ファクタリングはいくらまで利用できる?高額の資金調達をするためのポイントを解説!

2024年9月28日

ファクタリングは一般的な事業融資やビジネスローンのような「限度額」の概念はありません。

ただし、買い取る売掛債権が高額になると、ファクタリング会社は相応のリスクを背負うことになるため、債権の種類やファクタリング方式などによって、実質的な利用限度額を設けている場合もあります。

人件費や材料費などの支払いが迫っている事業者は、ファクタリングによって高額の資金調達ができるのかは、気になるところではないでしょうか。 

そこでこの記事では、ファクタリングの限度額やファクタリングで高額の資金調達をするメリット・デメリットなどを詳しく解説します。高額の資金調達をするためのコツも紹介しますので、参考にしてください。

ファクタリングの利用限度額は売掛金の保有額で決まる

ファクタリングには、いわゆる「利用限度額」はありません。

一般的な融資では、自社の信用力や返済余力をもとに、無理なく返済できる金額が「限度額」として設定され、その範囲内で資金の貸付けを受けます。

一方、ファクタリングは貸付けではなく、売掛債権を現金化する方法なので「限度額」という概念自体がありません。しいていえば、自社が保有する売掛債権の総額が限度額です。そのため、売掛債権がなければ限度額もゼロになります。

ただし、ファクタリング会社ごとに買取上限額が設けられているケースが一般的です。そのため、10億円の売掛債権を保有していても、ファクタリング会社が1億円までの買取にしか対応していなければ、1億円が実質的な利用限度額になります。

ファクタリングの利用限度額と与信限度額は異なる

ファクタリングの利用限度額と実際に資金調達できる金額(与信限度額)は異なります。与信限度額とは、売掛債権や利用者の信用力に応じて、ファクタリング会社が設定する実質的な資金調達可能額です。

この与信限度額を決める際に、「掛目」という用語が使われます。掛目とは、保有する債権のうち何%を買い取ってもらえるかを表す数値で、たとえば1億円の売掛債権があっても掛け目が60%であれば、6,000万円が与信限度額となります。

掛目は売掛先の業種や業績、財務状況などで変動しますが、約70%〜90%に設定されるケースが一般的です。

ファクタリングで高額の資金調達をするメリット

ファクタリングによる高額の資金調達は、以下のように企業にとって多くのメリットをもたらします。状況によっては、他の資金調達方法よりも有利になる場合もあるでしょう。

早急に資金調達ができるため案件を受けやすくなる

ファクタリングで高額の資金調達をすることができれば、新しい案件を受けやすくなるというメリットがあります。

請負契約の多い建設業などでは、工事が完了しないと代金を受け取れないため、工事中に発生する材料費や外注費、重機リース料などを自社で立て替える必要があり、資金繰りが悪化することも少なくありません。
結果として、資金力のない会社は新規案件を受注しにくい傾向があります。ファクタリングを利用すれば、売掛債権を現金化できるため、調達した資金を新規案件に伴う費用に回すことが可能です。

また、数週間かかる銀行融資に比べて、スピーディーに資金調達できる点も大きな魅力といえるでしょう。

審査の際に自社の財務状況は重視されない

ファクタリングの審査では、、一般的な融資のように自社の決算書などや経営計画などを細かくチェックされるわけではありません。

ファクタリング会社にとっては、売掛金が支払われない事態を避けることが重要になるため、申込者よりも売掛先の信用力に重点を置いて審査を行うケースが一般的です。

そのため、信用力のある売掛債権さえ手元にあれば、自社の現在の経営状況に見合わない高額の資金であっても調達できる可能性があります。

企業の評価に影響を与えず資金調達ができる

ファクタリングで高額の資金調達をすることには、企業の評価に影響を与えずに資金を調達できるというメリットがあります。

通常融資を受ける場合、借入額が負債として計上されるため、財務体質が悪化したとみなされることも少なくありません。

また、返済を遅延・滞納したり、複数の金融機関から融資を受けたりすると、信用情報機関に情報が残り、新規融資や取引先の与信審査に影響を及ぼすリスクもあります。

一方、ファクタリングは売掛債権を現金化するだけで、新たな負債が発生するわけではありません。また、ファクタリング会社は基本的に信用情報機関に加盟しておらず、信用情報への記録も残らないため、今後の新規案件受注や融資への影響も最小限に抑えられます。

売掛金が未回収になることを防げる

ファクタリングで高額の資金調達をすることで、売掛金が未回収になるリスクを最小限に抑えられるというメリットがあります。

売掛金が長期に渡って未回収のままだと、手元資金が逼迫して新規事業や投資ができなくなったり、場合によっては従業員への給与支払いも難しくなったりする可能性があります。

特に高額な売掛金が未回収になれば、企業経営に重大な打撃を与え、最悪の場合は倒産に追い込まれかねません。

ファクタリングを利用すれば、売掛債権をファクタリング会社に売却することで、未回収になる前に現金化できるため、そのようなリスクを回避できます。
経営に影響を及ぼす前に、確実に資金を調達できるのがファクタリングの大きなメリットといえるでしょう。

ファクタリングで高額の資金調達をするデメリット

ファクタリングで高額の資金調達をする際のデメリットとして、手数料が高額になる点が挙げられます。ファクタリングは債権譲渡契約であり、金銭消費貸借契約ではありません。そのため、ファクタリング会社は手数料を各社の裁量で設定しています。

高額な資金調達に伴い手数料負担も重くなれば、企業の資金繰りを一層圧迫し、自転車操業状態に追い込まれかねません。

たとえば1億円の売掛債権に対し10%の手数料がかかれば、実際に調達できる額は9,000万円です。この手数料の負担が重くなれば、資金繰り改善という本来の目的が達成できなくなる恐れがあります。
なお、貸金業法に抵触する契約をしている場合など、業者に落ち度がなければ、利息制限法の上限である年率20%を超える高い手数料が設定されていたとしても、過払い金請求が認められる可能性は低いと考えられています。

実際、過去の裁判例でも「ファクタリング手数料が利息制限法の上限を超えていたとしても、不当と認められない」との判決が出されているため、ファクタリング会社選びには十分注意しましょう。

ファクタリングで高額の資金調達をする際のポイント

ファクタリングで高額の資金調達をするときに、気を付けておきたいポイントは以下の通りです。

利用限度額の大きい業者と契約する

ファクタリングで高額の資金調達を行う際は、利用限度額の大きな業者と契約することがポイントです。高額のファクタリングに対応できるかどうかは、業者の資金力や大口取引に関するノウハウの有無に左右されます。

大手金融機関が展開する銀行系・ノンバンク系の業者は、利用限度額が高い傾向にあります。ただし、審査に数日〜数週間程度の時間がかかる場合もある点には注意しましょう。

なお、公式サイトなどに記載がなくても、事前相談することで数千万円規模の高額ファクタリングに対応してもらえるケースもあります。

複数のファクタリング業者を利用する

複数のファクタリング業者を利用することで、実質的な利用限度額を増やす方法もあります。たとえば、1億円の売掛債権を3社分保有している場合、利用限度額1億円のファクタリング業者を3社利用すれば、3億円を資金調達できます。

ただし、1つの債権を複数社に譲渡する「二重譲渡」は、ファクタリング会社から利用を断られるだけではなく、刑事罰に問われる可能性もあるので絶対にやめましょう。

3社間ファクタリングを選ぶ

3社間ファクタリングとは、依頼企業、売掛先、ファクタリング会社の3社が関与する取引形態です。この取引では、依頼企業が売掛債権をファクタリング会社に譲渡し、ファクタリング会社は売掛金を前払いします。

その後、ファクタリング会社が売掛先から直接代金を回収する仕組みとなっており、売掛先の急激な業績悪化や倒産がない限り、売掛金が未回収になるリスクは低いでしょう。

一方、2社間ファクタリングは、依頼企業とファクタリング会社の2社間で取引が完結する取引です。
この場合、売掛金の最終的な支払いは依頼企業からファクタリング会社へと行われますが、依頼企業の不正な資金使用や流用などにより、売掛金を回収できないリスクも考慮する必要があります。

このように、3社間ファクタリングは2社間ファクタリングよりも未回収リスクが低いと考えられているため、限度額も高めに設定される傾向があります。

信用力の高い債権や支払期日の近い債権を選ぶ

信用力の高い売掛債権、未回収になるリスクが低いため、高額のファクタリングに対応してもらえる可能性が高くなるでしょう。信用力の高い売掛債権の具体例は、以下の通りです。

・大手企業や国・地方自治体
・取引歴が長い
・長期間黒字が続いている
・自己資本比率が低い
また、支払い期日の近い売掛債権も、突発的なトラブルによって売掛金が支払われなくなるリスクが低いと考えられるため、
高額のファクタリングに応じてもらえる可能性が高くなるでしょう。

取引実績のある業者を利用する

高額のファクタリングを検討している場合は、過去に取引実績のある業者を利用するのも一つの手です。

過去の利用時に問題を起こしていなければ、未回収リスクの低い「お得意様」として、高額のファクタリングに応じてもらえる可能性が高くなるでしょう。

複数の業者で相見積もりを取る

ファクタリングで高額の資金調達をするためには、複数の業者に見積もりを依頼し、条件を比較した上、ファクタリングの限度額を交渉することも有効です。
ファクタリング会社からすれば、大口顧客からは多額の手数料収入を見込めるため、希望条件に対して柔軟に応じてもらえる可能性があります。