企業や個人事業主が資金調達手段として活用することが増えている「ファクタリング」。融資と異なり、売掛債権を現金化することで資金繰りを改善できるため、審査が比較的緩やかでスピーディーに対応してもらえる点が魅力です。

しかし、ファクタリングを検討する中でよくある疑問のひとつに、

「ファクタリングを使うとCIC（信用情報機関）に記録されるのか？」

というものがあります。

本記事では、CIC（株式会社シー・アイ・シー）をはじめとした信用情報機関の仕組みと、ファクタリングとの関係について詳しく解説します。資金繰りの選択肢としてファクタリングを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

そもそもCICとは何か？

CICとは、株式会社シー・アイ・シーの略称で、信用情報を管理・提供する機関です。主に以下のような情報を記録・管理しています。

● クレジットカードの契約・利用状況

● ローン（住宅ローン・自動車ローン・消費者金融など）の申込・返済状況

● 携帯電話の分割払い契約情報

● 返済延滞・債務整理などの事故情報

CICは、主に消費者信用（個人の信用取引）に関する情報を扱っている点が特徴で、個人の信用履歴をもとに金融機関が融資や契約の可否を判断する際に参照されます。

ファクタリングと信用情報の関係

結論から言えば、ファクタリングの利用は基本的にCICに記録されません。その理由を詳しく見ていきましょう。

1. ファクタリングは「売買契約」であり「借入」ではない

ファクタリングは、利用企業が保有する売掛債権（請求書）を売却する契約です。つまり、お金を「借りる」のではなく「債権を売って現金化する」取引にあたります。

信用情報機関に記録されるのは、基本的に貸金業者との借入契約やローン契約です。売買取引であるファクタリングは、貸金契約に該当しないため、信用情報に登録される性質のものではありません。

2. ファクタリング会社はCICの加盟機関ではない

CICに情報を登録できるのは、CICと契約している加盟会員（主に銀行、信販会社、消費者金融など）に限られます。多くのファクタリング会社はこのような信用情報機関には加盟していません。

そのため、ファクタリング会社がCICに対して「この人がファクタリングを利用しました」といった情報を登録することは技術的にも制度的にも不可能です。

ファクタリングを利用してもCICに記録されないことのメリット

このように、ファクタリングを利用してもCICなどの信用情報機関に影響しない点は、利用者にとって以下のようなメリットがあります。

1. 住宅ローンや自動車ローンの審査に影響しない

将来的に住宅ローンやマイカーローンの申請を検討している場合、信用情報の履歴は非常に重要です。ファクタリングを利用しても信用情報に履歴が残らないため、今後の金融取引に悪影響を及ぼす心配がありません。

2. 他の融資申請にも影響が出にくい

銀行やノンバンクへの追加融資を申請する際にも、信用情報に何も記録されないという点は大きな安心材料となります。融資と並行して資金繰りを調整したいときには、ファクタリングの特性が有効です。

ただし注意！ファクタリングの使い方によっては間接的な影響も

ファクタリング自体は信用情報に載りませんが、以下のような使い方をした場合には間接的に信用情報へ悪影響が及ぶリスクがあることも知っておきましょう。

1. 売掛金がない状態で無理に契約しようとする

ファクタリングは「実在する売掛債権の売却」であるため、架空請求や不正な債権で取引を行うと、詐欺行為として刑事罰や民事トラブルの対象になる可能性があります。悪質な利用は将来の信用に重大な影響を及ぼすことになります。

2. 売掛先に知られたくない場合のリスク

2社間ファクタリングでは売掛先に通知されないことが多いですが、ファクタリング会社によっては信用調査などの過程で情報が漏れることがあります。その結果、売掛先との取引関係が悪化したり、信頼を失って今後の資金回収が難しくなるケースもあります。

これが繰り返されれば、結果的に売上減少→資金繰り悪化→返済遅延→融資に頼る→信用情報に延滞記録がつく……という悪循環に陥る可能性もあるのです。

一部の悪質業者は“貸付”に近い契約をしていることも

ファクタリングを名乗りながら、実際には実質的な貸金（借入）と変わらない契約を結ぶ悪質な業者も存在します。そうした業者との取引では、契約書の内容が「売買」ではなく「貸付」に近く、返済義務があるような内容になっていることがあります。

このような契約を結んでしまうと、場合によっては信用情報に登録されるリスクもゼロとは言い切れません。また、実質的に貸金業法違反となる可能性もあります。

安全にファクタリングを利用するためのポイント

CICへの影響を心配せずに、安心してファクタリングを活用するためには、以下のような点に注意しましょう。

1. 正規のファクタリング会社を選ぶ

ファクタリングは免許制ではないため、誰でも参入可能です。したがって、信頼できる実績のある会社を選ぶことが重要です。サイトの会社概要、運営歴、代表者名、問い合わせ先などが明記されているかを必ず確認しましょう。

2. 契約書の内容をしっかりチェックする

売買契約になっているか？返済義務が記載されていないか？利息のようなものが記載されていないか？など、契約書の文言を必ずチェックし、少しでも不安があれば質問することが大切です。

3. 信用情報を自分でも確認しておく

もし今後の金融取引に不安がある場合は、CICの公式サイトから自分の信用情報を開示請求することができます（有料）。ファクタリング利用後でも履歴が載っていないことを確認できれば安心です。

まとめ：ファクタリングは信用情報に影響しないが、使い方次第では注意が必要

ファクタリングの利用は、原則としてCICなどの信用情報機関には記録されません。これは、売掛債権の売却という「売買取引」であり、借入行為ではないためです。

しかし、使い方を誤ったり、悪質な業者と取引してしまうことで、将来的に間接的に信用に悪影響が及ぶリスクもあります。ファクタリングを正しく、安全に使うためには、信頼できる会社を選び、契約内容をしっかり確認することが最も重要です。