ファクタリングにおける「期日」「振込」の違いとは?その仕組みと注意点を徹底解説
2025年6月25日
近年、多くの中小企業や個人事業主が資金繰りの改善策として活用している「ファクタリング」。売掛金を早期に現金化できる手段として注目されていますが、ファクタリングの実務において「期日」と「振込」の違いを理解しておかないと、資金計画にズレが生じる恐れがあります。
この記事では、ファクタリングの基本的な仕組みを押さえたうえで、「期日」「振込」というキーワードの違いを軸に、実務上で気をつけるべきポイント、利用の際の注意点を詳しく解説します。
1. ファクタリングとは?改めて仕組みを確認
ファクタリングとは、企業が保有する「売掛金(未回収の請求書)」をファクタリング会社に売却し、入金期日前に現金化する資金調達方法です。
ファクタリングの基本構造
・売掛先(得意先)に対する請求書(売掛金)をファクタリング会社に譲渡
・ファクタリング会社が、売掛金の額面から手数料を差し引いて先に入金
・売掛先は従来通りの支払期日に、ファクタリング会社へ支払いを行う(3社間の場合)
つまり、売掛先の「支払期日」を待たずに、自社は「ファクタリング会社からの振込」を受け取ることで、資金を早期に確保できるのです。
2. 「期日」と「振込」の違いとは?
ファクタリングにおける「期日」と「振込」は混同されやすいですが、実際にはまったく異なるタイミングを指します。それぞれの意味と違いを明確に理解しておきましょう。
「期日」とは?
ここで言う「期日」とは、売掛先(得意先)が支払う予定の日=請求書に記載されている支払期日のことです。
例:
請求日:2025年5月1日
支払期日:2025年6月30日
⇒この場合の「期日」は6月30日。
この期日に、売掛先がファクタリング会社へ直接振り込む(3社間)、または自社が一旦回収してファクタリング会社に返済する(2社間)形になります。
「振込」とは?
ここで言う「振込」とは、ファクタリング会社から自社へ資金が入金される日のことです。これは、売掛金の譲渡が完了した後、通常即日〜数営業日以内に行われます。
例:
ファクタリング申し込み:2025年5月10日
審査・契約完了:2025年5月11日
⇒この場合の「振込」は5月11日または12日(即日もあり)。
3. ファクタリングの種類による「期日・振込」の違い
ファクタリングには主に「2社間」と「3社間」の2種類があります。それぞれで期日と振込の扱いが微妙に異なります。
① 2社間ファクタリング
【関係者】自社とファクタリング会社のみ
【特徴】売掛先に知られずに資金化できる
期日:売掛先が支払う期日は変わらない(通常通り)
振込:ファクタリング会社が審査後、即日~数日以内に自社へ振込
注意点:売掛金が回収できなければ、自社がファクタリング会社へ返済する必要がある
② 3社間ファクタリング
【関係者】自社・ファクタリング会社・売掛先の三者で契約
【特徴】売掛先がファクタリング会社に直接支払い
期日:売掛先が支払う日(請求書に記載の期日)
振込:契約完了後、ファクタリング会社から自社へ早期振込(数日内)
注意点:売掛先の承諾が必要なため、手続きに時間がかかる場合がある
4. 実務上の注意点:期日と振込のタイムラグ
ファクタリングを利用する際、特に重要なのは「実際に資金が振り込まれるまでのスケジュール感」です。
タイムラグの例(2社間ファクタリング)
日付:内容
5月10日:ファクタリング申し込み
5月10日:書類提出・審査開始
5月11日:契約締結・即日入金(15時までに手続き完了)
6月30日:売掛先からの入金
7月1日:自社がファクタリング会社に弁済
※この場合、自社には5月11日に資金が入り、6月30日までに返済義務が生じる可能性あり。
よくある誤解とトラブル
・「期日に入金がある」と思っていたが、実際はファクタリング会社の振込日が数日後で資金繰りに間に合わなかった
・15時以降に契約が終わってしまい、翌営業日まで入金がずれ込んだ
・月末に申し込んだが、銀行の締め切りに間に合わず入金が月をまたいだ
このような事態を防ぐために、「期日=売掛先からの支払い日」、「振込=自社が資金を得られる日」と明確に区別しておくことが必要です。
5. 資金計画に活かすためのポイント
① 資金が必要な日から逆算して申し込む
例えば、5月15日に仕入れ代金の支払いが必要な場合、5月13日~14日までに資金が入金されるよう、5月11日頃にはファクタリング申請を行うのが理想です。
② ファクタリング会社の営業時間に注意
多くのファクタリング会社は平日9時~18時までの対応です。即日振込を希望する場合は、午前中までに申し込みを完了させるのが鉄則です。
③ 書類準備を前もって行っておく
迅速な振込を受けるには、必要書類(請求書、取引先情報、通帳コピー、登記簿謄本など)をあらかじめデジタルで管理し、いつでも提出できる状態にしておくとスムーズです。
6. ファクタリングを安全に活用するために
「期日」と「振込」の違いを理解したうえで、ファクタリングを安全に、かつ効果的に使うためのアドバイスを紹介します。
信頼できる会社を選ぶ
・手数料の明示
・振込までの所要時間
・柔軟な対応時間(営業時間外のサポート体制など)
金利と手数料を比較検討
特に即日振込を希望する場合、手数料が割高になる傾向があります。急ぎでない場合は複数社を比較するのが賢明です。
利用しすぎに注意
ファクタリングは資金繰りを改善する有効な手段ですが、繰り返し利用すると本来の収益が圧迫されてしまう恐れもあります。あくまで「一時的な資金繰りの補助」として活用するのが基本です。
まとめ
ファクタリングにおける「期日」と「振込」は似て非なるものです。
期日:売掛先が支払う予定日(請求書上の締め日)
振込:ファクタリング会社が自社に資金を振り込む日(早期現金化の実現日)
この2つをしっかりと理解しておくことで、より精度の高い資金繰り計画が立てられ、トラブルや資金ショートを防ぐことができます。
ファクタリングを正しく使えば、売上拡大、新規投資、信用向上など多くのメリットを享受できます。時間の管理、期日の把握、振込タイミングの見極めを、ぜひ実務に活かしてください。