ファクタリングと電子手形の違いからそれぞれのメリットを紹介

2023年10月24日

ファクタリングも電子手形、どちらも債権譲渡による取引であり、便利なサービスです。しかしそれぞれメリット・デメリットがあり、最適な利用シーンも異なります。両者の違いを押さえて、債権譲渡を成功させましょう。

この記事では、電子手形とファクタリングの概要や具体的な違いを紹介します。債権を現金化する際の参考にしてください。

ファクタリング、電子手形とは?

ファクタリングと電子手形、それぞれどのようなものなのでしょうか。

ファクタリング:売掛債権を譲渡し資金調達する方法

ファクタリングは、売掛債権を第三者に譲渡し資金調達できる方法です。特別な審査を受けることなく、支払い期日前に売掛債権を現金化できます。債権者・売掛先・ファクタリング事業者間での合意による売買契約となりますが、現金化までのスピードは迅速です。ただし現金化する際は、事業者が決めた手数料を支払う必要があります。

電子手形:電子記録債権法に基づいた決済サービス

電子手形とは、電子記録債権法に基づいて手形決済を行えるサービスのことです。「でんさい」と呼ばれることもあります。

電子手形は、紙の手形を発行する必要がないため管理しやすく、印紙税の支払いも必要ありません。電子手形割引や電子手形譲渡など、各種債権取引を電子媒体で簡単に行えます。100万円の手形を50万円分割り引くなど、手形の一部を現金化することも可能です。盗難や紛失の恐れもないため、セキュリティ的にも安心です。

ファクタリングと電子手形の違いは?

ファクタリングと電子手形にはいくつか違いがあります。特にポイントとなる点を紹介します。

債務者が支払できないときの保証リスク

ファクタリングでは多くの場合、売掛先が倒産しても貸し倒れが生じません。しかし電子手形は、発行会社が倒産すると債権者に支払い義務が移行します。

このようにファクタリングと電子手形では、債務者が支払できないときのリスクが異なります。

取り扱う債権の種類

電子手形では「電子債権」を、ファクタリングでは「売掛債権」を扱います。

電子債権はシステム上で売買する新しい債権ですが、売掛債権は売掛金や給与など昔から使われている債権です。従来の債権をよりスムーズに取引できるようにした債権が、電子債権といえるでしょう。まだまだ導入している企業が少ない電子債権ですが、その利便性から今後どんどん広がっていくと予想されます。

ファクタリングと電子手形の共通点は?

決済サービスと資金調達手段、まったく異なるサービスにも関わらず混同してしまうのは、どちらも債権を譲渡して現金化するためです。電子手形は電子債権を、ファクタリングは売掛債権を、それぞれ支払期日前に換金できます。

ファクタリングと電子手形のどちらが最適?

電子手形とファクタリングは、それぞれメリット・デメリットがあるため、状況に応じて使い分けましょう。

まず、安全に債権を現金化したいなら、ファクタリングがおすすめです。売掛先が倒産しても貸し倒れにならない仕組みがあるからです。

スムーズに取引を進めたいなら電子手形がおすすめです。電子手形はシステム上で決済できるため、契約締結までの手間がかかりません。ファクタリングでは取引の時に契約を結ばなければならず、面倒な事務作業も発生します。

なお、債権を譲渡したことを売掛先に知られたくない場合は、2社間ファクタリングを利用しましょう。2社間ファクタリングなら、債権者とファクタリング事業者間のみの契約となり、スムーズに債権を現金化できます。

両者の違いを理解して自社にあったサービスを導入しよう

電子手形は、電子記録債権法に基づいた決済サービスです。一方ファクタリングは、売掛債権を譲渡して資金調達する方法になります。いずれも債権を期日前に現金化できますが、ファクタリングの方は貸し倒れのリスクを回避可能です。一方、電子手形には契約をスムーズに締結できるという特長があります。

両者の違いを理解したうえで、自社にあったサービスを導入しましょう。