ファクタリング会社への返還請求方法はあるのか?

2023年9月25日

ファクタリング会社に対する「過払い金」返還請求の方法とその必要性

ファクタリングとは、典型的には、会社が売掛債権などをファクタリング会社に売却し、売掛債権の支払い日よりも早く現金化し、資金繰りを改善する金融取引です。

ファクタリング会社は、もともとヤミ金業者だった会社が多いにも係わらず、そうと知らずに利用する事業者が多く、近時、トラブルが急増しています。

貸金業者には、貸金業法・出資法・利息制限法が適用され、過払い金返還請求がなされ、過剰に利息を取ることができなくなったため、貸金業者を廃業し、ファクタリング会社に転向した貸金業者が非常に多いのです。

すべては、過払い金問題がきっかけなのです。

ファクタリングは非常に高金利

当事務所に寄せられるファクタリングに関するご相談の多くにおいて、ファクタリングの手数料は、30パーセント/年から98パーセント/年になっており、完全に利息制限法や出資法の制限を超えています。本来であれば、そのようなファクタリング会社に対しては、過払い金を取り戻すことができますので、そこまで問題は大きくないように思えます。

しかし、ファクタリングには、利息制限法や出資法の適用が無いのです。ですので、上限金利を超える金利は違法であり、過払い金が請求できるということにはなりません。過払い金を取り戻すことができないのです。

ファクタリングも消費者金融と、経済実体としてはほとんど同じであり、ファクタリング会社もほとんど自分のことを貸金業者だと考えていますし、資金を借りている方も売掛債権を売却しているのではなく、売掛債権を担保に金銭を借りていると考えているため、ファクタリング会社に対しては、消費者金融と同様、過払い金を観念することができ、過払い金返還請求をすることができて当然と思うのですが。

ファクタリング会社の中には月利30%もの手数料を取るところも多く、過払い金を取り戻すことができないのであれば、非常に過酷なことになることは間違いありません。

ファクタリングも貸金業もほとんど同じ

また、ファクタリング会社に対する過払い金返還請求についてはどうでしょうか。

上述のとおり、ファクタリング会社に対しては、貸金業法・利息制限法・出資法の適用がありませんので、過払い金返還請求は全くできないかのように思えます。

しかし、上述のように、貸金業者とファクタリング会社は、経済実態としては、紙一重であり、区別して考える方が問題が大きいです。

また、実際にも、ファクタリング会社と言いつつも中身は貸金業者であるという業者はかなりたくさん存在していますし、ファクタリング契約書の実態が貸金契約書であることもかなり多く存在しています。

また、ファクタリングは貸金ではないと言っても、貸金業者に対しては過払い金返還請求を行うことが容易である反面、ファクタリング会社に対しては一切過払い金返還請求を行うことができないというのは、バランス感覚として、非常におかしい状態です。

給与ファクタリングについて過払い金返還請求が可能に

この点、給与ファクタリングについては、いち早く、過払い金返還請求が可能になりました。

金融庁がノンアクションレターにより、給与ファクタリングは無登録貸金業であり違法だとの見解を示し、裁判所も同様の考え方に基づく判決を下したのです。

金融庁や裁判所の事業者ファクタリングに関する見解は明快にはなっていない!

ただ、事業者向けファクタリングについて、金融庁や裁判所は態度を明確にしていません。

裁判所は裁判ごとに妥当な解決を図るべく、いろいろな要件をたてつつ、適切そうな和解を図っているように見えます。

やはり、判決を出してしまうと、サラ金の過払い金訴訟に関する記憶がまだある中で、世間に対するインパクトが大きすぎると思っているのかもしれません。

この点、当事務所においては、ファクタリングに関する裁判を多く経験しており、その中で、実際、裁判所が、ファクタリングについても、消費者金融と同様の過払い金と同じように考え、バランスをとって、実質的に解決することが多くなっていますので、裁判所は、態度を明確にしていないものの、ファクタリングの過払い金問題を、実質的に解決しようとする姿勢なのだと思われますので、悲観する必要はありません。

すなわち、裁判所としては、実質的に、過払い金が存在するものと観念し、ファクタリング会社に対して返済すべき借入金を、その過払い金と相殺することによって減額し、適切な解決を図るということを行っている状態です。

事業者ファクタリングも給与ファクタリングと同じ問題がある

ただ、給与ファクタリングでなくても、事業者ファクタリングであっても、状況は全く同じです。

そういう考えに基づき、近時、事業者ファクタリングについても規制強化の動きがみられます。

どう考えても、事業者ファクタリングも給与ファクタリングと同じですよね。

ファクタリング会社対応に関する注意点

また、ファクタリング会社の中にも正常な業者も存在することから、必ずしも、過払い金返還請求することができない可能性があること、当事務所が過払い金返還請求できることを保証するものではないことにはご留意ください。また、ファクタリング会社対応は、一般のクレサラ案件やヤミ金案件とは対応方法が全く異なります。近時、ファクタリング案件も、一般のクレサラ案件やヤミ金案件と同様、簡単に解決できるかと勘違いし、過剰な要求をされるファクタリングの被害者の皆様も僅かながら存在しますが、ファクタリング案件は、一般のクレサラ案件やヤミ金案件のように、単純な対応方法では対処できないこと、対応方法に多種多様な検討が必要であることにご留意ください。