ファクタリングとは?仕組み、種類、注意点を解説

2024年7月21日

ファクタリングとは、売掛金をファクタリング会社に買い取ってもらい資金調達するサービスです。また、売掛金の回収保証をしてくれる保険型のファクタリングも存在します。売掛金を買い取るサービスの方を買取ファクタリング、回収保証のサービスを保証ファクタリングと呼びます。両者の違いについては後で詳しく解説します。

ファクタリングの種類~買取型と保証型~

ファクタリングには「買取型」と「保証型」の2種類があります。売上債権(売掛金や受取手形)を買い取ってくれるファクタリングを「買取ファクタリング」または「買取型ファクタリング」と呼び、売掛金の回収を保証してくれる保険のようなサービスを「保証ファクタリング」または「保証型ファクタリング」と呼びます。それぞれについては、以下でくわしく解説します。

買取ファクタリング:売掛債権を譲渡して資金調達する

買取ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社へ債権譲渡して早期に現金化できるサービスです。資金調達を目的に利用されています。買取型では、保有している売掛債権をファクタリング会社へ売却し、手数料などを差し引かれた代金を受け取って資金調達します。たとえば、建設業の企業が工事を受注したものの、仕入の支払に運転資金が足りなかったとします。そういった場合に、売掛金をファクタリング会社へ譲渡して早期に資金化し、その代金を支払に充てるといった事例があります。なお、ファクタリングと言えば一般的には「買取型」のため、本記事での解説も買取型ファクタリングを中心にしています。特に触れない場合は、ファクタリング=買取ファクタリングとして読み進めてください。

保証ファクタリング:貸し倒れリスクを回避する

保証ファクタリングとは、売掛債権の貸し倒れのリスクを回避できる保険のようなサービスです。買取型とは違って資金の調達を目的としていません。万一、取引先の倒産などで売掛金が回収できなくなった場合には、保証ファクタリング会社が保証金を支払ってくれます。ファクタリング会社が取引先を信用調査して保証の枠を決め、その枠内の金額であれば、売掛債権の保証をしてくれるのです。保証型のファクタリングの利用には、保険料のような利用料が発生します。

また、日本ではなく海外との貿易で発生した売掛債権を保証する「国際ファクタリング」という保証ファクタリングも存在し、大手金融機関のグループ企業などから提供されています。

ファクタリングのメリットとデメリット

ファクタリングには長所と短所があります。両方とも理解したうえで利用しましょう。

ファクタリングのメリット

中小企業や個人事業主がビジネスで必要な資金を調達する場合、その主な手法は銀行などからの融資です。ファクタリングは、融資に比べると様々なメリットがあります。

負債を増やさず資金調達できる

ファクタリングは銀行などからの借入金(融資、ローン)ではなく、利用しても負債は増えません。確定している売掛債権という資産が、手数料などの諸経費を引かれて、預金などの現金という資産で戻ってくるイメージです。その過程で負債は出てきませんので、ファクタリングなら負債を増やさずに資金を調達できます。

担保や保証人が必要ない

中小企業や個人事業主が金融機関から融資を受ける場合、担保や連帯保証人を求められるケースが非常に多いのは、よくご存知だと思います。ファクタリングであれば、不動産などの担保や保証人の提供は不要です。ファクタリングでは、売掛先の信用力が主な審査対象となるため、中小企業や個人事業主でも審査に通りやすくなっています。

スピーディーに資金調達できる

融資の場合、金融機関側での信用調査などで時間がかかるため、資金調達には数週間かかることもあります。一方、ファクタリングの場合は、2者間ファクタリングなら最短即日で、早ければ数時間以内に入金してもらえます。緊急の資金需要があった場合には、ファクタリングが有効な手段になるでしょう。

売掛先が倒産しても返済は不要

ファクタリングは手形の割引と近い感覚ですが、償還請求権や買取請求権がないため安心です(ノンリコース)。万一、売掛先が倒産するなどして、売却した売掛金が回収不能になった場合でも、売却代金を返金するなどの義務は生じません。ファクタリングは金銭消費貸借契約ではなく、売掛債権の売買契約です。

赤字、債務超過、税金滞納でも利用できる

金融機関からの融資の場合、経営者や会社の信用情報が与信の審査に影響します。そのため、信用情報がブラックの場合、融資を受けるのは困難です。ファクタリングであれば、主に審査されるのが取引先の信用度のため、自分が赤字決算、債務超過、税金滞納でも利用できます。信用能力に自信がない方にも、ファクタリングは適しています。

業種や業態を問わずに利用できる

ファクタリングは、業種に関係なく利用できます。前述の建設業や、製造業、小売業、運送業、人材派遣業、学習塾、広告代理店など、様々な業種・業態の方が利用可能です。

個人事業主でも契約できる

従来のファクタリングは、法人向けのサービスがほとんどでした。しかし、最近のファクタリングは、個人事業主やフリーランスの方でも活用できるサービスが増えています。ただし、個人事業主も利用できるファクタリングであっても、売却できる売掛金は「法人あての売掛金」のみのファクタリングが大多数です。個人から発注を受けた仕事の売掛金を売却できるファクタリング会社は、めったにありません。

ファクタリングのデメリット

続いて、ファクタリングの短所についても解説します。

手数料が割高だと収益に悪影響が出る

ファクタリングの売買手数料は費用のため、高額な手数料を取られると利益が大幅に減少してしまいます。必ず、適切な手数料のファクタリング会社と取引しましょう。

依存すると資金繰りが悪化する懸念がある

前述のとおり、ファクタリングを利用すると手数料などの諸経費がかかる分、利益が減少します。そのため、ファクタリングは便利な手法ですが、依存すると資金繰りが悪化する危険性があるため、むやみに利用すべきではありません。金融機関からの融資など、他の資金調達手段も常に検討したうえで、急な資金需要があった場合など、最適なタイミングでファクタリングを活用しましょう。

悪徳事業者が存在する

ファクタリングにかぎらない話ですが、お金が関わるところには、悲しいかな悪徳業者も集まってきます。本記事の中でも解説しますが、悪徳業者の見分け方を参考に、トラブルに巻き込まれないように十分に注意してください。

土日祝日または夜間に資金調達しにくい

ほとんどのファクタリング会社は、営業時間が平日の昼間のみで、夜間や休日の審査と入金に対応していません。そのため、日中は忙しくファクタリングを利用する暇がない方にとっては、ファクタリングは利用しにくい手法とも言えます。ただし、ファクタリング会社のごく一部が、休日または夜間にも応対してくれていますので、以下の記事で紹介しています。参考にしてみてください。

ファクタリングの手数料の相場

ファクタリングで資金調達する場合は、売掛債権の売却代金から手数料が差し引かれます。その手数料の料率しだいで、受取金額が変わります。手数料の相場は、3社間ファクタリングは1.0~9.0%で、2社間ファクタリングは10~20%だと言われています。
なお、手数料を決める要素は、主に売掛先の信用度です。または、継続して同じファクタリングサービスを使った場合に特典があったり、ファクタリング会社によっては他社からの乗換キャンペーンで手数料を優遇していたり、といった内容も影響します。できれば、複数の業者に相見積もりをとって、受取額を比べましょう。

ファクタリングが役に立つ場面

ファクタリングがビジネスで役に立つケースを、いくつか紹介します

大規模な案件を受注できるチャンスがめぐってきた

建設業なら大規模な工事を受注できる機会があったり、システム開発なら大規模な案件を受託できる話がきたりと、嬉しい話が舞い込んできたとします。しかし、大規模なプロジェクトになると外注先への支払などもかさむため、多額の資金が必要になる場合がほとんどです。そこで取引のある金融機関へ追加融資の相談を持ちかけたのですが、枠がないという理由で断られてしまいました。こんな時にも、売掛金を譲渡して早期に現金化して必要な資金を調達し、ビジネスを大きく成長させられる可能性があります。

業績不振で融資を受けられなくなった

ビジネスの業績が悪化し、銀行からの追加融資を受けられなくなることがあります。それでも取引先への支払や、従業員の人件費、家賃の支払は待ってくれません。そういった時に、ファクタリングを活用して売掛金をすぐに現金化し、当面の間をしのぐことができる可能性があります。ファクタリングで審査されるのは売掛先のため、自分の会社が赤字決算、税金滞納でも問題なく利用できるからです。

売掛金の入金が遅れることが発覚した

ビジネスにおいては、あてにしていた売掛金の入金日が遅れてしまうことがあります。たとえば、自社の納期が当初より遅れたり、取引先側の都合で納品日が先延ばしになったりなど、その理由は様々です。そんなときに、ファクタリングが役に立ちます。別の取引先あての売掛金を売却して早期に資金を調達し、不足していた資金の埋め合わせをできる可能性があります。※請求書を発行した後に、支払期限より入金が遅れることが分かった債権は不良債権なので、ファクタリング会社では買取対象外です

ファクタリングでの資金調達にかかる時間

ファクタリングで資金調達にかかる日数は、契約方式によって異なります。2社間ファクタリングであれば即日から数日以内に入金してもらえ、最速だと数時間で資金調達が可能なサービスもあります。3社間ファクタリングの場合は、売掛先への通知または承諾が必要なため、最短翌日から数週間かかります。

急ぎの資金需要がある場合は、2社間ファクタリングの方が便利です。また、クラウドサインなどの電子契約を採用しているファクタリング会社であれば、契約手続きがweb上で完結できるためスムーズで、個人情報保護などのセキュリティの観点でも安心です。インターネット上でのやりとりに不安がある方であれば、ファクタリング会社の事務所を訪問したり、郵送で契約したりという方法もあります。

ファクタリング利用時の注意点

利用するにあたっては、売掛金を売却して資金調達する買取型と、売掛金の回収不能リスクを補償する保証型とで注意点が異なります。事前によく確認しましょう。

買取型の注意点

まずは、一般的なファクタリングである、買取型ファクタリングの注意点について解説します。

・契約書に債権譲渡禁止の記載がないか
改正民法により、契約書に債権譲渡禁止特約が記載されている場合でも、債権譲渡禁止の効力は有効になるとされています(改正民法の前は、債権譲渡が無効とされていました)。そのため、債権譲渡禁止特約が契約書に書かれていても、売掛債権を譲渡すること自体は問題はないと考えられます。ただし、債権の譲受人(ファクタリングで言うとファクタリング会社)が、譲渡制限について悪意・重過失である場合には、債務者(ファクタリングで言うと売掛先)が譲受人に対しては債務の履行を拒むことができる、とされています。悪意・重過失であるか否かの立証責任を負うのは債務者です。以上を踏まえると、譲渡制限つきの売掛債権の譲渡は避けた方が無難でしょう。

・契約方式の違いを理解する
2者間と3者間の違いを十分に理解しておく必要があります。その上で手数料の負担、取引先との関係を考慮し、自社の状況に合わせて選択しましょう。

・買取手数料が高すぎないか
資金繰りの改善のためにファクタリングを利用するなら、手数料が高すぎると受け取り代金が減ってしまい効果がなくなります。最低限、相場の範囲内の手数料で契約しましょう。3社間ファクタリングの手数料の相場は1.0~9.0%で、2社間ファクタリングの相場は10~20%です。ただし、昨今は手数料が非常に安い2社間ファクタリングも登場しており、本記事でも手数料の低い

・不良債権は対象外
すでに支払の期日を過ぎている不良債権は買い取ってもらえません。

・売掛債権の全額は買い取ってもらえない場合がある
買取型の場合、売却したい売掛債権の全額ではなく、一部のみが買取対象になる場合があります。その割合を「掛目(かけめ)」と呼び、たとえば売掛債権が100万円で掛目が90%の場合、買取対象になるのは90万円(100万円✕90%)です。