ファクタリングの割引料とは|分かりやすく解説

2023年10月4日

お金のやりとりにおいて「割引」は立場によってはとてもありがたいものです。
ファクタリングをご検討の際やファクタリング会社から説明を受けた際に、「割引」という言葉を見かけた又は耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。
割引・割引率・割引料など、表現は若干異なりますが、結論から申し上げますと「手数料」と同義と考えていただいて差し支えありません。
今回は、割引という言葉が用いられるようになった経緯や、ファクタリングにおける手数料の相場や算出方法について解説します。

なぜ割引という表現が使われるのか

割引という言葉は「手形取引」において特に多く用いられています。
手形(約束手形)とは「●年●月●日に●●円を支払います」と約束をした証書のことで、期日の満了をもって現金との交換が可能となります。
また、手形は金融機関で期日前に現金に換えることもでき、こちらの取引を一般的に「手形割引」といいます。
この際に支払う手数料のことを「手形割引料」と呼び、割引率や額面などによって決定されます。(一般的には「手形額面×手形割引率÷365×割引実行日から支払期日までの日数」で算出される)
ファクタリングは手形割引と取引の内容や流れがよく似ているため、ファクタリング手数料のことを割引料と呼ぶ業者が多く見られますようになりました。
したがって、ファクタリングで割引という言葉が出てきた際には「手数料に関係しているのだな」とお考えいただければと思います。

ファクタリング割引料(手数料)の相場

ファクタリング手数料については「ファクタリングのコスト」で詳しく解説しておりますが、おさらいも兼ねて基本的な箇所のみ改めてご説明してまいります。
ファクタリングは、ファクタリング会社が債権者から売掛債権を買い取り、額面との差額で利益を得るという金融取引であるため、当然ですが額面で買い取ってしまっては利益が生まれません。
そのため、ファクタリングの契約には必ず割引率(手数料)が設定されています。
手数料は、債権の金額や期日、ファクタリング会社毎の設定によって異なり、低いものだと1%、高いものだと20%程度になる場合があります。

一括割引方式・個別割引方式とは

売掛債権の買取代金の支払方法(ファクタリング会社からファクタリング利用者に支払われるお金)には「一括割引方式」と「個別割引方式」の2つがあります。
一括割引方式とは、譲渡承諾日か指定した期日にファクタリング会社が売掛債権全額を支払う方式のことです。
例えば、1,000万円の売掛債権のうち50万円が手数料である場合に、手数料を差し引いた950万円が指定日に入金されます。
一括割引方式は事務コストが少なく、キャッシュを一度に受け取ることができるため、ほとんどのファクタリング取引で用いられている支払方法です。
一方、個別割引方式とはファクタリング利用者が自由に譲渡額や譲渡日を定められる支払い方法です。
予めファクタリング会社と契約をしておくことで、資金が必要になったタイミングで「契約しておいた債権を一部譲渡する」などの使い方ができます。(例えば、契約を結んでいた金額が1,000万円であれば、その内の500万円をファクタリングする等)
いくら買い取ってもらうか、いつ入金してもらうかを契約内で自由に設定できる一方で、一括割引方式よりも割引率が高くなるデメリットがあります。

取引方法で大きく変動

特に、ファクタリング手数料は取引方法によって大きく変動します。
ファクタリングの取引方法には2社間方式と3社間方式の二種類があり、簡単にいうと前者が債権者とファクタリング会社でおこなわれる取引、後者が債権者・債務者・ファクタリング会社で行われる取引です。
両者では割引料延いては手数料の相場が異なり、同債権と同取引相手だった場合、2社間方式に比べると3社間方式の方が手数料は低くなります。
相場でいいますと、2社間方式(2社間ファクタリング)であれば5~20%、3社間方式(3社間ファクタリング)であれば1~10%が目安と言えるでしょう。

3社間方式の場合、売掛金は直接ファクタリング会社へと支払われるため、ファクタリング会社側から見ると「旧債権者の債務不履行リスク(売掛金が使い込まれてしまう・持ち逃げされてしまうなど)」がなく、2社間方式よりも低い手数料でのご利用が可能です。
他にも「利用者の評判や経営状態が良い」「取引実績がある」「売掛先の信用度が高い(上場企業や公共団体など)」などの要因によって手数料が下がることがあります。
このようにファクタリングの割引率はリスクや信用などを総合的に判断して決定され、回収不能リスクが高ければ割引率も高く、逆にリスクが低ければ割引率も低くなると考えていただいて差し支えありません。

ファクタリング手数料と消費税

ファクタリングは売掛金という名の資産の売買ですので「消費税(財やサービスの消費で発生する税金)はかからないのか」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
結論から申し上げますと、金銭債権の譲渡は課税対象にならないとされておりますので、ファクタリング取引(手数料も含む)では消費税は一切かかりません。

ただし、もともとの売掛債権、つまり「売上」には消費税が発生しています。
売上を計上した時点でその分の消費税も発生しているので、売掛金として回収してもファクタリング契約で現金化しても、最終的に納付する消費税額に違いはありませんのでご注意ください。
万が一、ファクタリング会社から消費税を請求された場合、同社は悪徳業者の可能性が高いため取引を中止するようにしてください。

まとめ|仕組みを知り賢くファクタリング

このように、ファクタリングの割引率は「取引方法」「債権の性質」によって変動します。
売掛債権をいくつかお持ちであれば、大手企業に対して有する債権を利用する、期日の近いものを使う等の工夫を施すことでお得にファクタリングできる可能性があります。(どの債権を使うべきなのかが分からないという方がほとんどかと思いますので、ファクタリング会社側としっかりと相談した上で判断すると良いでしょう。)
また、売掛先が都道府県や市区町村などの場合は3社間ファクタリングを活用する、同じファクタリング会社を使うことで利用実績を積むなども割引率を下げるのに有効です。
手数料や割引率の仕組みを理解し、より賢くファクタリングを活用しましょう。