金難に陥っていれば回収代金を使い込んでしまう可能性があるからです。

ファクタリングは、赤字決算や債務超過でも利用できる資金調達の方法ですが、信用力があまりに低いと判断される場合には利用を断られる可能性があります。

大手で財務・経営状況も安定している信用力の高い売掛先の売掛債権を保有していても、極度に信用力の低い利用者では断られる可能性もあることは留意しておくべきでしょう。

支払期日までの日数

ファクタリングで売掛債権が譲渡された後、売掛先が倒産してしまえばファクタリング会社は売掛金を回収できなくなってしまいます。

このリスクは、売掛金が支払われる期日までの日数が長ければ長いほど大きくなるといえるため、支払期日までの日数も手数料も影響します。

たとえば支払期日まで1か月と2か月のどちらが手数料を下げやすいかといえば、1か月と考えられます。

売掛債権額

ファクタリング会社に売却する売掛債権額は、高ければ高い方が手数料を安く抑えることができます。

売掛金の買取手続にかかる手間やコストは、売掛債権の金額が大きくても小さくてもほとんど変わりません。

仮に売掛金30万円に対する手数料を10%で設定すると3万円ですが、150万円に対する手数料を2%で設定しても同じ3万円です。

10%で設定すれば15万円ですが、事務手続や手間は変わらないため引き下げてもよいと考えやすいといえます。

売掛債権額が大きければファクタリング会社の利益も出しやすいため、少額債権よりは手数料を引き下げてもらいやすくなるでしょう。

契約形態

ファクタリングには2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがありますが、どちらの契約形態かによって手数料も次のように大きく分かります。

3社間ファクタリングの手数料相場 1%~9%
2社間ファクタリングの手数料相場 10~20%

2社間ファクタリングの場合、売掛先から売掛金を回収するのは利用者です。

もしも売掛金を回収したとき、利用者の資金繰りが悪化していれば、口座に売掛先から入金されたお金を使い込んでしまうかもしれません。

この他の支払いなどに流用されるリスクを踏まえて、2社間ファクタリングの手数料は3社間ファクタリングよりも高めに設定されます。

反対に3社間ファクタリングでは、売掛先からファクタリング会社に直接、売掛金の支払いが行われるため、リスクが低い分手数料も安く設定されるといえるでしょう。

また、3社間ファクタリングでは売掛先に対し売掛金の存在を確認しやすいため、架空の請求書などを持ち込まれるリスクが少ない分手数料も低くなります。

まとめ

ファクタリングには「金利」という概念がないのは、融資を受けて資金を調達する方法ではなく売掛債権の売買による方法だからです。

中小企業などは急にまとまった資金が必要になることもしばしば。

そのような場合でも、ファクタリングなら難易度の低い審査でスムーズに資金を調達できます。

ただしファクタリング業界は法規制が十分でなく、悪質な業者なども横行しやすくなっています。

たとえば契約書に金利による手数料の記載がある場合、その契約は売掛金の売買ではなく売掛金を担保とする金銭の貸し付けです。

悪徳業者に騙されれば十分な資金調達につながらないだけでなく、資金繰りは悪化し倒産に追い込まれるリスクも高くなるため、ファクタリング会社選びは慎重に行うようにしてください。