法人・個人事業主向け対面契約希望でファクタリングを行うために確認したいこと

2024年8月28日

中小企業から有用な資金調達の手段として耳目を集めているファクタリングですが、少し検索するだけでも多くのファクタリング業者が存在することが分かります。このなかからどのファクタリング業者と契約すればいいのか、利用するに際してのリスクはあるのかなどを懸念している経営者の方は多いかと思います。

ファクタリングの契約は大きな金額が動くとても重要なものですから、ポイントを踏まえてなるべく自社に優位な契約をしておきたいところですよね。当記事では、ファクタリング契約における注意点などを解説していきます。

契約時は対面を希望し、また条件を何度も確認しましょう

契約の締結はどのような形のファクタリングであっても実施されます。契約日に先だって、審査に通過した旨がファクタリング会社からメールや電話などで届きます。

この時点から、契約の詳細を尋ねるようにし、条件を何度も確認しておきましょう。請求書に記載されている金額のうち、どの程度の割合で買取を実施するのか、それとともに金額自体についても尋ねておきましょう。業者によってまちまちなのですが、譲渡した売掛金の金額と書面上の金額との差異がファクタリング会社の手数料に相当するものとなります。
そして、契約に際しては諸々の費用を要しますので、どのような名目があるか、各名目でどの程度の費用を要するのかについても確認しましょう。もし、この点につき疑義が生じるようであれば、ネットでの調査や契約書に強い人間に相談するなどし、得心できないようであれば断念することも考慮のうちに入れておきましょう。

ファクタリングは売掛債権契約なのですが、契約に至るにはこれ以外にも別途契約を要するのか否かについても尋ねます。そして、対面する際にどのようなものを携行していけばいいか、どのような使いみちであるかも確認しておきましょう。以上のものに納得した上で契約に至る、という流れになっています。
なお、ファクタリングの契約は対面で行うことが一般的です。そのため、対面での契約を希望している旨をファクタリング業者へ伝えるようにしましょう。ファクタリング業者の多くが都市部に所在していることから、地方在住の会社経営者は自ら赴くか、業者に出向いてもらうかを選択することとなります。

この点、手続を郵送で行うことを希望する利用者も少なくないのですが、ファクタリングでは相当な大金の扱いがあることからすれば、対面のほうが適しているといえます。

そして、ファクタリングとは債権譲渡契約であり、これにともなう債権譲渡登記手続も行わなければなりません。しかも、かかる登記手続を受理できるのは、現在のところは東京法務局のみですから、いずれにせよ地方在住の経営者は東京まで赴くことが通常です。ただ、ファクタリング業者がグループで運営しているのであれば、東京まで赴かなくて済む場合もあります。
契約書類の説明を受け、控えをもらいましょう
ファクタリングの契約締結時点では、必ず契約書の説明を受けておきましょう。どのような契約でも該当するのですが、資金を得る側からすれば、資金を拠出する側の心象を害したくない旨の意図がありがちです。そして、契約書に記載された文言が難解な用語であることからなかなか理解に至らないこともあることかと思われます。

しかしながら、契約が何であるかが理解できないまま当該契約を締結することは、一般の消費者と違って法的保護にあまり期待できない経営者としては特に避けておくべきです。そのため、今まさに締結しようとしているファクタリング契約がいかなるものか、必ず徹底して説明を受けることが重要です。説明を理解した上で、契約条項のうち、破綻している部分や理不尽な部分がないかについても、必ず確認しておきましょう。

ファクタリングの利用に際して作成される契約書に関して、種々の問題点が報告されているようですが、なかでも上記のような説明がなされないこともそのうちの一つです。説明を求めたにもかかわらず、これを拒否する業者は悪徳業者である可能性が高いといえます。
契約書に押印後、その控えは必ず受け取っておきましょう。もし控えがなければ、一方的に優勢な契約を履行することが可能となってしまうために、利用者としては必ず控えを受け取っておく必要があります。また、当然ながら、後の不備などにも柔軟に対応できるように備えておく面も大きいでしょう。

控えを渋られる具体的な事例としては、融資に係る契約でなく、債権譲渡契約であることを理由にするなどです。しかしながら不動産売買や自動車の売買、それぞれに係る契約であっても控えは存在していますから、しっかりとその旨を伝えましょう。

前もって聞いていた条件と違うところがないか確認しましょう

審査に通過した時点で、ファクタリング業者から契約の詳細を聞いているはずですが、この際に確認していた条件と契約締結時点での契約書記載に係る文言とで相違点がないかを確認しておきます。もし、条件が異なっていれば、そのサービスの内容自体が疑わしいからです。

契約書に用いられる法律用語から、ぱっと見た時には難解な印象を受けがちですが、じっくりと目を通してみれば理解できないことはないはずです。もし不明点があれば、契約書に押印する前に業者に質問し、自身が十分理解に至るまで説明してもらいましょう。優良なファクタリング業者は、平易な言葉で親切丁寧に説明してくれます。また、たとえ理解に至っていないままでも、押印してしまった場合は法律上理解の上であるとみなされます。必ず納得した上で押印するようにしましょう。

まとめ

以上のとおり、ファクタリングに係る契約での注意点について解説してきました。契約に際して生じた疑義が些細なものであったとしても、それが解消されないことには契約しないことが重要といえます。

経営者として契約に関わる機会が多々あれば当然のことですが、企業が資金難に陥っているような状況下では、どうしても漫然としてしまいがちです。しかし、ファクタリング業者が悪徳であるならば、そのような経営者の足元をみることに慣れていますから、なおさらのこと、状況を悪化させてしまいかねません。顧問弁護士などと相談の上で契約を締結したいと判断したとしても、その日ではなく後日にすることも検討しましょう。