建設業の資金調達にはファクタリングがおすすめ!中小企業のファクタリングポイント
2024年8月21日
建設業で資金調達の方法としてファクタリングを利用するケースが増えているのをご存じでしょうか。
一般的な業界とは異なり、建設業は工期が長く売掛金が入金されるまで時間がかかることから、入金前の売掛金を資金化できるファクタリングが選ばれています。
そこで今回は、建設業でファクタリングが選ばれている理由とファクタリング会社の選び方について解説します。
ぜひご覧ください。
建設業に最適な資金調達方法!ファクタリングとは
ファクタリングとは、企業が保有する売掛金をファクタリング会社に売却することで資金調達ができる金融サービスのことです。
ファクタリングを利用することで、売掛先から売掛金が支払われる前に資金化できるので、今すぐ資金が必要になった場合に役立ちます。
ファクタリングには「2者間ファクタリング」と「3者間ファクタリング」があり、資金化までのスピードや手数料に違いがあります。
ここからは、それぞれのファクタリング形態について解説します。
2者間ファクタリング
2者間ファクタリングとは、利用者とファクタリング会社の間で行われる契約のことです。利用者とファクタリング会社間でやりとりが完結するので、スピーディーな資金調達が可能です。
2者間取引であることから、売掛先にファクタリングの利用を知られるリスクがなく、信頼関係を保った状態で資金調達ができるのも大きなメリットです。
3者間ファクタリング
3者間ファクタリングは2者間ファクタリングと異なり、利用者とファクタリング会社だけでなく売掛先も契約に加わります。
資金調達時は売掛先の承認が必要になるので、ファクタリング会社にとっては債権自体に問題があるリスクを軽減できることから、2者間ファクタリングよりも手数料が安い傾向があります。
ただし、3者間ファクタリングでは売掛先にファクタリング利用の実態を知られてしまうので、「もしかして経営状態が良くないのではないか」と誤った印象を与えてしまうことがあります。
下請債権保全支援がきっかけ?建設業にファクタリングが最適な理由
建設業にファクタリングが最適な理由には、国土交通省が制定した「下請債権保全支援」が関係しています。
下請債権保全支援とは、下請企業の倒産防止や雇用安定を目的に平成22年に制定された支援制度のことです。
建設業の仕組みとして、元請建設企業から下請建設企業に仕事を発注すると、下請建設企業によって資材の納品や工事の施工が行われます。
納品や施工が完了すると元請建設企業から下請建設企業に費用が支払われますが、何らかの理由で元請建設企業が倒産してしまうと下請建設企業は報酬を得られなくなり、資金繰りが悪化したり倒産してしまったりします。
下請債権保全支援では、下請建設企業が資材代金や施工代金をファクタリング会社に持ち込むことで、元請建設企業が報酬を支払えなくなってもファクタリング会社が保証してくれるため、連鎖倒産を防ぐことが可能です。
さらにファクタリング会社に支払う保証料が最大1.5%まで助成されるので、必要以上の出費をすることなくファクタリングを利用できます。
この点から、建設業にはファクタリングが最適と言われているのです。
まだまだある!建設業とファクタリングの相性が良い理由
下請建設企業は国土交通省が制定した「下請債権保全支援」によって守られており、元請建設企業が倒産して報酬が得られず連鎖倒産するリスクを軽減できるとお伝えしました。
この他にも、建設業がファクタリングを活用するメリットはあります。
ここからは、建設業とファクタリングの相性が良いと言われている理由を7つご紹介します。
1.前金を準備しやすいから
建設業において報酬が支払われるタイミングは「依頼された建物が完成した段階」ですので、受注から報酬の受け取りまで長期にわたります。
建物を建設するにあたっては、資材代金や機材代金、他社への仕事依頼にかかる費用など多額の前金が必要となるので、資金力がない会社は仕事を請け負えなくなってしまう可能性もあります。
そのようなときにファクタリングを活用することで、工事完了後に支払われる売掛金を先に受け取れるため、案件受注に必要な費用の捻出と資金繰りの改善ができます。
2.資金をすぐに用意できるから
建設業界では突発的な工事の依頼が発生することがあるので、受注するには常に資材代や機材代を支払える状態でなければなりません。
手元に資金がないときにファクタリングを活用することで、スピーディーに資金調達ができるので、資金がなくて受注できなかったという機会ロスを防ぐことができます。
3.大型の案件を受注しやすくなるから
建設工事では数千万円から数億円規模の依頼が発生することもあり、受注するには多額の前金が必要です。
大型案件が発生した際は工事費用を一度に支払うことが困難なので、発注側が下請建設企業に前金を支払うこともあります。
つまり、発注側も受注側も多額の費用が必要となるのですが、このような場合もファクタリングは大いに役立ちます。
ファクタリングを活用することで、発注側は下請建設企業に支払う前金を準備できますし、受注側は調達した資金を資材代金や機材代金に充てることができるため、大型の案件を受注しやすくなります。
4.審査に通りやすいから
ファクタリングは融資と比べて審査に通りやすく、資金調達がしやすい金融サービスです。
建設会社は資金調達の際に銀行からの融資を受けることが比較的多いのですが、自社の経営状況によっては審査に通らず融資が受けられないこともあります。
ファクタリング会社が審査時に注視するのは売掛先の経営状況なので、たとえ自社の経営がうまくいっておらず赤字になってしまったとしても問題ありません。
そのため、融資に比べて審査に通りやすく、資金調達がしやすいといえます。
5.元請会社の倒産リスクを回避できるから
仕事が完了して入金を待っている間に売掛先が倒産してしまうと、支払われる予定だった売掛金が入金されず資金繰りが悪化してしまう恐れがあります。
しかし、ファクタリングは償還請求権がないノンリコース契約なので、ファクタリング利用後に売掛先が倒産してしまって債権が回収できなくても、自社が補填する必要はありません。
売掛金を確実に資金化できるだけでなく、万が一の倒産リスクにも自社の負債が発生することはないのです。
6.支払期間を調整できるから
建設業界では、請求発生から支払いの期間が2か月〜3か月ほどであることが多いので、資金が手に入るまでに時間がかかる傾向があります。
ファクタリングを利用すれば手数料はかかるものの最短即日で資金化が可能なので、結果として支払期間を調整することが可能です。
7.企業価値が下がることがないから
ファクタリングは自社に支払われる予定の売掛金を担保に、早急な資金化が叶う金融サービスです。
融資のようにどこかから資金を借りるわけではないので、対外的に見ても経営状態が悪化しているとは捉えられにくくなっています。
とくに大きな案件の入札時には企業の経営状態などを含めて総合的に審査されるので、企業価値を下げることなく資金調達が可能であるファクタリングは建設業界で多く取り入れられているのです。
あわせて押さえよう!建設業がファクタリングを利用する際の注意点
多額の売掛金が動く建設業では、工事に必要な前金準備が欠かせません。
ファクタリングを利用して売掛金を資金化することで、案件受注や施工代金に回す資金を用意できます。
しかし、ファクタリングの利用にあたってはいくつかの注意点があります。
ここではファクタリング利用前に知っておくべき注意事項を5つご紹介します。
1.手数料が発生する
経営状況が悪くても最短即日で資金調達ができる点は、ファクタリング利用の非常に大きなメリットですが、他の借入手段と同様に手数料が発生します。
メリットが大きい分、安くはない手数料が発生することを理解しておきましょう。
2.売掛先次第では資金調達ができない
自社の経営状態が良好であっても、売掛先の経営状態が悪いと審査に通らない可能性が高まります。
ファクタリング会社は売掛先が倒産して売掛金が回収できないリスクを恐れているので、業績に関しては細かくチェックします。
そのため、ファクタリングを利用するときは信用度が高く経営状態が良好な売掛先の売掛金を選ぶのがおすすめです。
3.経営難であることを知られる可能性がある
ファクタリングを利用すると、経営難であることを第三者に知られる可能性があります。
とくに3者間ファクタリングを利用する場合、売掛金を資金化する際に売掛先の承認を得る必要があるので、「経営難なのではないか?」と疑われてしまいやすくなるのです。
良好な取引を続けるためには、誤解を招かないよう「なぜ資金調達が必要なのか」をきちんと売掛先に伝えることが大切です。
4.悪徳業者の罠にかかる可能性がある
残念ながらファクタリング会社の中には、多額の金銭を得るために法外な手数料を請求したり、請求項目を勝手に増やしたりして利用者を騙そうとする悪徳業者が存在します。
そのため、ファクタリング会社を探す際は悪徳業者でないかどうかを十分に確認することが大切です。
契約内容に怪しい点はないかどうか、他社と比較した上で信頼して任せられるかどうかを必ずチェックしましょう。
参考にしてみて!ファクタリング会社を選ぶ際のチェックポイント
ファクタリングを利用するメリットと注意点についてお伝えしたところで、続いては安心して取引ができるファクタリング会社の選ぶ基準についてご紹介します。
会社によっては手数料の金額や資金化できる金額に上限が設けられている場合があるので、自社に合ったファクタリング会社を選ばなければなりません。
ぜひ会社選びの参考にしてください。
1.信頼できるファクタリング会社かどうか
ファクタリングは融資制度よりも後発的に誕生したサービスなので、各種法整備が追いついていない部分があるのが現状です。
そのため、利用者側もファクタリングに関する知識をしっかりと身につけて、ファクタリング会社が提示する内容が信頼に値するかどうかを判断する必要があります。
また、公式サイトに連絡先や住所が記載されていて実在しているかどうかも、判断基準として効果的です。あらゆる観点から信頼できる会社かどうかを見極めるようにしましょう。
2.建設業界での実績はあるか
ファクタリング会社を選ぶ際は、建設業界での実績があるかどうかも確認しましょう。
建設業界での実績があるファクタリング会社なら、一般的な企業では適用されない建設業ならではの事情も理解した上で審査や手続きが進むので、スムーズに資金調達が可能です。
なお、建設業は売掛金額が大きくなりやすいので、建設業界での実績だけでなく資金力もあるファクタリング会社と契約することをおすすめします。
3.手数料は妥当か
たとえ資金調達ができたとしても、手数料が高額だと入金金額が少なくなってしまいます。
そのため、利用するファクタリング会社には、できるだけ手数料が安い会社を選びましょう。
手数料はファクタリングの形態によって異なりますが、2者間ファクタリングであれば8%〜18%、3者間ファクタリングであれば2%〜9%が相場です。
4.スピーディーに資金化できるか
今すぐ資金が必要であるにもかかわらず、審査から入金までのスピードが遅かったために案件受注に間に合わなかったという事態は避けたいものです。
そのため、ファクタリング会社を選ぶ際は資金化までのスピードも重視しましょう。
会社や取引内容によりますが、オンライン契約であれば審査から契約まで数時間程度で完了することが多くなっています。
そのため、できるだけ早く資金化したい場合は、オンライン契約が可能なファクタリング会社を選ぶのがおすすめです。
5.買取限度額は高額か
ファクタリング会社の多くは売掛金の買取限度額を設けており、大規模な会社では数億円まで対応してくれる場合があります。
建設業界は売掛金の金額が大きい傾向があるため、できるだけ高額な買取限度額を設定している会社を選ぶことで大口案件の売掛金を資金化しやすくなり、資金繰り改善に大きな効果が期待できます。
まとめ
建設業がファクタリングを利用することには、多額の売掛金を資金化できたり元請会社の倒産リスクを回避できたりと多くのメリットがあります。
建設業界での実績や資金化までのスピードなどを比較検討した上で、自社のニーズに合ったファクタリング会社を利用しましょう。
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