建設業者にファクタリング利用者が多い理由について詳しく解説

2024年11月12日

この記事では、建設業者にファクタリング利用者が多い理由、その仕組みについてわかりやすく解説していきます。

「建設業者のファクタリング利用ってどうなのかな?メリットが大きいって聞くけど本当?」
「建設業者向きのファクタリング会社ってあるの?判断のポイントや注意点が知りたい!」

工期が長く売掛金の入金までに時間のかかる建設業と相性が良く、近年建設業者の利用が拡大しています。

ただ、ファクタリングについて詳しく知らない方は、利用に不安を感じたり、どんな風に建設業と相性が良いのか疑問に思う場合もあるでしょう。

売掛債権を「譲渡する」ファクタリングは、金融機関からお金を「借りる」融資とは全くの別物です。

融資と違って、審査で何より重視されるのは売掛先の財務状況で、自社(利用者)は仮に赤字であっても利用が可能です。

1.建設業者に利用者が多い!ファクタリングとは?

ファクタリングとは、売掛債権を譲渡して資金を調達する方法です。売掛債権とは、商品やサービスを提供した際に発生する売上を、後日受け取ることができる権利です。売掛債権と売掛金は同じ意味で使用されます。

あくまでも売掛債権は後日お金を受け取れる権利なので、建設業のように多額の前金が必要な業種では「一日も早く資金化したい」と考えるかもしれません。資金化しなければ経営が厳しくなるケースもあるでしょう。

ファクタリングを利用することにより、自社の売掛債権をファクタリング会社に譲渡することで、早期に資金を受け取ることができます。その代わりファクタリング会社に対しては手数料を支払います。

ファクタリングには「2者間ファクタリング」と「3者間ファクタリング」の2つの取引形態があり、利用する際には、両者の違いをしっかり把握して、どちらを選択すべきかを考えておく必要があります。

1-1.ファクタリングの取引形態は2種類ある

ファクタリングの取引形態は、2種類に分けられます。

・2者間ファクタリング
・3者間ファクタリング

1-2.建設業者とファクタリングは「相性が良い」と言われている

冒頭で述べたように、工期が長く売掛金の入金に時間のかかる建設業界ではファクタリングによるメリットが大きく、近年その利用は急速に広がっています。

ファクタリングは「借入」ではないため、公共工事を受注する業者にとっては「経営事項審査」への影響を与えずに資金調達が可能になる点も魅力でしょう。

他にも、建設業者だからこそファクタリングを利用したい理由、得られるメリットは数多くあります。

2.建設業者にファクタリング利用者が多い7つの理由

ファクタリングが特に建設業者に好まれるのには、主に7つの理由があります。

建設業にファクタリング利用者が多い理由
①利用しても負債が増えない
②建設業では多額の前金が必要になる
③大型受注に対応しやすくなる
④売掛金が発生することが多い
⑤建設業では売掛金が支払われるまでの期間が長い
⑥ファクタリングは赤字でも利用できる
⑦売掛先の倒産リスクを恐れる必要がなくなる

ファクタリングの利用でどんなメリットがあるのか、しっかり把握していきましょう。

2-1.理由①:利用しても負債が増えない

建設業者にファクタリングが好まれる1つ目の理由は、利用しても負債が増えないという点です。

負債が大きくならないということは、対外的に見て経営状態を不安視されるリスクが少なくなります。

繰り返し述べているように、ファクタリングは自社保有の売掛債権をファクタリング会社へ譲渡(売却)することで資金を得る資金調達方法です。

貸借対照表上の「資産」に計上される売掛金が減って資金が増えるだけで、ファクタリングで調達したお金が負債に計上されるわけではありません。

経営事項審査(入札審査)や銀行融資審査等を控えている建設業者では、特に財務状況が重要になります。

負債が増えないファクタリングでの資金調達は、そうした建設業の需要を満たしているのです。

2-2.理由②:建設業では多額の前金が必要になる

ファクタリングが好まれる理由の2つ目は、建設業では仕事を請け負った際に多額の前金(材料等の先払い等)が必要になることです。

請負代金を受け取れるのは完成後であることが多いので、それまでに動かせる資金がないと仕事が遂行できないのです。

例えば、工事に要する材料、人件費、重機のレンタル費用、外注費なども、基本的には請け負った会社が先払いしなくてはならないことも多いです。

※一部を「前金」として支払うケースもあります

ひとつひとつの仕事に多額の前金(材料等の先払い等)が必要になるため、資金力がない会社は仕事を受注しづらくなってしまいます。

資金が用意できない場合、大型案件を受注したくても断らなければいけない場合もあるでしょう。

そんな時にファクタリングを使って資金調達を行えば、前金を負担することによる資金繰りの悩みが解消できて、大型案件の受注も可能になります。

2-3.理由③:大型受注に対応しやすくなる

建設業でファクタリングが好まれる3つ目の理由は、大型受注にも対応しやすくなるという点です。建設業では受注時に多額の資金が必要になります。

前金をもらえるケースもありますが、それだけでは資金不足に陥るリスクがあります。まして前金をもらえなければ、一旦すべての費用を自社で負担することになるでしょう。

資金に余裕がある時期は対応できても、そうでなければ大型受注の依頼を断らざるを得ないかもしれません。

そのような場合にファクタリングを利用できれば、大型受注を請けやすくなります。

2-4.理由④:売掛金が発生することが多い

建設業でファクタリングが好まれる4つ目の理由は、売掛金が発生しやすいという点です。

下請けへ外注したり、元請けから受注したりという機会が建設業では頻繁にあります。毎回動くお金も大きいため、売掛金が発生しやすいのです。

たとえば、自社が下請け業者に外注した場合、自社にとって買掛金、下請け業者にとっては売掛金が発生することがあります。

逆に自社が下請けとして元請け業者から受注した場合、元請け業者にとっての買掛金、自社にとっては売掛金が発生する可能性があります。

そのように多額の売掛金が発生していれば、ファクタリングを利用しやすくなります。

2-5.理由⑤:建設業では売掛金が支払われるまでの期間が長い

建設業者のファクタリング利用者が多い理由として、建設業では売掛金が支払われるまでの期間が長いことが挙げられます。

売掛金の入金が遅いため、資金不足に陥るリスクが高いのです。

建設業界では、受注した仕事を行ってから支払われるまでに2か月〜3か月程度かかるのは当たり前で、売掛先によってはもっと待たされる場合もあります。

その間、支出に応じた収入がないと、次の仕事を受けることや経営を維持するのが難しくなってしまいます。

このようなリスクを抑えるために、数多くの建設業者が融資よりも早く資金調達ができ、負債の増えないファクタリングを利用しています。

2-6.理由⑥:ファクタリングは赤字でも利用できる

自社の経営が赤字でも利用できるのは、ファクタリングの大きなメリットです。

ファクタリングは売掛金で資金調達する取引の性質上、売掛先の経営状態は重視されますが、自社の業績はそこまで重視されないのです。

たとえば、借入の場合、自社の赤字はマイナス要因になります。

経営状態が良くないと、貸し倒れのリスクが高いと考えられ、まず審査には通らないでしょう。

一方、ファクタリングであれば、自社の信用度はそれほど重視されないため、赤字の企業であっても、多くの場合利用することが可能になります。

2-7.理由⑦:売掛先の倒産リスクを恐れる必要がなくなる

売掛先の倒産リスクを恐れる必要がなくなるのも、建設業者の多くがファクタリングに魅力を感じる理由のひとつです。

仮に、大きな案件を請け負ったとして、仕事を完遂したあとで売掛先が倒産した場合、売掛金を回収するのは非常に困難です。

回収できなければ、自社の経営に大きな打撃を受けることは必須でしょう。

しかし、償還請求権のない(ノンリコース)ファクタリングを利用した場合、このような倒産リスクを負うのはファクタリング会社です。

ファクタリング会社に売掛金を買い取ってもらった後に売掛先が倒産したとしても、ファクタリング利用会社が回収不能分の補填をする必要は一切ありません。​

浮き沈みの多い建設業界において、売掛先の倒産リスクを恐れる必要なく仕事を請け負えることは、ファクタリング利用の大きなメリットといえるでしょう。

3.まとめ

ファクタリング会社の中には正当なサービスを行わず、法外な手数料を要求する悪徳業者もありますので、利用の際には、複数社から見積りをとって、サービス内容や手数料だけでなく担当者との相性も比較検討​​するようにしましょう。