ファクタリングの対象債権とは?その他債権の扱いも解説!
2023年11月21日
銀行からの融資では、思ったように審査が進まず落ちてしまうこともしばしば。
しかしファクタリングなら審査が厳しくなく、対象になりやすいといえます。
ファクタリングとは、保有する売掛金を現金化して資金を調達する方法ですが、対象となる債権の種類には注意しておく必要があります。
そこで、ファクタリングの対象として現金化できる債権の種類と、利用するときの注意点について解説していきます。
ファクタリングとは
「ファクタリング」とは、個人事業主や中小企業が保有している「債権」をファクタリング会社に譲渡し、入金予定の期日よりも前に現金化することで資金を調達する方法のことです。
日本の商取引では、商品やサービスを売った後、その代金は「後払い」の「掛け取引」が基本となります。
売上は先に計上することになりますが、代金は後払いのため「売掛金」で処理をします。
「売掛金」は「売掛債権」の1つで、代金を取引相手に請求できる権利です。
譲渡した債権の対価として「買取代金」を受け取ることができますが、このとき、ファクタリング会社に「手数料」を支払うことになります。
そのため元々入金される予定だった売掛金よりも、手数料分、受取金額は少なくなってしまいますが、期日までの資金不足を解消できる方法として中小企業では多く利用されるようになりました。
特に銀行から融資を受けたくても赤字決算で審査に通らないときや、債務超過や税金の滞納など資金面で悩みを抱えている企業にとって利用しやすいサービスとして周知されつつあります。
審査では利用者ではなく売掛先の信用力が重視されることや、早ければ即日対応してもらえることで、すぐにでも手元の現金を増やしたい企業に多く活用されています。
債権の種類
一般的な「債権」とは、相手に特定の行為をさせる権利を意味します。
商取引のおいての「債権」とは、商品やサービスを販売・提供するときに発生する金銭の授受による「請求権」のことです。
この債権には次の5つの種類があります。
仕掛債権
「仕掛債権」とは、商品やサービスの発注は受けているものの、まだ販売が完了していない債権のことです。
たとえば見積書などにより金額を提示し、入金額に対する言及はしていても商品やサービスは販売・提供していなければ、入金額が決まっておらず仕掛債権として扱われます。
確定債権
「確定債権」とは、すでに商品やサービスの販売は完了している取引のうち、いくら入金されるか決まっている未回収の債権のことです。
ただし入金額など当初決まっていたものの、後日、納品した商品に不備が見つかったため改修が必要になったときなどは確定債権に含まれませんので注意しましょう。
給与債権
「給与債権」とは、勤務先と雇用契約を結ぶことで受け取る「賃金」を債権と捉えた請求権です。
たとえば税金や慰謝料などの支払いに問題がある場合で、給与差し押さえなどが行われるときに使われる言葉といえます。
将来債権
「将来債権」とは、継続取引の中で将来的に発生する債権のことです。
たとえば毎月10万円の商品を1年に渡り販売する契約を結んでいる場合において、いつ商品を提供するのか、代金が入金されるのか決まっていない契約などでも、おおよそ確定できるため将来債権とみなされます。
不良債権
「不良債権」とは、売掛先が倒産してしまったなどの理由で確定債権が「貸し倒れ」となり、回収不能状態に陥った債権のことです。
確定差遣が不良債権になると、その後、売掛金を回収できる見込みは非常に低くなります。
ファクタリング対象となる債権とその他債権の扱い
ファクタリングは、保有する「売掛債権」をファクタリング会社に売却し期日より前に資金化する仕組みですが、対象になるのは入金日や入金額が決まっている未回収の「確定債権」のみです。
すでに期日から入金遅れが発生している債権は、未回収であっても対象にはなりません。
ただ、2020年に民法が改正されたことにより、確定債権だけでなく「将来債権」も譲渡可能とされ、ファクタリング業界も変化すると考えられています。
そこで、ファクタリングの対象となる債権と、その他の債権の扱いを理解するため次の4つを説明していきます。
給与債権は貸金業登録が必要
事業者向けではなく一般個人を対象とした「給料ファクタリング」は、売掛金の売買ではなく「貸金」という扱いのため、サービスとして扱う業者は「貸金業」の登録が必要です。
給料ファクタリングで扱うのは「給与債権」ですが、貸金業として登録し要件を満たせばサービスとして提供することは合法と認められるでしょう。
しかし、無登録による営業や利息制限法に従わない金利設定は当然認められません。
また、給与債権は労働基準法で厳格に保護されているため、一般事業者向けの売掛債権と同様に論じることも意味をなさないと理解しておくべきです。
将来債権の譲渡も可能とされた
2020年に改正された民法には、将来発生する債権を譲渡できることが明文化されました。
これまでも判例では将来債権を譲渡することは認められていたものの明文化はされていませんでしたが、債権が流動的に譲渡されることで中小企業などがスムーズに資金調達できるよう配慮されたといえます。
譲渡制限特約付き契約でも譲渡有効に
これまでは、債権の譲渡を禁止する「債権譲渡禁止特約」が契約内に付されている場合、債権の譲受人が特約を知っているときや、知らないことに重大な過失があったときにはたとえ債権が譲渡されたとしても「無効」という扱いになっていました。
しかし民法の改正により、債権譲渡禁止特約が付されている契約で債権が譲渡されていても、その譲渡は「有効」とされます。
ただし債権譲渡制限特約付きの契約であることを知っていたときや、重過失が認められる場合には、売掛先はその支払いを拒むことはできるとされています。
いずれにしても債権譲渡制限特約付きの契約における売掛債権でも譲渡可能となれば、債権の流動性は以前より高くなるといえるでしょう。
不良債権はサービサーのみの扱い
約束通りに支払いが行われず、経済価値が低下した債権が「不良債権」ですが、扱うことができるのは法務大臣による許可を取得した「債権回収会社(サービサー)」だけです。
ファクタリング会社に不良債権の買い取りを依頼しても対応できないため、この場合はサービサーに問い合わせるようにしましょう。
まとめ
ファクタリングにより、売却できる売掛債権は決済日が確定している確定債権だけです。
しかし、民法改正で将来債権も譲渡することができるようになり、取り扱いを検討するファクタリング会社も出てきました。
注意したいのは事業者向けではなく、個人を対象とした給与ファクタリングであり、貸金業として登録していない業者が扱っている場合は違法取引です。
不良債権も法務大臣の許可を取得したサービサーのみが取り扱いできるため、ファクタリング会社に買い取りを依頼しても断られると認識しておきましょう。
ファクタリングは売掛金の未回収リスクを移転できる方法でもありますが、すべての債権が対象になるわけではないため、不安に感じるときはファクタリング会社に相談したほうが安心です。