集金代行って何?サービス内容や選び方を解説

2023年11月14日

自社のものを購入した人すべてが確実に支払ってくれるとは限りません。集金は売上の拡大には繋がらない非生産的な業務です。非生産的な業務が多くなるほど、社員が営業やお客様対応などの仕事に割く時間は少なくなります。

しかし、円滑に集金を行うことは安定した経営のために重要な業務であることも間違いありません。

そのため、集金業務の負荷軽減や効率化をしつつ、社員のリソースを本来の業務に集中させるために集金代行を検討されている方も多いでしょう。

そこで本記事では、集金代行とはどのようなサービスなのかやサービスの種類などを解説すると共に、集金代行サービスの選び方についても紹介します。

集金代行とは?

集金代行サービスとは、サービスの料金を回収する業務を代行するサービスのことです。

例えば、口座振替手続きを代行したり、請求書の発行やそれに基づく回収を代行するものがあります。
集金業務の負担を軽減できるため、請求業務のオペレーションがうまくいっていない、または負担が大きいと感じている企業(事業者)は導入を検討してみるとよいでしょう。

集金代行と収納代行の違い

集金代行と類似したサービスに「収納代行」が存在します。基本的に、集金代行と収納代行に大きな違いはありません。いずれも口座振替やコンビニ決済といった方法を用いて、顧客からの集金を代行してくれる業者のことです。

あえて両者を区別して扱う場合は、口座振替をメインで扱うものは「集金代行」、コンビニ決済をメインで扱うものは「収納代行」と呼ばれることが一般的です。

集金代行サービスの種類と導入するメリット

集金代行サービスは大きく分けて以下の3つに分類されます。

事業モデルや自社の状況によって適するサービスが異なるので、本章ではこれら3つのサービスについて、適用ケースや導入メリットを紹介します。

ファクタリング

ファクタリングとは、売掛債権を専門事業者に売却することで早期に現金化する方法です。回収期限前の売掛金をすぐに現金化できるため、資金調達の手法として利用されます。

ファクタリング会社に売掛債権を売却する仕組みには、自社で売掛金の回収を行う2社間ファクタリングと、ファクタリング会社が取引先から直接回収する3社間ファクタリングがあります。

2社間ファクタリングはファクタリング会社と自社間のみの契約であり、取引先にファクタリングを行っていることが知られないため、取引関係に悪影響を与えずに利用できます。

しかし自社で売掛金の回収を行わなければならず、集金を代行してくれるサービスではありません。

3社間での合意が必要になるのが3社間ファクタリングです。

2社間ファクタリングと比較すると売掛金の回収をファクタリング会社が行ってくれることはメリットになりますが、取引先との合意形成が必要なため作業が煩雑です。

また、資金繰りが良くない印象を取引先に与えかねません。

ファクタリングを導入するメリット

債権の回収責任はファクタリング業者に譲渡するため、不良債権になるリスクがありません。また、早期に現金化できるため、銀行融資を断られてしまった企業や、業績悪化で支払いサイクルを繰り上げたい企業にとって有効な手段です。

ただし、手数料が3社間ファクタリングで約2〜8%、2社間ファクタリングで約10〜30%発生してしまうため、本来得られるはずであった売上で得た資金が減ってしまうデメリットもあります。

サブスクリプション(定期支払いサービス)向けの集金代行サービス

定期的な支払いが生じるサービス向けの集金代行サービス(サブスクリプション)では、顧客への請求から売上金回収までを代行します。

例えば、賃貸住宅の家賃、学習塾の月謝など、口座振替やコンビニ決済などの取引で活用されることが多いです。複数の契約者に対して一括で集金業務を委託できるのが特徴です。

サブスクリプション(定期支払いサービス)向けの集金代行サービスを導入するメリット
顧客の選択するさまざまな決済手段に対し、集金代行サービスから提供されたマニュアルをもとに対応できます。集金業務にかかる時間的コストの縮小、集金の効率化による資金繰りの改善などが期待できます。

決済(請求)代行

決済(請求)代行は、企業間取引における、与信管理・請求書発行・入金確認など、一連の決済業務を引き受けるサービスです。社内リソース不足や体制を整えることが自社のみでは困難な場合に、利用されることが多いです。

決済(請求)代行を導入するメリット

決済(請求)代行を利用することで、社内での決済業務の負担が最小限に収まり、社員は事業成長のためのコア業務に専念できるようになります。

また、代金未回収の保証もついているため、売上金が回収できないリスクを回避できます。単純な集金代行のみを依頼するよりも、決済業務すべてをまるごと依頼できる決済代行のほうが、より自社の負担を軽減できます。

集金代行サービスのデメリットや注意点

集金代行サービスにはさまざまなメリットがある一方で、デメリットや注意点もあります。集金代行サービスを利用する前に、以下のことを理解しておきましょう。

情報漏洩のリスクがある

集金に関わる業務を代行してもらうと言うことは、外部企業が自社の顧客情報(クレジットカード番号など)を扱うことになるため、情報漏洩のリスクが高まります。多くの集金代行会社ではセキュリティ対策を徹底していますが、万が一のトラブルで情報が流出してしまう危険性がないとは言い切れません。

そのため集金代行を検討する際には、サービス提供会社のセキュリティ対策が万全であるか判断する必要があるでしょう。

手数料がかかる

集金代行サービスを利用すると売上金額に対して手数料がかかることが一般的です。また、集金代行サービスを依頼した際には、システムの導入に伴い初期費用や月額費用がかかることもあります。

提供会社やサービスプランによって金額は異なるので、業務量とコストを比較して自社に合ったものを選ぶことが大切です。

集金代行サービスの選び方

ここまでの説明で、集金代行サービスを利用する効果や注意点はわかりましたが、集金代行サービスは数多くあるため、どのようなサービスを選べばいいか分からない方も多いでしょう。

どのサービスを選べばいいかわからないという方は、以下のポイントを意識してみましょう。

自社の業務効率化・売上向上が図れるサービス内容か

集金代行でカバーできない範囲の業務にも負担がかかっている場合は、サービスによっては十分な業務効率化が図れない可能性があります。

代表的なものが「督促」(売掛金の回収)です。集金代行のサービスの主は「集金を代行すること」なので、入金の確認方法や未払い時の対応はサービスによって異なります。例えば、システム上で未払いになっている顧客に対して、以下の対応があります。

①自社に未払いの顧客がいると連絡がくる(自社から連絡をとる)
②自動的に顧客に支払い依頼連絡が送られる
③自社で未払い顧客がいないか確認する(自社から連絡をとる)

②の仕組みが採用されているサービスであれば、未払いに対する一次的な対応は代行会社に任せられます。①と③の場合は、自社で未入金顧客に気づき、対応する必要があるため、そこの負担はなくなりません。

ただし、②のシステムも支払い依頼連絡に対応しなかった顧客に対しての二次対応が「自社か・代行会社か」によって負担が変わってきます。

負担の大きさを考慮し、サービス内容が投資金額に合う業務効率化を図れるものかを検討しましょう。

サポートが充実しているか

コールセンターや営業担当者とコンタクトが取りやすい、サポート体制が整備された集金代行を選びましょう。集金に関することで顧客から相談やクレームがあった際、スムーズに回答が返せないと顧客満足度を下げてしまう可能性があるためです。

「身に覚えのない引き落としがある」「引き落としが発生していない」などの問い合わせを、自社だけで処理できることは少ないはずです。

また、コールセンターがあっても実際には繋がりづらかったり、対応がマニュアル化されていて柔軟性がなかったり、サポートが不十分なこともあります。契約前に、担当者に繋がりやすさを聞いてみたり、オペレーターが対応できないケースがないかを確認してみると良いでしょう。

十分な信頼性・導入実績があるか

集金代行会社に売上を管理させることになるため、導入実績や会社自体の信頼性も重要です。会社の信頼性については「上場している」「創業年数が長い」といった項目で判断できます。

導入実績は以下2つの観点から見てみてください。

・導入している企業の売上規模
・自社に近い業種の導入実績

集金代行の利用には、当然費用がかかるため、業種や売上規模によっては導入しても費用対効果が上がらない可能性もあります。しかし、自社に近いビジネスモデル・売上規模で利用している企業がいるのであれば、費用対効果が出ていると考えられるでしょう。

まとめ

toB・toC問わず、集金業務は取引先企業や消費者が関わるため、業務負荷が高くなりがちです。督促や代金回収のフローがほかの生産的業務を妨げていると感じるなら、集金代行サービスの利用を検討しましょう。

集金代行サービスは、集金だけを請け負うものや、債権ごと売却するもの、決済にかかわるすべてを請け負うものなど種類が多いため、自社の現状に合ったサービスを選ぶことが重要です。