ファクタリング手数料の相場や算定基準

2024年6月30日

ファクタリングをご利用の際はファクタリング会社に対して「手数料」を支払わねばなりません。
この記事では、ファクタリング手数料の相場や目安をはじめ、どのように算定されるのか・手数料は定額なのか・手数料ダウンの交渉は可能か等、手数料に関する事柄を総合的に解説してまいります。

手数料の算定基準

相場の前に、まずはファクタリング手数料の算定基準を確認しておきましょう。
手数料が変動する大きな要因としては「ファクタリング方式」「支払期日」「売掛先の信用状況」などが挙げられます。

ファクタリング方式とは、いわゆる「2社間又は3社間ファクタリング」のことです。
2社間方式の場合、売掛金はファクタリング会社ではなく旧債権者であるファクタリング利用企業に対して支払われます。(3社間方式はファクタリング会社に直接支払われる。)
そのため、3社間方式よりも2社間方式の方がファクタリング会社にとってリスクが高い取引となり、手数料も高くなります。

信頼性の高い債権とは、簡単に言うと債務不履行の恐れが低い売掛金のことです。
例えば、大企業や国・地方公共団体若しくはそれに類する公益団体に対する売掛金(診療又は介護報酬・インフラ工事の請負代金等)といった債権は財政破綻が起きない限りは期日通りに決済されるため、非常に信頼性が高い債権と言えます。
このように「倒産寸前で債務不履行リスクの高い債権」と「支払われる蓋然性がある債権」があった場合、後者の方がファクタリング手数料は低くなります。

ファクタリング手数料の相場

2社間ファクタリングで「債権額の5~15%」・3社間ファクタリングで「債権額の1~10%」が手数料の相場です。
さらに、前述した通りファクタリングの方式や債権の内容・金額によっても変動します。

手数料だけを見ると3社間ファクタリングの方がお得ですが、同方式の場合は売掛先に債権譲渡の通知をしなければならないため、関係悪化を招く危険性があります。
一方で、国や地方公共団体に対する債権の場合はこのような心配が無いため、3社間によって取引を進めるのが一般的です。

ファクタリング会社には「得手不得手」があり、同じ債権であっても状況や金額で手数料が大きく異なります。

例えば、医療ファクタリングを専門に扱う業者に対し、建設業で得た売掛金の買取を依頼したらどうなるでしょうか。
もちろん対応はしてくれるかもしれませんが、建設業債権に関する知識が乏しいため、正当な評価を得られない可能性は十分に考えられます。

なお、手数料だけではなく、スピードや登記の要否も重要なポイントです。
そのため、ファクタリングをご利用の際は必ず3社以上から見積りを取り、条件を比較するようにしてください。

手数料重視か柔軟性重視か

ファクタリング会社が増えればユーザー側の選択肢も広がり、より自社にマッチするサービスを選択できるようになるのは言うまでもないでしょう。
また、価格競争の原理で手数料が低下し、粗悪な会社が廃業するという良い流れも起こっている一方で、ファクタリング会社の増加によって運営方針が二極化している傾向にあります。
大きく分けて「手数料重視型」「柔軟性重視型」があり、サービスの選定で悩んだ経験がある方も多いのではないでしょうか。

手数料重視のファクタリング会社は、手数料が非常に低い(一桁台)という特徴がありますが、買取可能な債権を厳選している傾向にあります。

つまり、事前にある程度の基準・フィルターを設けることで優良な売掛金のみを買い取ることができ、延いては手数料のダウンに繋がるという仕組みです。
資本力のある大中規模の会社が参入しているケースが多く、利用者側から見ても信頼性の高いサービスと言えるでしょう。

しかし、前述した通り審査条件は厳しく、契約率(申込みに対する審査通過率)が30%程度と低くなっています。
国・地方公共団体又は大手企業に対して有する売掛金をファクタリングしたいという方におすすめのサービスです。

一方で、柔軟性重視型のファクタリング会社は税金滞納がある・銀行とのリスケジュール中・売掛先の与信が芳しくないなど、ネガティブポイントがあってもできる限り審査に通るよう尽力する運営方針です。
30万円規模の少額買取・個人事業主でも利用OKなど、柔軟性の高さが大きな魅力であり、中には契約率90%を超えるファクタリング会社も存在します。

しかしながら、審査ハードルを下げる=債務不履行リスクの高い債権を扱うということになりますので、必然的に手数料が高くなってしまいます。
手数料重視の会社とは真逆と言えますが、他に資金調達の選択肢がない経営者にとっては正に救世主と言える存在ではないでしょうか。

手数料相場は下落傾向

二極化とは別に、全体的な手数料相場も下落傾向です。
ファクタリング会社の増加は価格競争を生み出し、2022年現在においては2社間方式で15%前後、3社間方式で5~10%が手数料相場となっています。

以前は20~30%という数字も珍しくありませんでしたので、1/2~1/3にまで下落したということになります。

さらに手数料を下げたいのであれば、3~5社に見積もりを依頼し、サービスの比較・交渉を行うと良いでしょう。
債権の金額によっては数十万円乃至は数百万の節約に繋がるかもしれません。

なお、手数料だけでなく振込スピードについても年々上がっています。
いくら手数料が低くとも、肝心の支払いに間に合わせることができなければ意味がないため、入金スピードも欠かせない選定ポイントです。

審査回答はもちろん、提出書類に問題がなければ即日中の振込も可能となっていますので、「手数料」「審査」「スピード」の3点から検討し、状況に合わせて使い分ける方法がベターでしょう。

ファクタリング手数料交渉の可否

交渉することで手数料を下げられる可能性があります。

もちろんファクタリング会社側の方針にもよりますが、上がる要素を下がる要素を押さえておけば交渉に応じてもらえる可能性をより高めることができますので、手数料交渉に使える材料やダウンの目安については知っておいても損はありません。
ここからは手数料交渉の可否やポイントを詳しく解説してまいります。

手形とは異なり、ファクタリングには譲渡人の担保責任がありません。
そのため売り手側よりも買い手側の方が不利な立場に置かれやすく、ファクタリング会社はリスクヘッジのために手数料を高く設定せざるを得ないのです。

逆に言えば、より信頼性が高く、債務不履行リスクが低い優良顧客であることを証明できれば、手数料を下げてくれる可能性が高まります。

では具体的にどのようなアピールをして交渉を進めたら良いのでしょうか。

ファクタリングを初めて利用する場合は、実績・信用といったバックボーンが一切無い状態で交渉を進めなければなりません。
そのため、売掛先や債権の信用力で勝負する必要があり、例えば「売掛先の事業規模が大きいこと」「過去の支払いが遅延していないこと」などが重要です。

加えて、反復継続して売上が得られる状況であれば、交渉次第では手数料を下げてくれる可能性が高まります。
例えば、建設業の長期的な工事・ホームページの継続した管理を委託されている等が挙げられ、「過去の入金履歴」「期間が明記された契約書」「工事計画」など、長期的な契約であることが証明できればベストです。

また、銀行融資や消費者金融などでの返済実績を示すというのも有効な手段です。
仮に返済リスケ中だったとしても、長期に渡る返済実績があれば「借りたものはしっかりと返してくれる人」と印象付けることができます。

交渉の際は「タイミング」にも気を付けるようにしましょう。
自己の都合しか考えない一方的な要求やファクタリング会社側の懐事情を無視した過剰なディスカウントは要求が通らないばかりか、面倒な顧客と烙印を押され交渉を拒絶されてしまうこともあります。

ファクタリング会社の立場・状況をしっかりと理解できれば、想像以上の手数料ダウンを勝ち取ることができるかもしれません。
ここでオススメの方法が「閑散期を狙う」という手です。

具体的に、ファクタリング会社は「毎月10日〜20日」の間が閑散期にあたり、延いてはファクタリング交渉を有利に進めやすいと言えます。
一方、多くの企業は月末(25日〜31日)に支払いが集中しますので、それに比例しファクタリングの需要も高まりますので、この間は交渉に適していません。(月末の支払いに間に合わず翌月初にファクタリングを検討するケースも多く見られ、月末ほどではありませんが毎月1〜10日頃も申し込みが多い時期です。)

さらに、ボーナス時期や年度末は企業にとっては何かと出費がかさむ時期です。
ファクタリングの需要も上がるため、業界の繁忙期と言える時期でしょう。
ファクタリング会社側は「他の申込みに力を入れる」という選択肢があるため、同時期の手数料交渉はオススメできません。

可能であれば、繁忙期に入る前又は終わったタイミングを狙うのが得策です。
しかしながら、いくら優良顧客だとしても赤字を被ってまで買取を実施するファクタリング会社は存在しません。

まずはファクタリング会社側の懐事情を把握して交渉に望むことが重要です。

ファクタリング契約において、3社以上(できれば5社)から見積りを取ることをオススメいたします。

手順としては、

(1)3~5社に買取額を提示してもらう
(2)条件が2番目に良い会社に1番良い条件を見せる
(3)1番の会社を上回る買取額なら決定
(4)2番目の会社の条件が変わらなければ1番目の会社に依頼
という形が最もスマートでしょう。

なお、キャッシュが不足してしまうと冷静な判断能力を失ってしまい「今決めてくれるなら手数料○%にしますよ」といった提案についつい乗ってしまいがちです。
もちろん時間的な制約もありますが、提出書類は各社ほとんど同じであり、申込みや見積もり依頼の手間はさほど変わりません。

100万円の買取でも、5%変われば5万円のコスト削減に繋がりますので、いかなる状況であっても相見積は必ず実施するようにしてください。

また、原点に立ち返り「3社間ファクタリング」を再検討してみるというのも一つの手です。
2社間ファクタリングに比べて手数料が大きく下がるため、相手方への通知や承諾が可能なのであれば利用しない手はありません。

見積りの際に3社間方式の場合の手数料を併せて記載してもらうなど、検討の余地を残しておいても損はないでしょう。

ファクタリング実務では300万円を超える案件は「高額案件」として扱っています。
各ファクタリング会社で基準は異なりますが、前述した利用額割合を考えても300万円を一つの基準と見ていただいて差し支えありません。

もしも300万円を超える債権の売却・早期現金化をお考えであれば、ぜひ手数料を強気に交渉してみてください。
2社間ファクタリングであれば10%以下、3社間ファクタリングであれば5%以下にまで下げられる可能性が高いです。

また、多少の手間はかかりますが相見積もりも必ず実施するようにしましょう。(A社は◯%だったのでもっと安くできないか等)
ファクタリング会社としても高額案件は喉から手が出るほど欲しい案件です。

仮に300万円の債権だった場合、手数料が1%変われば3万円ものコストダウンに繋がりますので、是非積極的かつ強気に交渉しましょう。