ファクタリングで滞納するとどんな処分を受けるのか?
2025年1月6日
入金サイクルを短縮できることから、売掛債権を売却して資金調達する手法であるファクタリングを活用している方も多いのではないでしょうか。
便利な手法とはいえ、ファクタリング会社へ返済ができず適切な対応を怠った場合は、民事訴訟に発展しかねないため注意が必要です。
滞納するとどうなる?
ファクタリングで滞納すると、次のような処分が考えられます。
遅延損害金の請求、取り立て、 刑事事件に発展する可能性。
ファクタリングで滞納を無視し、延滞損害金も支払わない場合は、相手(ファクタリング会社)をだましてお金を支払わせたということで詐欺罪に問われる可能性があります。詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。
また、支払い延滞により売掛債権がなくなる場合は、存在しない請求書を偽造したということで「私文書偽造罪」や「公文書偽造罪」で告発される可能性もあります。
そもそもファクタリングとは?
ファクタリングは、売掛債権をファクタリング会社に売却する資金調達方法です。
ファクタリング会社は信用情報機関に加盟していないため、ファクタリングを利用しても信用情報には影響しません。
また、ファクタリングは負債ではなく売却扱いとなるため、決算書上の負債が増えず、財務状況を健全に保つことができます。
返済が滞る主な事例
回収した売掛金をファクタリング会社に返済できなくなってしまうケースも少なくありません。ここでは、返済が滞る事例を確認しておきましょう。
返済金を別の支払いに使用してしまう
売掛先から売掛金の支払いを受けたら、本来であればそのお金はファクタリング会社への返済に充てなければなりません。しかし、この返済金を事業資金やその他の支払に使用してしまうケースも多々見受けられます。
もともとファクタリングを利用する会社は手元に資金がほとんどなく、ファクタリング会社への返済期日に他の返済も重複しているケースも少なくありません。さまざまな支払いを抱えていて、売掛先から入金された売掛金が返済金であるにもかかわらず別の用途に使い込んでしまい、返済できなくなってしまうのです。
売掛先の経営状況が悪い
売掛先の経営状態が悪く売掛金の入金が滞ったり、倒産によって売掛金の回収自体ができなかったりすることで貸し倒れが生じるケースもあります。ファクタリング会社に売掛債権を譲渡しているため、売掛先から売掛金を回収できなくても利用者が責任を負う必要はありません。ただし、「償還請求権」のある「リコースファクタリング」の場合は、売掛金を回収できないときは返済する義務が生じます。
ファクタリング会社を選ぶ際は、償還請求権のない「ノンリコースファクタリング」の契約をできるか必ず確認してください。なお、「リコースファクタリング」は融資として扱われるため、この契約を締結できるのは貸金業登録をしているファクタリング会社のみです。貸金業登録をしていないファクタリング会社であるにもかかわらず「リコースファクタリング」を提示された場合は違法な業者である可能性が考えられるため、契約しないようにしましょう。
ファクタリング手数料が高い
ファクタリング会社から支払われる売却代金は、手数料を差し引いた金額となります。契約している会社の手数料が高いと、その分現金化できる金額が少なくなってしまいます。特に金額の大きい債権の場合はその差額が顕著で、結果的に、売掛先から売掛金を回収して返済してもマイナスになります。マイナスとなるファクタリング契約を繰り返し行った場合、手元に資金が残らなくなり返済が滞ってしまうのです。
ファクタリングの返済が停滞しないための対策
ファクタリングは原則として返済の延長や分割払いができず、支払期日に一括で支払わなければなりません。ここでは、返済が滞らないようにするための対策を6つご紹介します。
資金繰りに少しでも余裕がある場合は、キャッシュフローの改善を試みましょう。
キャッシュフローを改善する方法は以下のとおりです。
● 利益を出す
売上を増やす、原価を下げて粗利益を増やす、販売管理費を削減することで確実に利益を計上できるようにしましょう。計上した利益は確実に資金となって企業にリターンできるような対策を講じることが重要です。
● 売上債権を減らす
売上を維持しつつ、売掛金や受取手形を減らすようにしましょう。
● 在庫を減らす
商品や製品、材料、仕掛品、貯蔵品、半製品などの余剰在庫を減らしましょう。
● 買入債務と売上債権バランスを考える
仕入先への支払いを早めることでコストダウンや有利な条件での仕入れができないか交渉しましょう。
● 遊休固定資産を処分する
過剰な遊休固定資産は固定資産を購入するための借入金だけが生じるため、早期に売却しましょう。
● 自己資本を増やす
増資する、配当を抑制するなどして利益の社外流出を抑えましょう。